ことわざ

怒りは敵と思え

(いかりはてきとおもえ)

怒りは自分を害する敵と考え、慎むべきだという教訓。


10文字の言葉」から始まる言葉
怒りは敵と思え ことば
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意味

「怒りは敵と思え(いかりはてきとおもえ)」とは、怒りの感情は冷静な判断を奪い、最終的に自分自身を苦しめる「敵」だと心得て慎むべきだという教訓です。
怒りに任せた言動は、周囲の信頼を失わせたり、取り返しのつかないミスを招いたりすることがあります。
怒りを感じた瞬間こそ、「これは自分を傷つける敵だ」と一歩引いて捉え、理性を保つことの大切さをこの言葉は説いています。

語源・由来

「怒りは敵と思え」の由来は、江戸幕府の初代将軍、徳川家康の遺訓(御遺訓)である「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし」の一節にあるとされています。

原文では「怒りは敵と思え」と記されており、戦国時代を生き抜き、忍耐を美徳とした家康の人生哲学を象徴する言葉として広く知られるようになりました。
ただし、この遺訓自体は家康が直接書いたものではなく、後世の人が彼の教えをまとめたもの、あるいは創作されたものという説もあります。

徳川家康公遺訓(Wikipedia)

使い方・例文

怒りによって失敗しそうな自分を律する場面や、短気な性質を持つ人へ忠告を送る際に使われます。
「怒るな」と否定するのではなく、それが「自分の不利益になる」という視点で用いられるのが特徴です。

例文

  • 叱責に腹が立ったが、怒りは敵と思えと深呼吸した。
  • 議論が白熱したときこそ、怒りは敵と思えが大切だ。
  • 短気で損をしないためにも、怒りは敵と思えを胸に刻む。

類義語・関連語

「怒りは敵と思え」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 短気は損気(たんきはそんき):
    短気を起こすと、結局は自分が損をすることになるという戒め。
  • 堪忍は一生の宝(かんにんはいっしょうのたから):
    怒りをじっとこらえることは、一生を通じて自分を助ける宝になるということ。
  • 怒りは無謀に始まり後悔に終わる(いかりはむぼうにはじまりこうかいにおわる):
    怒りに任せた行動は、思慮のない振る舞いから始まり、最後には必ず後悔することになる。

英語表現

「怒りは敵と思え」を英語で表現する場合、以下の定型句がよく使われます。

Anger is your worst enemy

意味:怒りはあなたにとって最大の敵である。
日本語のことわざとほぼ同じニュアンスで、怒りが自己破滅を招くことを端的に表した表現です。

Keep calm. Remember, anger is your worst enemy.
(落ち着いて。怒りは君の最悪の敵だということを忘れないで。)

He that is slow to anger is better than the mighty

意味:怒るのを遅くする者は、勇者に勝る。
旧約聖書の一節に由来する表現です。
武力や腕力があることよりも、自分の感情(怒り)をコントロールできることの方が価値が高いことを示しています。

It takes true strength to control your temper. He that is slow to anger is better than the mighty.
(感情を抑えるには本当の強さが必要だ。怒るのに遅い者は、勇者に勝るのだから。)

由来は徳川家康の名で伝わる「東照宮御遺訓」

「怒りは敵と思え」は、江戸幕府を開いた徳川家康の教えとして伝わる「東照宮御遺訓」の一節です。
「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし、急ぐべからず」で始まる訓戒の中に、この一文が含まれています。

ただし、この御遺訓が家康自身の言葉かどうかについては疑問が呈されています。
確認できる文献は江戸時代後期以降で、天保六年(一八三五年)に刊行された書物に収められたのが早い例とされ、家康の没後二百年以上を経てから広まりました。
内容の一部は水戸藩の徳川光圀に関する言葉がもとになっているとする説もあります。

成立の経緯はともかく、「怒りは敵と思え」という一節は、我慢や自制を重んじる江戸期の武家倫理を象徴する言葉として読み継がれてきました。
感情に任せて行動することを戒め、平静を保つことの大切さを説く教えです。

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