「水を得た魚」「水に流す」「油と水」など、日本語には「水」を使ったことわざや慣用句が数多く存在します。
本記事では、日本語の豊かな表現力を感じられる「水」にまつわることわざ・慣用句・故事成語・四字熟語をご紹介いたします。
「水」に関連する ことわざ
寝耳に水 (ねみみにみず)
意味・教訓:
眠っている時に耳に水が入ってきたかのように、思いがけない突然の出来事に非常に驚くことのたとえ。
例文:
彼が結婚するという話は、私にとって寝耳に水だった。
水清ければ魚棲まず (みずきよければうおすまず)
意味・教訓:
あまりに清廉潔白すぎると、かえって人に警戒されたり、親しまれなかったりすることのたとえ。
水がきれいすぎると魚の餌となるものもなく、魚が棲みにくくなることから。
例文:
水清ければ魚棲まずと言うから、多少の欠点があった方が人間らしい。
水は方円の器に従う (みずはほうえんのうつわにしたがう)
意味・教訓:
水が四角い器に入れれば四角くなり、丸い器に入れれば丸くなるように、人は付き合う友人や環境によって、良くも悪くも感化されるものであるというたとえ。
例文:
水は方円の器に従うと言うように、付き合う人を選びなさい。
水と油 (みずとあぶら)
意味・教訓:
水と油のように性質が全く異なり、互いに反発し合って決して溶け合わないことのたとえ。非常に仲が悪い関係。
例文:
あの二人は昔から水と油で、いつも喧嘩ばかりしている。
流れる水は腐らず(ながれるみずはくさらず)
意味・教訓:
常に動きのあるものは、よどむことなく新鮮さを保つということ。
転じて、常に活動している人や組織は、停滞せず健全であることのたとえ。
例文:
常に新しいことに挑戦し続ける彼は、まさに流れる水は腐らずを体現している。
立て板に水(たていたにみず)
意味・教訓:
立てかけた板に水を流すように、すらすらとよどみなく話すことのたとえ。
弁舌が非常に流暢であるさま。
例文:
彼のプレゼンテーションは、まさに立て板に水で、聴衆を引きつけた。
渇しても盗泉の水を飲まず(かっしてもとうせんのみずをのまず)
意味・教訓:
どんなに困窮しても、不正なことや道義に反することには手を出さないというたとえ。
孔子が「盗泉」という名の泉の水を飲むのを嫌がったという故事から。
例文:
彼はどんなに苦しくても、渇しても盗泉の水を飲まずという信念を貫いた。
君子の交わりは淡きこと水の如し(くんしのまじわりはあわきことみずのごとし)
意味・教訓:
徳のある者同士の交際は、水のように淡々としており、馴れ合いにならないが、その友情は長く続くということ。
『荘子』の言葉。
例文:
彼ら二人の友情は、まさに君子の交わりは淡きこと水の如しだ。
魚心あれば水心(うおごころあればみずごころ)
意味・教訓:
魚に水と親しむ心があれば、水もそれに応じて魚を受け入れる心を持つということ。
相手が好意を示せば、こちらもそれに応える用意があるということ。
例文:
こちらが誠意を見せれば、先方もきっと協力してくれるだろう。魚心あれば水心だ。
「水」に関連する慣用句
水を得た魚 (みずをえたうお)
意味・教訓:
魚が水を得て生き生きと泳ぎ回るように、自分に合った環境や活躍できる場を得て、能力を存分に発揮し、生き生きとしているさま。
例文:
彼は新しい部署で水を得た魚のように働いている。
水に流す (みずにながす)
意味・教訓:
過去にあった争いや恨み、過ちなどを、すべてなかったことにして許し、とがめないこと。
川の水がすべてを押し流していくイメージから。
例文:
今回のことは水に流して、また一緒に頑張りましょう。
水の泡 (みずのあわ)
意味・教訓:
水面にできた泡がすぐにはかなく消えてしまうように、それまでの努力や苦労がすべて無駄になってしまうことのたとえ。
例文:
長年の努力が水の泡になってしまった。
水際立つ (みずぎわだつ)
意味・教訓:
多くのものの中で、際立って優れており、目立っていること。
