慈烏反哺

カラスの親子と、餌を運ぶ様子から見守る老いた親鳥のイメージ 個別解説
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幼いころ親から口移しで餌をもらったひなガラスが、成長すると今度は年老いた親に餌を運ぶ、そんな恩返しの姿を表すのが、「慈烏反哺」(じうはんぽ)です。

意味

「慈烏反哺」とは、子が成長したのちに、親から受けた恩に報いて親孝行を尽くすことという意味です。
カラスの子が親に餌を運んで恩返しをするという言い伝えから、人の孝行のあり方をたとえています。

  • 慈烏(じう):カラスの別称。
  • 反哺(はんぽ):口移しで餌を返し与えること。

語源・由来

カラスは、ひなの間は親から口移しで餌を与えられて育ちますが、成長すると年老いて弱った親に、今度は自分が餌を運んで養うといわれています。
この言い伝えをもとに、子が親の恩に報いて孝行を尽くすことを「慈烏反哺」と呼ぶようになりました。
出典としては、中国・南北朝時代の梁の武帝が著したとされる「孝思賦」が挙げられることがあります。
また、親を思う子の情愛を表す言葉として、晋の李密が著した「陳情表」に見える「烏鳥私情(うちょうしじょう)」も、同じくカラスの恩返しの言い伝えにもとづく表現です。

使い方・例文

「慈烏反哺」は、成長した子が年老いた親の世話をし、恩に報いる場面で使われます。

  • 実家に戻り両親の介護を始めた彼女の姿は、まさに慈烏反哺だ。
  • 老いた母を支える息子の姿に、慈烏反哺の心を見た。
  • 育ててもらった恩は慈烏反哺の思いで返したい。

類義語・関連語

  • 反哺の孝(はんぽのこう):
    子が親の恩に報いる孝行のこと。
  • 烏鳥私情(うちょうしじょう):
    親を思う子の深い情愛。

なぜカラスが孝行の象徴になったのか

「慈烏反哺」の言い伝えの背景には、古代中国でカラスが「孝鳥」として特別視されていたことがあります。
実際の動物行動学では、カラスの子が年老いた親に餌を与える行動は確認されておらず、あくまで人々の観察や想像から生まれた言い伝えだと考えられています。
それでも、この言い伝えが千年以上にわたって語り継がれてきたのは、動物の姿を借りて親孝行の大切さを伝えようとした、人々の願いが込められているからでしょう。
身近な生き物にたとえることで、道徳の教えがより心に残りやすくなるという工夫がうかがえます。

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