「へそ」「肌(はだ)」「身(み)」「毛(け)」は、体の中心、表面、あるいは全体を指す部位です。
「へそ」は機嫌、「肌」は相性や感覚、「身」はその人自身や本質、「毛」は恐怖やごくわずかなものを象徴するなど、それぞれが比喩的に用いられています。
「身から出た錆」「へそを曲げる」「一肌脱ぐ」「身の毛がよだつ」など、現代でも日常的に使われる表現が豊富で、へそ・肌・身・毛にまつわる言葉は人間の態度や感覚を巧みに表現しています。
「へそ」「肌」「身」「毛」に関連する、主なことわざ・慣用句・四字熟語・漢語表現を紹介します。
もくじ
「へそ・肌・身・毛」に関する ことわざ
- 身から出た錆(みからでたさび):
自分自身の言動が原因で、不幸な結果を招くこと。
刀の錆は刀身から生じることから、「身」に刀身とわが身をかけた言い方。 - 我が身をつねって人の痛さを知れ(わがみをつねってひとのいたさをしれ):
自分の身をつねって痛みを実感し、初めて他人の痛みが理解できるという、思いやりの心を説いた教え。
「へそ・肌・身・毛」に関する慣用句
へそに関する表現
- へそを曲げる(へそをまげる):
機嫌を損ねて、意地を張り素直でなくなること。 - へそで茶を沸かす(へそでちゃをわかす):
あまりにもおかしくて、ばかばかしいこと。 - へそくり:
(「臍繰り金」の略)内緒でこっそり貯めたお金。
もとは、よりあわせた麻糸「綜麻」を繰ってためたお金の意で、後に「臍」の字が当てられた。
肌に関する表現
- 肌が合う(はだがあう):
相手との気性や相性が良いこと。 - 肌で感じる(はだでかんじる):
実際に見聞きしたり体験したりして、その場の様子や人の思いを直接感じ取ること。 - 一肌脱ぐ(ひとはだぬぐ):
相手を助けるために、本気になって力を貸すこと。
着物の袖から腕を抜いて上半身を出す「肌脱ぎ」になって、本気で手を貸す意から。 - 肌身離さず(はだみはなさず):
(お守りなどを)常に身につけておくこと。 - 鳥肌が立つ(とりはだがたつ):
恐怖、寒さ、または強い感動で、皮膚が粒立つこと。
羽をむしった鶏の肌にできるぶつぶつになぞらえた言い方。
身に関する表現
自己認識・立場
- 身に余る(みにあまる):
自分にはふさわしくないほど、待遇や評価が良いこと。
器から中身があふれ出るように、身分不相応な扱いを受ける様子を表す。 - 身につまされる(みにつまされる):
他人の不幸などが、自分のことのように痛切に感じられること。
「身につままれる」とするのは誤り。 - 身の程を知る(みのほどをしる):
自分の能力や立場がどの程度かをわきまえること。
「程」は程度や限度を意味し、自分を過大評価しない謙虚さを求める言い方。 - 身も蓋もない(みもふたもない):
あまりに直接的すぎて、情味も風情もないこと。
中身を入れる「身」と覆う「蓋」がない容器のように、包み隠しがない状態にたとえた表現。
感覚・実感
- 身に染みる(みにしみる):
しみじみと深く感じること。
染料が布の繊維に染み込んで抜けにくくなるように、感情や寒さが心の奥まで浸透する様子を表す。
努力・行動
- 身を入れる(みをいれる):
熱心に物事に取り組むこと。 - 身を粉にする(みをこにする):
苦労をいとわず、懸命に働くこと。 - 身を切る(みをきる):
つらさや寒さが、体を切られるように厳しく感じられること。また、自分の金で支払うこと。「身を切る改革」のように、自ら痛みを負う意でも使われる。
人生・生活
- 身を立てる(みをたてる):
立身出世すること。また、ある仕事で生計を立てること。 - 身を固める(みをかためる):
結婚して家庭を持ったり、定職に就いたりして、生活を安定させること。しっかりと身じたくをするという意味でも使う。 - 身を引く(みをひく):
それまで関わっていた物事や立場から退くこと。 - 身の振り方(みのふりかた):
今後の身の処し方。将来の進路。
習得
- 身に付ける(みにつける):
技能や知識を習得すること。また、服や装飾品を着用すること。
毛に関する表現
- 身の毛がよだつ(みのけがよだつ):
恐怖や強い不快感で、ぞっとすること。
「よだつ」は毛が逆立つ意。 - 心臓に毛が生えている(しんぞうにけがはえている):
図太いこと。厚かましいこと。 - 毛頭ない(もうとうない):
(「毛の先ほども」の意)少しも、まったくないこと。
「毛頭」でごくわずかな量を示し、それすらないと強く打ち消す言い方。 - 毛嫌い(けぎらい):
理由もなく、ひどく嫌うこと。
鳥や獣が互いの毛並みだけで相手の好き嫌いを判断する様子にたとえた言葉とされる。
「へそ・肌・身・毛」に関する四字熟語
- 身体髪膚(しんたいはっぷ):
体と髪と皮膚、つまり体全体のこと。
中国の『孝経』にある「身体髪膚、これを父母に受く」をふまえて使われることが多い。 - 九牛の一毛(きゅうぎゅうのいちもう):
たくさんの牛の中の1本の毛ほど、取るに足らないもののたとえ。
前漢の司馬遷が「任安に報ずる書」で、自分が死刑になっても九牛が一毛を失うようなものだと述べたことから。
「へそ・肌・身・毛」に関する漢語表現
- 不毛(ふもう):
(「毛」がない意から)土地がやせていて作物が育たないこと。転じて、議論などが何の成果ももたらさないこと。
【特集記事】
体の部位のことば集(ことわざ・慣用句・故事成語・四字熟語)
「体の部位」に関係する有名なことわざ・慣用句・故事成語・四字熟語の総合一覧です。










コメント