特に、容姿や技量などが鮮やかで、はっきりしているさま。
例文:
彼女の演技は、他の出演者の中でも水際立って素晴らしかった。
水を差す (みずをさす)
意味・教訓:
うまくいっていることや、盛り上がっている場の雰囲気を壊すような言動をすること。
邪魔をすること。熱い湯に水を入れてぬるくするイメージから。
例文:
楽しい話に水を差すようで悪いけど、時間がない。
水を向ける (みずをむける)
意味・教訓:
相手が話しやすいように、関心があると思われる話題にそれとなく誘いかけること。
話を切り出すきっかけを作ること。水路から水を引くイメージから。
例文:
彼女は彼に結婚の話を水を向けてみた。
水を打ったよう(みずをうったよう)
意味・教訓:
水をまいた後のように、騒がしかった場所が、急に静まりかえるさま。
例文:
先生が入ってくると、教室は水を打ったように静かになった。
水臭い(みずくさい)
意味・教訓:
親しい間柄なのに、他人行儀でよそよそしいこと。遠慮しすぎているさま。
例文:
困ったことがあったら言ってくれよ、水臭いじゃないか。
水も漏らさぬ(みずももらさぬ)
意味・教訓:
水一滴すら漏らさないほど、警戒や警備、準備などが非常に厳重で少しの隙もないさま。
例文:
会場は水も漏らさぬ警備体制が敷かれていた。
水も滴る(みずもしたたる)
意味・教訓:
水がしたたり落ちるほど、みずみずしくて美しいさま。主に若々しい美男美女を形容する言葉。
例文:
彼はまさに水も滴るいい男だ。
湯水のように使う(ゆみずのようにつかう)
意味・教訓:
お湯や水を使うように、金銭や物を少しも惜しまずに、むやみにたくさん使うこと。浪費すること。
例文:
彼は遺産を湯水のように使って、すぐに底をついた。
冷や水を浴びせる(ひやみずをあびせる)
意味・教訓:
熱中している人や、盛り上がっているところに、意気込みをくじくような言動をすること。期待を裏切ったり、邪魔をしたりすること。
例文:
彼の計画に、上司は冷や水を浴びせるようなことばかり言った。
「水」に関連する故事成語
覆水盆に返らず (ふくすいぼんにかえらず)
意味・教訓:
一度こぼれた水が盆(容器)には戻らないように、一度してしまったこと、特に離縁した夫婦の仲などは、もう取り返しがつかないということのたとえ。
周の太公望の故事から。
例文:
離婚してしまったら、覆水盆に返らずだ。
背水の陣(はいすいのじん)
意味・教訓:
川や海を背にして、退却できない状況で敵と戦う陣立て。
転じて、失敗すれば後がないという覚悟で、決死の覚悟で物事に臨むことのたとえ。漢の韓信の故事から。
例文:
この試合は、まさに背水の陣で臨むしかない。
如魚得水(じょぎょとくすい)
意味・教訓:
魚が水を得たようであるということ。「水を得た魚」と同じ意味。
自分に合った環境や、相性の良い相手に出会って、生き生きと活躍するさま。
『三国志』で劉備が諸葛亮を迎えた際に言った言葉。
例文:
彼は信頼できる上司を得て、まさに如魚得水の活躍ぶりだ。
「水」に関連する四字熟語
飲水思源(いんすいしげん)
意味・教訓:
水を飲むときには、その水源のことを思うべきであるということ。
物事の根本を忘れず、恩恵を受けた人や物事に感謝すべきであるという教え。
例文:
成功した今も、彼は飲水思源の気持ちを忘れずにいる。
山紫水明(さんしすいめい)
意味・教訓:
山が日に映えて紫色に見え、川の水が清らかに流れること。
美しい自然の風景を形容する言葉。
例文:
その地は山紫水明の景勝地として知られている。
流水行雲(りゅうすいこううん)
意味・教訓:
流れる水や空を行く雲のように、物事に執着せず、自然の成り行きに任せて行動すること。
淡々として自由なさま。
例文:
彼は流水行雲の如く、各地を旅して暮らしている。
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