芸は身を助ける

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ことわざ
芸は身を助ける
(げいはみをたすける)
異形:芸は身を助く

9文字の言葉け・げ」から始まる言葉

子どもの頃に無理やり通わされた習い事が、大人になってからの仕事で思わぬ役に立った。
あるいは、息抜きで続けていた趣味が、経済的な苦境を救う副収入を生み出してくれた。
そんなふうに、身につけた技術や特技がのちの人生で自分を救う支えになることを、
「芸は身を助ける」(げいはみをたすける)と言います。

意味・教訓

「芸は身を助ける」とは、何かしら一つでも技術や特技を身につけておけば、将来生計を立てたり、困難な状況に立たされたりしたときに役立つという意味です。

ここでの「芸」とは、伝統芸能や芸術分野に限らず、語学、料理、専門知識、パソコンのスキルなど、人が習得できるあらゆる技術や才能を含みます。
「今は何の役に立つか分からなくても、無駄にせず磨いておけばいつか自分を助けてくれる」という、学びや自己研鑽を奨励する教訓が込められています。

語源・由来

「芸は身を助ける」は、特定の中国の故事などに由来するものではなく、古くから日本人の経験則として語り継がれてきた言葉です。

古くは、江戸時代初期の1638年に成立した俳諧論書『毛吹草(けふきぐさ)』に収録されていることわざの中に「芸は身を扶(たす)く」という記述が確認できます。
当時は身分制度が厳しく、職人や芸人の専門技能を指す意味合いが強い言葉でしたが、貨幣経済が発展し庶民の生活が豊かになるにつれ、「身分に関わらず、手に職を持っておくことは生きていくための強力な武器になる」という処世術として広く定着していきました。

現代使われている「助ける」は、本来の「助く」という文語体が口語的な表現へと変化したものです。

使い方・例文

「芸は身を助ける」は、自分の特技が予期せず役立ったときや、これから新しいことを学ぼうとする人(あるいは子ども)の背中を押す場面で使われます。

  • 趣味で続けていたカメラの技術が縁で仕事に繋がり、まさに芸は身を助けるだと実感した。
  • 幼い頃に仕込まれた珠算が、今の経理の仕事で芸は身を助ける結果となった。
  • 芸は身を助けると言うから、興味を持った語学は諦めずに続けておきなさい。

類義語・関連語

「芸は身を助ける」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 手に職をつける(てにしょくをつける)
    生活していけるだけの専門的な技術や資格を身につけること。
  • 一芸に秀でる(いちげいにひいでる)
    特定の分野において、他の人よりも優れた才能や技術を持っていること。
  • 芸は身を飾る(げいはみをかざる)
    優れた技術や特技を持っていると、その人の魅力や品格を高めること。

対義語

「芸は身を助ける」とは対照的な意味を持つ言葉は、以下の通りです。

  • 芸は身の仇(げいはみのあだ)
    特技や才能があるばかりに、人に利用されたり、本業をおろそかにしたりして、かえって身を滅ぼす原因になること。
  • 多芸は無芸(たげいはむげい)
    多くの技能に手を出している人は、結局のところ一つも深く極めたものがないということ。

英語表現

「芸は身を助ける」を英語で表現する場合、技術が生活の糧や財産になることを示す以下のことわざや格言が当てはまります。

A trade in hand finds bread in every land.

意味:手に職があれば、どの国でもパン(食糧)が見つかる。
身につけた技術(trade)があれば、どこへ行っても生計を立てて生きていけるという意味の古いことわざです。

  • 例文:
    You should learn programming. A trade in hand finds bread in every land.
    プログラミングを学ぶべきだよ。芸は身を助けると言うからね。

He that hath a trade hath an estate.

意味:手に職を持つ者は、財産(地所)を持つのと同じだ。
アメリカの建国の父であるベンジャミン・フランクリンが著書の中で残した有名な格言です。
「身につけた技術は、決して奪われることのない一生の財産になる」という、スキルの価値を高く評価した表現です。

  • 例文:
    My grandfather always told me, “He that hath a trade hath an estate.”
    祖父はいつも「芸は身を助ける(手に職は一生の財産だ)」と私に言っていた。

豆知識:「仇」にもなる芸の二面性

対義語のセクションにもある通り、この言葉には「芸は身の仇(あだ)」という正反対のことわざが存在します。

特技があるがゆえに周囲から都合よく無給で仕事を押し付けられてしまったり、趣味の技術向上にのめり込むあまり本業や家庭をないがしろにしてしまったりと、使い方を間違えれば「芸」は自分を苦しめる仇にもなり得ます。

現代は「リスキリング(学び直し)」や「副業」が推奨され、個人が多様なスキルを身につけることが求められる時代です。「芸は身を助ける」はかつてないほど現実味を帯びていますが、ただ漫然とスキルを集める「器用貧乏」になるのではなく、それを「どう活かし、どう自分の人生を守る手段にするか」という冷静な視点を持つことが、現代における真の教訓と言えるでしょう。

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