残り物には福がある

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ことわざ
残り物には福がある
(のこりものにはふくがある)
異形:余り物に福がある/残り物に福あり

12文字の言葉」から始まる言葉

大皿に最後の一つだけ残った料理を、誰かに遠慮して譲る。
あみだくじで残り物の方を引く。
そんな、一見すると「損」をしたように思える瞬間に、予想もしなかった幸運が舞い込む。
欲をかかずに謙虚な姿勢でいたからこそ、後から良い結果がついてくる。
まさに、「残り物には福がある」(のこりものにはふくがある)というわけです。

意味・教訓

「残り物には福がある」とは、人が取り残したものや、最後に残ったものの中には、かえって良いものがあるという意味です。
また、先を争って欲張るよりも、控えめに他人に譲ることで、結果として思わぬ幸運が得られるという教訓も含まれています。
日常の些細な出来事から、人生の大きな選択まで、無欲な姿勢が報われる状況を指して使われます。

語源・由来

「残り物には福がある」の正確な起源となる特定の出来事や出典は分かっていません。
しかし、古くから日本人の生活感覚として、宴席の最後に残ったお酒(澱や旨味)が美味しかったり、福引で最後に残ったくじに当たりが入っていたりといった経験則が言葉として定着したと考えられています。

この言葉が日本全国に広く普及した大きな要因は、江戸時代に流行した「江戸いろはかるた」の読み札(「の」の札)に採用されたことです。
かるたに収録されたことで、庶民の間でも「他人に譲る」「欲を出さない」という美徳を肯定する言葉として親しまれるようになりました。

使い方・例文

「残り物には福がある」は、損を覚悟で譲った際や、たまたま最後に回ってきたものに満足した際に使われます。
自分自身の控えめな行動を肯定する場面や、誰かを励ます場面で用いられます。

例文

  • 最後に余ったくじを引いたら特賞が当たった。「残り物には福がある」とはこのことだ。
  • 友人に希望の席を譲って一番端に座ったが、そこは景色が最高で、まさに「残り物には福がある」だった。
  • 余った材料で作ってくれたサービス品が一番美味しかった。残り物には福があるものだ。
  • 閉店間際の店で最後に残っていた服を安く買えた。「残り物には福がある」を実感した。

類義語・関連語

「残り物には福がある」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 残り物には福がつく(のこりものにはふくがつくな):
    意味は全く同じで、最後に残ったものに幸運が付随していることを指します。
  • 待てば海路の日和あり(まてばかいろのひよりあり):
    今は状況が悪くても、焦らずに待っていれば幸運な好機が訪れるという意味です。

対義語

「残り物には福がある」とは対照的な意味を持つ言葉は、スピード感や積極性を重視するものが多く見られます。

  • 早い者勝ち(はやいものがち):
    人より早く行動した人が、良い条件や物を手に入れられるという考え方。
  • 先んずれば人を制す(さきんずればひとをせいす):
    人よりも一歩先に行動すれば、有利な立場に立てるという意味です。

英語表現

「残り物には福がある」を英語で表現する場合、以下の定型表現がニュアンスとして近くなります。

There is luck in the last helping.

  • 意味:「最後に残ったものには幸運がある」
  • 解説:料理の最後の一盛り(helping)を指す言葉ですが、日本の「残り物には福がある」に最も近い慣用表現です。
  • 例文:
    I took the last piece of cake. There is luck in the last helping.
    (ケーキの最後の一切れをもらったら、一番大きかった。残り物には福があるね。)

The best things are left to the last.

  • 意味:「最良のものは最後に残されている」
  • 解説:良いものは最後まで取っておかれる、あるいは最後に現れるという意味で、前向きなニュアンスで使われます。
  • 例文:
    Don’t worry about being last. The best things are left to the last.
    (最後になっても気にしないで。良いものは最後に残っているものだから。)

無欲の美学と心の余裕

「残り物には福がある」という言葉がこれほどまでに浸透している背景には、日本文化に深く根ざした「無欲」の美学があります。
無理に我を通さず、状況を静かに受け入れる姿勢は、周囲との和を重んじる社会において高く評価されてきました。

科学的な観点から見れば確率の問題に過ぎないかもしれませんが、譲ったという自分の善行が、その後に起きた小さなラッキーを「福」としてより大きく感じさせている側面もあります。
心の持ちよう一つで、ありふれた出来事が特別な幸運に変わる。
この言葉は、そんな人生を豊かにする「視点の変換」を教えてくれているのかもしれません。

まとめ

「残り物には福がある」という言葉は、私たちの日常にふとした安心感を与えてくれます。
効率や競争が重視される現代社会において、一歩引いて他人に道を譲る心の余裕を持つことは、決して容易ではありません。
しかし、あえて「残り物」を受け入れる度量を持つことで、周囲との関係が円滑になり、思いがけないチャンスが舞い込むきっかけになることでしょう。
欲張らず、穏やかな気持ちでいることが、最大の幸運を呼び寄せる秘訣と言えるかもしれません。

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