意味
「空即是色」とは、実体のない空こそが、そのまま形あるものとして現れているということを説く仏教の言葉です。
『般若心経』の一節をそのまま四字にしたもので、「色即是空」と対になっています。
単独で使われることは少なく、「色即是空、空即是色」と続けて唱えられます。
- 空(くう):固定した実体がないこと。
- 即是(そくぜ):すなわち、それがそのまま。
- 色(しき):形のある物質や現象。
語源・由来
「空即是色」は、大乗仏教の経典『般若心経』に出てくる一節です。
経は、観自在菩薩が弟子の舎利子に向かって、あらゆる存在が空であることを説く形をとります。
その中に「色不異空、空不異色、色即是空、空即是色」と四つの句が並び、「空即是色」は最後に置かれています。
使い方・例文
「空即是色」は、形あるものと実体のなさを合わせて語る場面で使われます。
- 祖母は毎朝仏壇の前で、色即是空、空即是色と唱えている。
- 住職は空即是色の四字を、黒板に大きく書いて見せた。
- 何もない土地に町ができた。まさに空即是色である。
類義語・関連語
「空即是色」と対をなす句や、同じ仏教の考え方を表す言葉には以下のようなものがあります。
- 色即是空(しきそくぜくう):
形あるものは、そのまま実体のない空であるということ。 - 諸行無常(しょぎょうむじょう):
万物は絶えず変化し、一刻も同じ状態にとどまらないという世の理。 - 有為転変(ういてんぺん):
この世のあらゆる物事が絶えず移り変わり、少しもとどまらないこと。
「空即是色」と「色即是空」の違い
二つは『般若心経』の同じ箇所に並ぶ句で、形あるものと空との関わりを説く点は共通します。
違いは説く向きにあり、「色即是空」は形あるものの側から、「空即是色」は空の側から語ります。
| 語句 | 説き出す側 | 結ばれる先 |
|---|---|---|
| 色即是空 (しきそくぜくう) | 形あるもの | 実体がないこと |
| 空即是色 (くうそくぜしき) | 空 | 形として現れること |
源信が説いた、姿を観じる念仏
「空即是色」は、平安時代の日本の仏教書にも取り入れられています。
天台宗の僧・源信は九八五年(寛和元年)、浄土教の教えを説く『往生要集』を著しました。
全三巻、十の章からなり、多くの経典や論書から極楽往生に関わる文章を抜き出してまとめています。
この中で源信は、阿弥陀仏の姿かたちを心に思い描く「観相念仏」という修行法を中心にすえました。
抽象的な教えよりまず仏の姿を思い描くことから念仏を始めるよう説いています。
『往生要集』は日本の浄土教に大きな影響を与え、のちの法然や親鸞の思想にもつながっていきました。









コメント