意味
「蒟蒻問答」は、当人たちは真面目にやりとりしているつもりなのに、問いと答えがまるでかみ合っていない場面に使われます。
中身のかみ合わない、見当はずれのやりとりを、あきれた調子で言い表す言葉です。
「蒟蒻屋問答」という言い方もあります。
- 蒟蒻(こんにゃく):こんにゃく芋から作る食品。
- 問答(もんどう):問いと答えのやりとり。
語源・由来
「蒟蒻問答」は、同じ題名の落語から出た言葉です。
にわか住職になったこんにゃく屋の主人が旅僧に禅問答をしかけられ、口もきけず耳も聞こえないふりをしていると、旅僧はそれを無言の行ととりちがえて敬服してしまう、という筋です。
無言の行とは、口をきかずに過ごして心を整える修行のことをいいます。
この落語は二代目林屋正蔵の作とされます。
言葉としては、夏目漱石の『吾輩は猫である』(1905〜06年)の九に「若し善意を以て蒟蒻問答的に解釈してやれば」という一文が出てきます。
使い方・例文
「蒟蒻問答」は、質問と答えがすれ違ったまま進むやりとりを指すときに使われます。
- 委員会の質疑は、最後まで蒟蒻問答のままだった。
- 用語の定義がずれていて、会議が蒟蒻問答になった。
- 取扱説明書との蒟蒻問答で、半日を無駄にした。
類義語・関連語
「蒟蒻問答」と同じように、話が通じずやりとりが成り立たないようすを表す言葉には以下のようなものがあります。
- 頓珍漢(とんちんかん):
物事のつじつまが合わず、見当違いなこと。 - 馬の耳に念仏(うまのみみにねんぶつ):
どれほど価値のある教えでも、聞く側に受け入れる気がなければ何の役にも立たないということ。 - 暖簾に腕押し(のれんにうでおし):
相手の反応が鈍く、働きかけても全く手応えがないこと。
「蒟蒻問答」と「頓珍漢」の違い
どちらもつじつまが合っていないことを表し、話がずれている場面で並べて使われます。
分かれるのは、何を指してそう言うかです。
| 語句 | 指す対象 | 人そのものに使えるか |
|---|---|---|
| 蒟蒻問答 (こんにゃくもんどう) | 問いと答えのやりとり | 使わない |
| 頓珍漢 (とんちんかん) | 言動や物事の全般 | 使える |
英語表現
talk at cross purposes
互いに別のことを話しているのに気づかないまま話し続けることを表す言い方。
We were talking at cross purposes the whole time.
(私たちは最初から最後まで話がかみ合っていませんでした。)
talk past each other
相手の話をとらえないまま、それぞれが言いたいことだけを言い合う表現。
The two sides just talked past each other.
(両者はただすれ違ったまま話していただけでした。)
禅問答をこんにゃくの出来具合と勘違いした噺
落語「蒟蒻問答」は、江戸のこんにゃく屋の主人六兵衛が、住職の身代わりでにわか坊主になりすましたところから始まります。
旅の僧に禅問答を仕掛けられた六兵衛は、言葉の意味がわからないまま身振り手振りで応じるが、その仕草をこんにゃくの出来具合についての受け答えと勘違いしたまま、旅の僧はすっかり感服して立ち去ってしまいます。
話がまったくかみ合っていないのに、両者ともそれぞれの解釈で納得してしまうこの成り行きから、「蒟蒻問答」はちぐはぐなのに成立してしまうやり取りを指す言葉として使われるようになりました。









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