意味
「甲乙つけがたい(こうおつつけがたい)」とは、二つのもののどちらが上か、優劣を決められないという意味です。
「甲乙をつけがたい」「甲乙付け難い」とも書きます。
- 甲乙(こうおつ):二つのものの間の優劣。
- つけがたい:決めるのがむずかしい。
語源・由来
この言葉の「甲乙」は、十干の「甲」と「乙」から来ています。
十干は甲・乙・丙・丁と続く十の字の呼び名で、甲が一番目、乙が二番目にあたります。
そこから「甲乙」は第一と第二を表し、さらに二つのものの優劣を指すようになりました。
その優劣を「つけがたい」、つまり決めかねるというのがこの言葉です。
使い方・例文
- 二人の作文はどちらもよく書けていて、甲乙つけがたい。
- 決勝に残った二つの料理は甲乙つけがたい出来で、審査員も迷った。
- 旅先として山と海のどちらを選ぶか、私には甲乙をつけがたい。
類義語・関連語
どれも、二つのものの間に優劣の差が見つからないことを言う語です。
- 伯仲(はくちゅう):
力がつりあっていて、優劣を決めにくいこと。もとは兄と弟、長兄と次兄の意。 - 互角(ごかく):
双方の力量が同じくらいで、優劣の差がないこと。牛の左右の角に長短・大小の差がないところから。 - 五分五分(ごぶごぶ):
双方とも優劣がないこと。半分ずつであるさまにも使う。 - いずれ菖蒲か杜若(いずれあやめかかきつばた):
どちらもよく似ていて区別しにくく、一つを選ぶのに迷うこと。 - 兄たり難く弟たり難し(けいたりがたくていたりがたし):
両方ともすぐれていて、どちらが上とも決めにくいこと。中国の『世説新語』にある話から。 - 春蘭秋菊ともに廃すべからず(しゅんらんしゅうぎくともにはいすべからず):
春の蘭と秋の菊のように、どちらもすぐれていて捨てがたいことのたとえ。
英語表現
there is little to choose between
二つ以上のものがよく似ていて、どれを選んでも差がないさま。
There is little to choose between the two plans.
(二つの案は甲乙つけがたい。)
後漢の上奏文に見える「甲乙の科」
「甲乙」を順位づけに使う例は、中国の歴史書『後漢書』にもあります。
後漢の徐防は、国の学校である太学の試験のあり方を改めるよう皇帝に申し出た文書の中で、次のように述べています。
設甲乙之科,以勉勸學者
(甲乙の科を設けて、学ぶ者を励ました。)
「甲乙の科」は、試験の出来によって学ぶ者を甲・乙に分ける区分のことです。
日本でも十干は物を分ける記号として使われ、学業成績の表示に甲・乙などを用いた時代があります。
「甲乙つけがたい」は、こうして順位を表してきた甲と乙のどちらを付けるか決められない、という言い方です。

コメント