「終わりよければ全てよし」と言うために。心を整え、一年を美しく結ぶ言葉たち

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【特集】ことわざ・慣用句・四字熟語

カレンダーも最後の一枚となり、街は慌ただしい師走の空気に包まれています。
「今年は良い年だった」と満足している方も、「思うようにいかなかった」と悔やんでいる方もいるかもしれません。

しかし、日本語には「終わりよければ全てよし」という力強い言葉があります。
どのような経過であっても、最後の締めくくりさえしっかりできれば、その一年は「良い年」として記憶に刻まれるものです。

今回は、一年の終わり(年末)に噛みしめたい、「締めくくり」「決着」「来年への希望」にまつわる言葉をご紹介します。
仕事納めの挨拶や、年賀状の準備、大掃除の合間に、言葉の力を借りて心を整えてみませんか。

もくじ
  1. 結果・決着を表す言葉
  2. 終わり方の美学・大掃除
  3. 12月の情景・時の流れ
  4. 来年への希望・冬から春へ
  5. まとめ

結果・決着を表す言葉

まずは、一年間の苦労やトラブルを肯定し、ポジティブな気持ちで年を越すための言葉です。

終わりよければ全てよし

  • 途中の経過に失敗や苦労があっても、最終的な結末が良ければ、それまでのすべてが肯定されるということ。
  • 英語のことわざ “All’s well that ends well” (シェイクスピアの戯曲名としても有名)の訳語として定着しました。
    「いろいろあったけれど、無事に年末を迎えられたのだから良しとしよう」という、自分自身を許し、労うための言葉として最適です。

雨降って地固まる(あめふってじかたまる)

  • もめ事やトラブルが起こったおかげで、かえって以前よりも基礎がしっかりし、良い状態になること。
  • 今年一年、対人トラブルや失敗に見舞われた方にこそ思い出してほしい言葉です。
    雨が降った直後は地面がぬかるみますが、乾いた後はより強固になります。
    「あの苦労があったからこそ今がある」と、トラブルを成長の糧として捉え直す視点を与えてくれます。

大団円(だいだんえん)

  • 演劇や小説などで、すべての問題が解決し、めでたく収まる最後の場面のこと。
    転じて、物事が円満に決着すること。
  • 「円」は欠けたところのない満月のような円満さを表します。プロジェクトの完了や、一年の締めくくりが笑顔で終わることを願って使われる言葉です。

終わり方の美学・大掃除

「去り際」や「後片付け」の美しさを説く言葉です。大掃除や、年末での退職・異動の際によく使われます。

立つ鳥跡を濁さず(たつとりあとをにごさず)

  • 立ち去る者は、自分のいた場所をきれいに片付けていくべきだという戒め。また、引き際が潔く美しいさま。
  • 水鳥が飛び立った後の水面が澄んでいるように、人も去り際こそ美しくあるべきだという教えです。
    大掃除のスローガンとしてはもちろん、年末で職場を離れる際や、引越しの際のマナーとしても引用されます。

有終の美(ゆうしゅうのび)

  • 物事を最後までやり通し、立派な結果を残すこと。
  • 「有終」とは「終わりを全うする」という意味です。
    「有終の美を飾る」という形で使われます。
    途中で投げ出さず、最後まで気を抜かずにやり遂げることの尊さを表しており、卒業や定年退職、プロジェクトの解散式などで頻繁に使われます。

掉尾を飾る(ちょうびをかざる)

  • 物事の最後を立派に締めくくること。
  • 「掉尾」とは、魚が死ぬ間際や勢いよく泳ぐ際に、尾を振ること。
    転じて、物事の最終局面で勢いよく立派な成果を上げることを指します。
    株式市場で、年末の最後の取引(大納会)に向けて株価が上がることを「掉尾の一振(ちょうびのいっしん)」と呼ぶこともあります。

12月の情景・時の流れ

師走の忙しさや、時間の経過の早さを表す言葉です。

師走(しわす)

  • 陰暦(旧暦)の12月の異称。
  • 語源は諸説ありますが、最も有名な説は「師馳」です。
    普段は落ち着いている「師(僧侶)」でさえも、年末にはお経をあげるために東西を忙しく走り回ることから名付けられたと言われています。
    現代でも、年末のあわただしい様子を象徴する言葉として定着しています。

光陰矢の如し(こういんやのごとし)

  • 月日が過ぎるのは、飛んでいく矢のように早いということ。時間は二度と戻らないため、大切にすべきだという戒め。
  • 「光」は日、「陰」は月を意味します。毎年12月になると「一年があっという間だった」という会話の中で必ず登場する定番の言葉です。

歳月人を待たず(さいげつひとをまたず)

  • 時は人の都合などお構いなしに過ぎ去っていき、待ってはくれないということ。
  • 陶淵明(とうえんめい)の詩に由来します。「盛年重ねて来たらず(若い時期は二度と来ない)」と続き、今この瞬間を大切に努力せよと説いています。

来年への希望・冬から春へ

冬の寒さの極まりと、その後に訪れる春(希望)を予感させる言葉です。

一陽来復(いちようらいふく)

  • 冬が終わり春が来ること。新年が来ること。
    転じて、悪いことが続いた後で、ようやく良い運きが向いてくること。
  • 陰暦の11月(冬至の頃)を指す言葉ですが、冬至は「陰の気が極まり、陽の気に転じる折り返し地点」であることから、不運の底を打って幸運へ向かうという意味で使われます。
    苦しい一年だった人にこそ贈りたい、希望の四字熟語です。

冬来たりなば春遠からじ(ふゆきたりなばはるとおからじ)

  • 辛い冬が来たということは、暖かい春もすぐそこまで来ているということ。
  • イギリスの詩人シェリーの詩の一節です。現在は辛くても、その先には必ず明るい未来が待っているという励ましの言葉として使われます。

まとめ

「終わり」に関する言葉を見ていくと、日本人が古くから「締めくくり」を単なる終了ではなく、「次への準備」「浄化」の儀式として大切にしてきたことが分かります。

「立つ鳥跡を濁さず」の精神で場を清め、「雨降って地固まる」の精神で心を整える。
そして「一陽来復」を願いながら、新しい年を迎える。

ことわざは、慌ただしい年末に「心の句読点」を打つ手助けをしてくれます。
どうぞ、言葉の力と共に、健やかで良いお年をお迎えください。

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