盛年重ねて来たらず

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ことわざ 故事成語
盛年重ねて来たらず
(せいねんかさねてきたらず)

12文字の言葉せ・ぜ」から始まる言葉

「あとでやればいいや」と高をくくっていたら、いつの間にか期限が過ぎていた。
若い頃にもっと挑戦しておけばよかった。そんな後悔は、誰の心にもあるものです。

二度と戻らない時間の尊さを説く言葉として、
「盛年重ねて来たらず」(せいねんかさねてきたらず)があります。

今の時間を大切に生きるための、先人の切実なメッセージを紐解いていきましょう。

意味

「盛年重ねて来たらず」とは、「心身ともに充実した若い時期は、二度とやって来ない」という意味です。

転じて、二度とない時間を無駄にせず、その時その時を大切にして勉学や仕事に励むべきだという教訓として使われます。

  • 盛年(せいねん):血気盛んな若い時期。
  • 重ねて(かさねて):もう一度、再び。
  • 来たらず(きたらず):やって来ない。

単なる「懐古」ではありません。「時間は不可逆であり、チャンスは待ってくれない」という、人生に対する厳格な警告が含まれています。

語源・由来

「盛年重ねて来たらず」の由来は、中国・六朝(りくちょう)時代の詩人、陶淵明(とうえんめい)が詠んだ『雑詩(ざっし)』です。

この詩の中で、彼は次のように人生の儚さと時間の重みを語っています。

人生には限りがあるし、草木も季節が変われば枯れてしまう。
若い盛りの時期は、二度とはやって来ない。
一日の中に、爽やかな朝が二度来ないのと同じことだ。
だからこそ、タイミングを逃さずに懸命に励まなくてはいけない。
歳月は、人の都合などお構いなしに過ぎ去ってしまうのだから。

自然を愛し、田園での生活を求めた陶淵明ならではの、実感を伴った言葉です。これが日本にも伝わり、学問や自己研鑽を勧める金言として定着しました。

使い方・例文

「盛年重ねて来たらず」は、主に「時間を大切にせよ」と若者を諭す場面や、大人が過ぎ去った時間を振り返って自戒する場面で使われます。

卒業式や立志式、あるいは退職時の挨拶などで引用されることが多い言葉です。

例文

  • 君たちの可能性は無限だが、時間は有限だ。「盛年重ねて来たらず」と言うように、今しかできないことに全力で打ち込みなさい。
  • 定年を迎えて振り返ると、あっという間の40年だった。「盛年重ねて来たらず」の言葉が、今になって身に沁みる。
  • 息子がゲームばかりしている。「盛年重ねて来たらず」と口酸っぱく言っているが、親の心子知らずだ。
  • 資格の勉強を始めようと思う。「盛年重ねて来たらず」だ。思い立ったが吉日、すぐにテキストを買いに行こう。

誤用・注意点

年配者への使用は避ける

この言葉は「若い時期(盛年)」に焦点を当てています。
そのため、年配の方に対して使うと

「あなたの盛りは過ぎましたね」
「もう若くありませんよ」

という皮肉に聞こえる恐れがあります。
目上の方や高齢の方への使用は避けるのが無難です。

類義語・関連語

「盛年重ねて来たらず」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 少年老い易く学成り難し(しょうねんおいやすくがくなりがたし):
    若者はすぐに年をとってしまうが、学問を修めるのは難しい。だから寸暇を惜しんで勉強せよという意味。
  • 光陰矢の如し(こういんやのごとし):
    月日が過ぎるのは、放った矢のように早いこと。
  • 一寸の光陰軽んずべからず(いっすんのこういんかろんずべからず):
    わずかな時間であっても、決して無駄にしてはいけないという戒め。
  • 歳月人を待たず(さいげつひとをまたず):
    時間は人の都合に合わせて待ってはくれない。この言葉も『雑詩』の結びの一節に由来します。

英語表現

「盛年重ねて来たらず」を英語で表現する場合、若さや好機の不可逆性を説くフレーズが適しています。

Youth comes but once in a lifetime.

  • 直訳:若さは人生に一度しか来ない。
  • 意味:「若さは二度とない」
  • 解説:日本語の「盛年重ねて来たらず」とほぼ同じ意味で使われる表現です。
  • 例文:
    You should study hard now. Youth comes but once in a lifetime.
    (今しっかり勉強すべきだ。若さは二度と来ないのだから。)

Opportunity knocks but once.

  • 意味:「好機は一度しか訪れない」
  • 解説:チャンスを逃すなという意味で、文脈によっては近いニュアンスで使えます。

『雑詩』に続く言葉

この言葉の出典である『雑詩』には、続きの有名な一節があります。

「盛年重ねて来たらず」の直後に続くのが、「一日再び晨(あした)なり難し」という言葉です。

「一日に朝は二度と来ない」という意味で、一生という長いスパンだけでなく、今日という「一日」の単位でも時間は取り戻せないことを強調しています。

陶淵明は役人としての出世よりも、心の平穏と自由を求めた人物でした。
そんな彼が残した言葉だからこそ、単なる「勉強しなさい」という説教を超えて、「自分の人生を悔いなく生きよ」という力強いエールとして響くのでしょう。

まとめ

「盛年重ねて来たらず」は、二度と戻らない若い時期を大切にし、努力を怠るなという教えです。

若さを謳歌することも大切ですが、同時に「今しかできない積み重ね」があることを忘れてはいけません。
何かに迷ったときや、つい怠けてしまいそうなときに、この言葉を思い出してみてはいかがでしょうか。
今この瞬間を大切にするきっかけになることでしょう。

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