「非の打ち所がない演技だった」
「まさに完璧な出来栄えだ」
私たちは、仕事や作品、人の能力や容姿などに対して、「完璧」という言葉を使って最大限の賛辞を送ることがあります。
今回は、この「完璧」という言葉の意味と、その由来となったドラマチックな故事についてご紹介します。
この記事を読めば、「完璧」という言葉への理解がより一層深まるでしょう。
「完璧」の意味・教訓
「完璧」とは、欠点や足りないところが全くなく、すべてがそろっている状態のことです。
非の打ちどころがなく、この上なく優れている様子を表します。
人や物事の状態が、理想的であり、完全であることを示す言葉です。
「完璧」の語源
「完璧」の語源は、中国の春秋戦国時代に記された歴史書『史記』にある、趙国の名宝「和氏の璧」にまつわる故事に由来します。
当時、秦の国の王が、趙の国が持つ宝玉「和氏の璧」を欲しがり、15の城と交換しようと持ちかけました。
趙の王は、秦が璧だけをだまし取るつもりではないかと疑いましたが、断れば秦の侵攻を招く恐れがありました。
そこで、趙の家臣である藺相如が使者として、璧を持って秦へ行くことになりました。
案の定、秦の王は璧を手に入れると城を渡すそぶりを見せません。
それを見抜いた藺相如は、「その璧には小さな傷があります。お教えしましょう」と巧みに言って璧を取り返しました。
そして、「もし約束通り城を渡さないのであれば、この璧を柱に叩きつけて壊してみせます」と強い態度で迫り、秦王を脅しました。
最終的に、藺相如はその機知と勇気で、璧を傷一つなく(=璧を完(まった)くして)趙へ持ち帰ることに成功したのです。
この「璧(へき、宝玉のこと)を完(まった)うす」という故事から、「完璧」という言葉が生まれ、「欠点がなく完全である」という意味で使われるようになりました。
※「和氏の璧」は、15城もの価値がある璧という意味で「連城の璧」と称されるようにもなりました。
「完璧」が使われる場面と例文
現代では、人や物事の状態が非常に優れており、欠点が見当たらないことを賞賛する際に広く使われます。
仕事の成果、スポーツ選手の演技、芸術作品、人の容姿や能力、計画の遂行など、様々な対象に対して用いられます。
例文
- 彼女のピアノ演奏は技術も表現力も「完璧」で、聴衆を魅了した。
- 準備から実行まで、今回のプロジェクトは「完璧」に進んだと言えるだろう。
- 彼はルックスも性格も良く、まさに「完璧」な男性だ。
「完璧」の類義語・言い換え表現
- 完全(かんぜん):
必要なものがすべてそろっており、不足や欠点がないこと。完璧と非常に近い意味で使われる。 - パーフェクト (perfect):
英語の「perfect」から来た言葉。完璧と同じ意味で、日常会話でも頻繁に使われる。 - 非の打ち所がない(ひのうちどころがない):
欠点や短所がどこにも見当たらないさまを表す慣用的な表現。 - 十全(じゅうぜん):
少しも欠けたところがないこと、万全であること。やや硬い表現。 - 万全(ばんぜん):
全く手落ちがなく、完全であること。特に、準備や対策がしっかり整っている状態を指すことが多い。「万全の体制」など。
「完璧」の対義語
- 不完全(ふかんぜん):
完全ではないこと、欠点や不足があること。 - 欠陥(けっかん):
足りないところ、不備な点。 - 未完成(みかんせい):
まだ全部が出来上がっていないこと。 - 中途半端(ちゅうとはんぱ):
物事が完了しておらず、どっちつかずの状態であること。
「完璧」の英語での類似表現
- perfect:
意味:完璧な、完全な。最も一般的で広く使われる。 - flawless:
意味:傷のない、欠点のない。物理的な傷のなさだけでなく、演技や出来栄えについても使う。(例: a flawless diamond – 完璧なダイヤモンド) - impeccable:
意味:非の打ちどころのない、申し分のない。特に、品質、能力、行動などが非常に高い水準にあることを示す。(例: impeccable service – 完璧なサービス) - ideal:
意味:理想的な、申し分のない。
まとめ – 完璧という理想
「完璧」とは、欠点や不足が一切なく、非の打ちどころがない状態を意味する言葉です。
その語源は、中国の故事で、家臣の藺相如が知恵と勇気で国の宝玉「和氏の璧」を傷一つなく持ち帰ったことに由来します。
私たちはしばしば「完璧」を理想として追求しますが、現実の世界で真に完璧な状態を見つけるのは難しいかもしれません。
しかし、この言葉は、物事をより良くしようと努力する姿勢や、達成された素晴らしい状態への賞賛を表す上で、重要な役割を果たしています。
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