「若い頃に夢中になっていた趣味が、思わぬ形で現在の仕事に役立った」「何気なく習い始めたスキルが、経済的な苦境を救ってくれた」といった経験はありませんか。
「芸は身を助ける(げいはみをたすける)」とは、まさにそのような状況を示す、古くから伝わる教訓です。
「芸は身を助ける」の意味・教訓
「芸は身を助ける」とは、何かしら一つでも芸(技術や特技)を身につけておけば、それが将来、困難な状況や生計に困った時に、自分自身を助ける思わぬ支えとなる、という意味です。
ここでの「芸」とは、伝統芸能や音楽のような専門的な技術だけを指すのではありません。
趣味で身につけた知識、語学力、料理の腕前、人を楽しませる特技など、あらゆる「スキル」や「才能」を幅広く含みます。
「今は役に立たないように思えることでも、無駄にせず磨いておけば、いつかきっと自分の助けになる」という、学びや習得への奨励が込められています。
「芸は身を助ける」の語源
この言葉には、特定の人物や書物に由来する明確な語源はありません。古くから人々の経験則として、日本社会で広く言い伝えられてきたことわざです。
かつては職人や芸事が「手に職をつける」ことと直結していた時代背景から生まれ、時代が変わった現代でも、スキルの重要性を説く教訓として生き続けています。
「芸は身を助ける」の使い方と例文
子供に習い事を勧めるときや、自分のスキルが予期せず役立ったとき、あるいは将来のために何かを学ぼうと決意したときなど、ポジティブな文脈で広く使われます。
例文
- 「若い頃に習っていた書道のおかげで、今でもお客様への礼状を褒められる。芸は身を助けるものだと実感している。」
- 「趣味で始めたプログラミングが評価され、会社のシステム開発に貢献できた。まさに芸は身を助けるだ。」
- 「どんなことでも無駄にはならないよ。芸は身を助けると言うから、興味があるなら何でも挑戦してみなさい。」
類義語・関連語
- 手に職をつける(てにしょくをつける):
生活していけるだけの専門的な技術や資格を身につけること。「芸は身を助ける」と非常に近い意味で使われる。 - 一芸に秀でる(いちげいにひいでる):
何か一つの分野で、人より優れた才能を持っていること。 - 芸は身を助く(げいはみをたすく):
「助ける」を文語体の「助く」にした、ほぼ同じ意味の表現。
対義語
- 芸は身の仇(げいはみのあだ):
芸(才能)があるばかりに、かえって災難を招いたり、身を滅ぼしたりすること。 - 器用貧乏(きようびんぼう):
何でも一通りこなせるが、どれも中途半端で一つのことを極められず、かえって大成しないこと。 - 多芸は無芸(たげいはむげい):
多くの芸(スキル)を持っていることは、かえって一つの優れた芸を持っていないのと同じであるということ。「器用貧乏」とほぼ同義。
英語での類似表現
Skill pays the bills
- 意味:「スキルが勘定(請求書)を払ってくれる」
- 解説:非常に現代的で直接的な表現です。「身につけた技術が、生活費を稼ぐ助けになる」という、「芸は身を助ける」の側面を端的に表しています。
- 例文:
I never thought my hobby would be useful, but skill pays the bills.
(趣味が役立つとは思ってもみなかったが、まさに「芸は身を助ける」だ。)
A skill learned is a treasure earned
- 意味:「学んだスキルは、得た宝物だ」
- 解説:「芸」を「宝物(treasure)」にたとえ、その価値が将来的に自分を豊かにしてくれる(助けてくれる)というニュアンスを持つ表現です。
- 例文:
Keep practicing. A skill learned is a treasure earned.
(練習を続けなさい。「芸は身を助ける」というからね。)
「芸は身を助ける」に関する豆知識
このことわざには、「芸は身の仇」という正反対の言葉があります。
才能があるがゆえに他人から妬まれたり、難しい仕事を押し付けられたり、あるいはその才能を悪用して身を滅ぼしたりと、芸がマイナスに働くこともあり得ます。
「芸は身を助ける」か「芸は身の仇」となるかは、その芸(スキル)の使い方や、本人の心がけ、そして周囲の環境次第とも言えるでしょう。
まとめ – 「芸は身を助ける」から学ぶ知恵
「芸は身を助ける」は、一見すると無駄に思えるような学びや経験も、いつかどこかで必ず自分の力になる、という希望と奨励のメッセージが込められた言葉です。
変化の激しい現代社会において、どのようなスキルが将来役立つかは誰にも予測できません。
だからこそ、興味を持ったことや好きなことを追求し、自分だけの「芸」を磨いておくことが、未来の自分を助ける一番の資産になるのかもしれませんね。






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