「肝(きも)」と「胆(たん)」は、どちらも内臓の名称ですが、古くから「度胸」や「勇気」の源泉、物事の「中心」を象徴する言葉として使われてきました。
一方、「腸(ちょう・はらわた)」は、激しい怒りや深い悲しみといった、抑えきれない感情を表すのに用いられます。
「肝を冷やす」「肝胆相照らす」「断腸の思い」など、現代でも日常的に使われる表現が豊富で、肝・胆・腸にまつわる言葉は人間の度胸や感情を巧みに表現しています。
「肝」「胆」「腸」に関連する、主な言葉を紹介します。
「肝・胆・腸」に関する慣用句
肝・胆に関する表現
度胸・胆力
- 肝が据わる / 胆が据わる(きもがすわる / たんがすわる):
度胸があり、物事に動じない落ち着いた気性。 - 肝っ玉が太い(きもったまがふとい):
些細なことでは動じず、度胸があるさま。 - 胆を練る(たんをねる):
物事に動じないように、精神力を鍛えること。 - 胆力がある(たんりょくがある):
困難な事態に直面しても慌てず、冷静に判断し行動できる精神力。 - 肝試し(きもだめし):
恐ろしい場所へあえて出向き、度胸を試すこと。
驚き・恐怖
- 肝を冷やす(きもをひやす):
非常に驚いたり、恐ろしい思いをしたりして、ひやりとすること。 - 肝が潰れる / 胆を潰す(きもがつぶれる / たんをつぶす):
非常に驚き、動揺すること。 - 度肝を抜く(どぎもをぬく):
ひどくびっくりさせること。「度肝を抜かれる」の形で、ひどく驚く意にも使う。 - 胆を落とす(たんをおとす):
ひどく驚き、気力までもが抜けてしまうこと。
記憶・決意
- 肝に銘じる(きもにめいじる):
心に深く刻みつけて、決して忘れないこと。
「銘じる」は石や金属に文字を刻む意で、それほど強く心に刻みつける覚悟のたとえ。
腸に関する表現
- 腸が煮えくり返る(はらわたがにえくりかえる):
怒りが激しく、腹の底から煮え立つように感じること。 - 腸がちぎれる(思い)(はらわたがちぎれる(おもい)):
はらわたがちぎれるほどの、耐えがたい悲しみやつらさ。
その他の内臓表現
- 五臓六腑に染み渡る(ごぞうろっぷにしみわたる):
体中に染み渡るほど、飲食物が深くしみじみとおいしいこと。
「五臓六腑」は漢方で内臓全体を指す言葉。
「肝・胆・腸」に関する四字熟語
- 肝胆相照らす(かんたんあいてらす):
互いに心の奥底まで打ち明け合い、親しく付き合うこと。
「肝胆」は肝臓と胆嚢のことで、まごころのたとえとして使われる。 - 肝心要(かんじんかなめ):
最も重要で、中心となる事柄を指す言葉。
「肝心」に、扇の骨をまとめる要の意を重ねて、大切さをいっそう強調した言い方。 - 大胆不敵(だいたんふてき):
度胸があり、何ものも恐れないこと。
「大胆」は肝っ玉が大きい意、「不敵」は相手を対等な敵とすら見ない意から成る言葉。 - 驚天動地(きょうてんどうち):
天を驚かし地を動かすほど、世間を大きく驚かせること。
中国唐代の詩人・白居易の詩「李白墓」で、李白の詩文を「驚天動地の文」とたたえた言葉。
「肝・胆・腸」に関する故事成語
- 断腸の思い(だんちょうのおもい):
はらわたがちぎれるほどの、非常につらく悲しい思い。
『世説新語』にある、子を捕らえられた母猿が船を追い続けて息絶え、その腹を裂くと腸がずたずたに断ち切れていたという話にちなむ言葉。 - 臥薪嘗胆(がしんしょうたん):
将来の成功(特に復讐)のために、苦労を耐え忍ぶこと。
薪の上に寝て、苦い胆を嘗める意。中国の春秋時代、呉王の夫差が薪の上に寝て父の仇を忘れまいとし、敗れた越王の勾践が苦い胆を嘗めて恥を忘れまいとした故事から。
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