長く続いたわだかまりも、ある一言をきっかけに、すっと消えてなくなることがあります。
そんな、過去のいざこざをなかったことにして許すことを言い表すのが、「水に流す」(みずにながす)です。
意味
「水に流す」とは、過去にあった争いごとや失敗を、なかったことにして許すという意味です。
相手を責め続けるのではなく、こだわりを手放して関係を仕切り直そうとする気持ちが込められた言葉です。
- 流す(ながす):水などに乗せて押し流すこと。転じて、なかったことにすること。
語源・由来
「水に流す」は、日本古来の「禊(みそぎ)」という神道の儀式に由来するという説があります。
禊とは、川や海の水に身を浸すことで、身についた罪や穢れを洗い流すとされる神聖な儀式です。
こうした、水によって悪いものを洗い流し清めるという考え方が、過去の争いごとや失敗もまた水と共に流し去り、なかったことにするという発想へとつながっていったとされています。
使い方・例文
「水に流す」は、過去のいざこざを許して忘れようとする場面で使われます。
- 過去のいざこざは、水に流して仲直りしよう。
- 彼はすべてを水に流すと言ってくれた。
- 一度水に流したら、二度と蒸し返さないと決めた。
類義語・対義語
「水に流す」の類義語と対義語には、以下のようなものがあります。
- 不問に付す(ふもんにふす):過ちなどを、あえて問いたださずに済ませること。
- 根に持つ(ねにもつ):対義語。いつまでも恨みや不満を忘れずにいること。
英語表現
- let bygones be bygones:過ぎたことは水に流そう。
禊の思想が支える、日本人の水への信頼
「水に流す」という発想の根っこには、水にはあらゆる穢れや悪いものを洗い流す力がある、という神道由来の考え方があります。
謝罪の言葉と共に何かを差し出す文化を持つ国がある一方で、日本では「水に流す」という一言そのものに、関係を清め、仕切り直す力があるとされてきました。
過去にこだわり続けるより前を向くことを美徳とする感覚は、こうした水への信頼から育まれてきたのかもしれません。









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