閑古鳥が鳴く

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慣用句
閑古鳥が鳴く
(かんこどりがなく )
短縮形:閑古鳥

9文字の言葉か・が」から始まる言葉
閑古鳥が鳴く 【個別】ことわざ・慣用句・四字熟語

かつては行列ができていたお店が、いつの間にかひっそりと静まり返っている様子。
または、期待してオープンした事業に人が集まらず、頭を抱えてしまうような状況。
そんな、客足が途絶えて寂しい様子を表現する際によく使われるのが「閑古鳥が鳴く」という言葉です。

「閑古鳥が鳴く」の意味

「閑古鳥が鳴く」とは、商売がはやらず、客が来なくてひっそりとしている様子のたとえです。

単に静かであるというだけでなく、本来は賑わっているべき場所(店、興行、観光地など)に人気がなく、寂れてしまっている状態を指します。

「閑古鳥が鳴く」の語源・由来

なぜ「閑古鳥」が鳴くと、商売がうまくいっていないことになるのでしょうか。その由来は、ある鳥の鳴き声名前に隠されています。

閑古鳥の正体は「カッコウ」

閑古鳥とは「カッコウ」のこと。鳴き声がそのまま名前になっていてる。

閑古鳥とは、ホトトギス目カッコウ科の鳥、カッコウの別名です。
カッコウは、初夏の山里などで「カッコー、カッコー」と独特の鳴き声を響かせます。

この鳴き声は、遠くまでよく通る一方で、どこか単調で物寂しい響きを持っています。昔の人々は、この声を「人を呼ぶ声」や「寂しさを誘う声」として捉えました。

「閑」の字が表す情景

「閑古鳥」という漢字表記に使われている「閑(かん)」は、「静かでひっそりしている」「のどか」という意味を持ちます(例:閑散、閑静)。

山奥でひっそりと響くカッコウの鳴き声が、人里離れた静寂を連想させることから、
人がいなくて寂しい」=「客が来ない」という比喩として定着しました。
江戸時代の俳諧や浄瑠璃などでも、すでにこの寂しさを象徴する鳥として描かれています。

「閑古鳥が鳴く」の使い方・例文

主にビジネス経済活動の文脈で使用されます。
飲食店、小売店、観光地、イベント会場など、「人が集まることを期待している場所」がガラガラである様子を嘆く際によく使われます。

例文

  • あんなに行列ができていたタピオカ店も、ブームが去って今では「閑古鳥が鳴く」状態だ。
  • 平日とはいえ、テーマパークの中は「閑古鳥が鳴く」ような静けさで、並ばずに乗り物に乗れた。
  • 立地条件を無視して出店したせいで、オープン初日から「閑古鳥が鳴く」という散々な結果に終わった。

「閑古鳥が鳴く」の誤用・使用上の注意点

単に「静かな場所」には使わない

この言葉は、あくまで「賑わうはずの場所に人がいない」というネガティブな静けさ(不景気、不人気)を表します。
図書館や高級ホテルのラウンジなど、元々静寂であることが良いとされる場所に対して「閑古鳥が鳴いている」と表現するのは誤りです。

相手への配慮が必要

「商売が上がったりだ」「人気がない」と指摘する言葉であるため、他人の店や事業に対して本人に直接言うのは失礼にあたります。
経営者の前で使う際は十分な配慮が必要です。基本的には、自虐的に使うか、客観的な情勢を語る際に用います。

「閑古鳥が鳴く」の類義語・関連語

客がいない、寂れている様子を表す言葉はいくつかあります。

  • 門前雀羅を張る(もんぜんじゃくらをはる):
    門の前(店の前)に、雀を捕まえる網を張れるほど人が通らないこと。訪問者がなく閑散としている様子のたとえ。
  • お払い箱
    不要なものとして捨てられること。または、解雇されること。
  • あがったり
    商売などがうまくいかず、どうにもならない状態。「商売あがったり」の形で使われる。
  • 冬の時代
    ある分野や業界全体が不振で、苦難が続いている時期。

「閑古鳥が鳴く」の対義語

商売が繁盛し、人があふれている様子を表す言葉です。

  • 門前市を成す(もんぜんいちをなす):
    門の前に市場ができるほど、多くの人が集まってくること。
  • 千客万来(せんきゃくばんらい):
    多くの客が次から次へとひっきりなしにやってくること。
  • 黒山の人だかり(くろやまのひとだかり):
    大勢の人が集まって、遠くから見ると黒い山のように見える様子。
  • 満員御礼(まんいんおんれい):
    相撲や演劇などの興行で、客席が一杯になったこと。

「閑古鳥が鳴く」の英語表現

英語でも「静かすぎる」「商売が遅い」といったニュアンスで表現します。

business is slow

  • 意味:「商売が暇だ」「景気が悪い」
  • 解説:最も一般的で直接的な表現です。店にお客さんが来ない状況をシンプルに伝えます。
  • 例文:
    Since the new mall opened, business has been slow at our store.
    (新しいモールが開店して以来、うちの店は閑古鳥が鳴いている。)

deserted

  • 意味:「ひとけのない」「寂れた」
  • 解説:砂漠(desert)のように人が全くいない状態を指します。
  • 例文:
    The shopping street was deserted on Monday morning.
    (月曜の朝、商店街は閑古鳥が鳴いていた。)

「閑古鳥」に関する豆知識

松尾芭蕉も愛した「寂しさ」

現代では「不景気」の代名詞のように使われる閑古鳥ですが、古くは風流な鳥として愛されていました。
俳人・松尾芭蕉は、以下の句を残しています。

憂き我をさびしがらせよ閑古鳥
(意訳:憂いの中にいる私を、その鳴き声でいっそう寂しがらせてくれ、閑古鳥よ。)

この句では、閑古鳥の鳴き声が持つ「物悲しさ」を、嫌なものではなく、むしろ孤独な心に寄り添う風情あるものとして捉えています。
江戸時代の人々にとって、閑古鳥は「侘び寂び」を感じさせる重要な存在だったのです。

なぜ「閑古」という漢字なのか?

カッコウの鳴き声をどう聞き取るか(聞きなし)には諸説ありますが、その一つに「カッコウ」という音に、漢字の「閑古」を当てたという説があります。
また、別の説では「喚子鳥(よぶこどり)」が変化して「閑古鳥」になったとも言われています。
いずれにせよ、「静かな古(いにしえ)」を連想させる「閑古」という字を当てた日本人の感性が光ります。

まとめ – 閑古鳥が鳴くときこそ

「閑古鳥が鳴く」は、商売において最も避けたい、客足が途絶えた静かな状態を表す言葉です。
カッコウの物寂しい鳴き声に、経営の苦しさや寂しさを重ね合わせた先人たちの表現力には驚かされます。

しかし、芭蕉がその寂しさを味わったように、静かな時間は「次の一手」を考えるための貴重な時間かもしれません。
閑古鳥が鳴いているときは、ただ嘆くだけでなく、その静寂を活かして準備を整えるチャンスと捉えてみるのも一つの知恵と言えるでしょう。

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