意味
「阿多福(おたふく)」とは、丸顔で鼻が低く、頬がふっくらとした女性の顔立ちを、醜いとして揶揄する言葉です。
「おたふく」の語は、丸顔の女性をかたどった面「阿多福面」や、頬が腫れる「阿多福風邪」の略称としても使われます。
語源・由来
「阿多福」は、丸顔で額が高く、鼻が低くて頬がふっくらとした女性の顔をかたどった面、「阿多福面」を略した言葉です。
この面は「おかめ」の呼び名でも知られ、狂言で不器量な若い女の役に使う「乙御前」の面も同じ系統の面です。
「おたふく」の「おた」は、「乙」がなまったものともいわれます。

(写真:LLAAYY、Wikimedia Commons/CC BY 4.0)
使い方・例文
「阿多福」は、古くは自分の妻をへりくだって呼ぶ言い方としても使われました。
- 祭りの舞台には、丸顔でふくよかな阿多福の面をつけた踊り手が現れた。
- 丸顔をからかわれ、子どものころは阿多福というあだ名で呼ばれていた。
- 亭主は「うちの阿多福には敵わない」と、妻を謙遜して呼んだ。
使うときの注意
「阿多福」は、丸顔で鼻が低いという生まれつきの顔立ちを、面になぞらえて女性をあざける言葉です。
本人には変えようのない容姿を笑いの種にするため、言われた側は、人柄や行いではなく体そのものを見下されることになります。
自分の妻をへりくだって呼ぶ使い方も、妻の容姿をおとしめる言い方であることに変わりはありません。
人に向かって使うことは避け、古い作品や面の呼び名を説明するときに触れるにとどめます。
類義語・関連語
この言葉と同様に、女性の容姿を評する言葉には、次のようなものがあります。
「阿多福」と類義語の違い
三つの言葉はいずれも女性の容姿に触れますが、直接さの度合いが異なります。
お多福豆もおたふく風邪も、名は阿多福の顔から
「阿多福」の丸くふっくらとした顔立ちは、まったく別の分野で二つの名前のもとになりました。
そら豆の一品種である「お多福豆」は、実が大きくふっくらと膨らんだ形が、この顔を思わせることから名付けられました。
ムンプスウイルスによる感染症、流行性耳下腺炎の俗称「おたふく風邪」も、耳の下が腫れて頬がふくらんだ顔つきになることに由来します。


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