坊主丸儲け

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ことわざ 慣用句
坊主丸儲け
(ぼうずまるもうけ)

8文字の言葉ほ・ぼ・ぽ」から始まる言葉
坊主丸儲け 【個別】ことわざ・慣用句・四字熟語

自分は何も投資せず、入ってきたお金がすべて自分の純利益になる状況を、
「坊主丸儲け」(ぼうずまるもうけ)と言います。

意味・教訓

「坊主丸儲け」とは、自分は元手(資金)を一切かけず、得た利益のすべてを自分のものにするという意味です。

通常、商売には商品の仕入れ代金や光熱費などの「経費」がかかりますが、そうした持ち出しが全くない、非常に効率の良い収益状態を指します。
転じて、苦労せずに大きな利益を得ることを皮肉って言う場合もあります。

語源・由来

「坊主丸儲け」の由来は、江戸時代の僧侶(坊主)に対する当時の庶民や商人の視線にあります。

商人が品物を売るには、まず安く仕入れるための元手が必要ですが、僧侶が葬儀や法事で受け取る「お布施」には仕入れ代金がかかりません。
僧侶がそれまでに積んできた修行や知識、読経そのものが対価となるため、いただいたお金の全額がそのまま生活の糧(利益)になります。

この仕組みを、資金繰りに苦労する商人が羨ましがり、「お坊さんは元手がいらなくて丸儲けだ」と揶揄(やゆ)したことが言葉の始まりです。

※なお、「江戸いろはかるた」の読み札(「ほ」)として採用されたことで、この言葉は全国的に定着しました。

使い方・例文

資金を投じていない幸運な利益や、極めて原価の低いビジネスについて述べる際に使われます。
身近な生活の中での「棚ぼた」的な利益から、ビジネスの仕組み解説まで幅広く登場します。

例文

  • 拾った流木を加工してインテリアとして売ったら、坊主丸儲けになった。
  • 広告費もかけずにSNSの投稿だけで客が殺到したなら、まさに坊主丸儲けだね。
  • 趣味で育てた苗が飛ぶように売れ、坊主丸儲けのような状態だ。

文学作品・メディアでの使用例

『吾輩は猫である』(夏目漱石)

明治時代の名作において、近所の飼い猫である「車屋の黒」が、自らの生活や世渡りの知恵を語るシーンで登場します。

元手がいらなくって、出ただけが利益になるのを坊主丸儲と云うんだそうだ。

類義語・関連語

「坊主丸儲け」と似た意味を持つ言葉には以下のものがあります。

  • 濡れ手で粟(ぬれてであわ):
    苦労せずに多くの利益を得ることのたとえ。
  • 棚からぼたもち(たなからぼたもち):
    思いがけない幸運が舞い込んでくること。
  • 漁夫の利(ぎょふのり):
    争っている両者の隙をついて、第三者が苦労なく利益を得ること。

対義語

「坊主丸儲け」とは対照的な意味を持つ言葉は以下の通りです。

  • 骨折り損のくたびれ儲け(ほねおりぞんのくたびれもうけ):
    懸命に努力したにもかかわらず、利益が全く出ずに疲れだけが残ること。
  • 持ち出し
    利益が出るどころか、自分の手持ちの資金を削って経費を支払わなければならない赤字の状態。

英語表現

「坊主丸儲け」を英語で表現する場合、以下の定型句が適切です。

money for old rope

直訳すると「古い縄を売って得た金」ですが、ほとんど努力や元手なしで得られる「楽な稼ぎ」を指すイギリス英語の慣用句です。

「楽な稼ぎ」
非常に簡単に、あるいは元手なしで利益を得られる状況で使われます。

  • 例文:
    Selling these leftovers is money for old rope.
    (この残り物を売るのは、坊主丸儲けのようなものだ。)

pure profit

「純利益」を意味しますが、口語では「経費が一切かからない丸々の儲け」というニュアンスで使われます。

「丸儲け」
入ってきた金額がすべて利益になるという事実を強調する際に使われます。

  • 例文:
    Every cent we make from this app is pure profit.
    (このアプリから得られるお金は、一銭残らず坊主丸儲けだ。)

豆知識:揶揄から生まれた言葉の背景

この言葉は、元々はお坊さんへの「やっかみ」から生まれた皮肉混じりの表現です。
しかし、お坊さんの立場からすれば、お布施は「読経」という目に見えるサービスへの対価ではなく、本来は修行への支援や仏法への感謝として供えられるものでした。

また、現代ではお寺の維持管理や修行には多額の費用がかかることが知られていますが、江戸時代の商人の目には「在庫を抱えるリスクがなく、現金が入ってくる」という点が、何よりも羨ましい成功モデルに見えたのでしょう。
言葉の裏には、当時の庶民の逞しい経済感覚が息づいています。

まとめ

「坊主丸儲け」は、元手ゼロで利益を得るという、商売人なら誰もが一度は夢見る状況を端的に表した言葉です。
元来は皮肉のニュアンスを含んでいましたが、現在では自分自身のラッキーな収益や、効率的な仕組みを語る際にも使われます。

ただ、他人の利益に対して安易に使うと、その裏にある努力や隠れたコストを否定することにもなりかねません。
この言葉の持つユニークな由来を理解し、ユーモアを交えて使い分けることで、より深い日本語のコミュニケーションが楽しめることでしょう。

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