故事成語

春蘭秋菊ともに廃すべからず

(しゅんらんしゅうぎくともにはいすべからず)

二つのものがともにすぐれ、甲乙つけがたいことのたとえ。

短縮形:春蘭秋菊
異形:春蘭秋菊倶に廃すべからず

20文字の言葉 / 「し・じ」から始まる言葉
春蘭秋菊ともに廃すべからず ことば
スポンサーリンク

意味

「春蘭秋菊ともに廃すべからず(しゅんらんしゅうぎくともにはいすべからず)」とは、双方ともにすぐれていて、どちらが上とも決めにくいという意味です。
春の蘭も秋の菊もそれぞれに趣があって美しく、優劣をつけにくいことから、甲乙のつけがたいもののたとえとして使います。

  • 春蘭(しゅんらん):春に咲く蘭。
  • 秋菊(しゅうぎく):秋に咲く菊。
  • 廃す(はいす):捨てる。やめる。

語源・由来

この言葉は、唐の時代の歴史書『旧唐書くとうじょ』の裴子余はいしよの伝にある話が元です。
長寿二年、裴子余は鄠県こけんの役人になりました。
同じ役所の李朝隠と程行諶は、法令に通じていることで知られ、裴子余だけは文学の才で知られていました。

ある人が、雍州ようしゅうの長史ちょうし(= 州の長官を助ける役職)の陳崇業ちんすうぎょうに、三人のうちどちらがすぐれているかをたずねました。
陳崇業は、次のように答えました。

譬之春蘭秋菊,俱不可廢。
(たとえるなら春の蘭と秋の菊のようなもので、どちらも捨てることはできない。)

三人に優劣をつけず、春の蘭と秋の菊のようにどちらも欠かせないと答えたのが、この言葉の元です。
「春蘭秋菊倶に廃すべからず」とも書き、短く「春蘭秋菊」ともいいます。

使い方・例文

  • 二人の画風は異なるが、春蘭秋菊ともに廃すべからずで、優劣はつけられない。
  • 駅前の二つの書店は品ぞろえが違うが、春蘭秋菊ともに廃すべからずだ。
  • 兄の堅実さも弟の大胆さも長所で、春蘭秋菊ともに廃すべからずと評された。

「春蘭秋菊」の取り合わせは、古く『楚辞』の歌にもある

『楚辞そじ』(= 古代中国の詩集)の『九歌きゅうか』(= 神々をまつる歌)の一篇「礼魂れいこん」には、次の一句があります。

春蘭兮秋菊,長無絕兮終古。
(春の蘭、秋の菊。永遠に絶えることがない。)

『旧唐書』の話は優劣をたとえる答えで、『楚辞』の句は春と秋の花を並べて絶えないことを詠んだものです。
使い方は違いますが、春の蘭と秋の菊を対にする形は、古い中国の詩にも見えます。

スポンサーリンク

コメント