守株

故事成語
守株(しゅしゅ)
異形:守株待兔

4文字の言葉し・じ」から始まる言葉

「昔からのやり方だから変えられない」
「一度うまくいったから、次も同じようにすれば大丈夫だろう」
このように、古い習慣や過去の成功体験にこだわりすぎて、新しい変化に対応できないことはないでしょうか。

「守株」の意味・教訓

「守株(しゅしゅ)」とは、古い習慣や考え方に固執して、時代の変化や新しい状況に対応できないこと、また、進歩がないことを意味します。
文字通りには「株(くいぜ、切り株のこと)を守る」という意味ですが、そこから転じて、融通がきかない頑固な態度や、偶然の幸運をあてにして努力を怠る様子を指すようになりました。

この言葉には、「変化を受け入れず古い慣習に固執するのは愚かである」「偶然の幸運ばかりを期待すべきではない」といった教訓が含まれています。

「守株」の語源

「守株」の語源は、中国の思想書『韓非子(かんぴし)』の五蠹(ごと)篇に記された故事です。

昔、そうの国に一人の農夫がいました。
ある日、畑を耕していると、一匹の兎が走ってきて、畑にあった切り株()に頭をぶつけて死んでしまいました。
農夫は思いがけず兎を手に入れ、喜びました。
彼はそれに味をしめ、くわを捨てて、毎日その切り株のそばで見張り(守り)、また兎がぶつかってくるのを待ち続けました。
もちろん、二度と兎が現れることはなく、農夫は国中の笑いものになった…という話です。

この故事から、「株を守りて兎を待つ」、略して「守株」という言葉が生まれ、「古いやり方に固執すること」や「偶然の幸運をあてにすること」を意味するようになりました。
守株待兎(しゅしゅたいと)」という四字熟語としてもよく知られています。

「守株」が使われる場面と例文

現代では、変化を拒んで旧態依然としている組織や人物、過去の成功体験に固執して新しい挑戦をしない態度などを批判的に表現する際に使われます。
「守株待兎」の形で使われることも多いです。

例文

  • あの会社は、いまだに「守株」の経営から抜け出せずにいる。
  • 彼の頑なな態度は、まさに「守株」と言わざるを得ない。
  • (守株待兎の形で)過去のヒット作の再現ばかり狙うのは、「守株待兎」に等しい。

「守株」の類義語・言い換え表現

  • 守株待兎(しゅしゅたいと):
    守株の語源となった故事をそのまま四字熟語にしたもの。偶然の幸運をあてにすること、古い習慣に固執することの両方の意味合いを持つ。
  • 旧態依然(きゅうたいいぜん):
    昔のままで、少しも進歩や発展がないさま。「守株」の「進歩がない」側面を指す。
  • 因循姑息(いんじゅんこそく):
    古い習慣ややり方に従うだけで、その場しのぎの対応をすること。
  • 融通がきかない(ゆうずうがきかない):
    状況に応じて柔軟に対応できないこと。頑固さや固執する態度を指す。
  • 頑固(がんこ):
    かたくなで、自分の考えや態度をなかなか変えようとしないさま。

「守株」の対義語

  • 臨機応変(りんきおうへん):
    その時々の状況や変化に応じて、適切な対応をとること。
    ※固定的な「守株」とは対照的に、柔軟な対応を示す。
  • 融通無碍(ゆうずうむげ):
    考え方や行動が何物にもとらわれず、自由であるさま。
    ※固執する「守株」とは逆の、自由で柔軟な状態。
  • 進取(しんしゅ):
    従来の慣習や考えにとらわれず、新しいことを進んで取り入れようとすること。
    ※現状維持の「守株」とは対照的な、積極的な姿勢。
  • 変革(へんかく):
    物事の仕組みや方法などを根本的に改めて変えること。

「守株」の英語での類似表現

  • stand pat:
    意味:(トランプ用語から)現状維持の姿勢をとる、変化を拒む。
  • stick to one’s old ways:
    意味:古いやり方に固執する。
  • hidebound:
    意味:考え方が狭い、古い慣習にとらわれた、頑固な。
  • waiting for sheer luck / waiting for a windfall:
    意味:まぐれ当たりを待つ、棚ぼたを待つ。(守株待兎の「偶然を待つ」ニュアンス)

まとめ – 変化の時代と守株の教え

「守株」とは、古い習慣や考えに固執して進歩がないこと、また、偶然の幸運をあてにすることを意味する言葉です。
その語源は、切り株を守って兎を待った農夫の故事にあります。

変化の激しい現代において、「守株」の教えは特に重要です。
過去の成功や慣習にとらわれず、常に状況を見極め、柔軟に変化に対応していく姿勢、そして偶然に頼るのではなく、自らの努力で未来を切り開くことの大切さを、この言葉は私たちに教えてくれます。

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