自分を慕って来る人は誰でも受け入れ、離れていこうとする人は無理に引き留めない。
このような執着のない人間関係の心構えを表すのが、
「来る者は拒まず、去る者は追わず」(くるものはこばまず、さるものはおわず)です。
意味
来る者は拒まず、去る者は追わずは、自分を慕ってくる者は寛容に受け入れ、去っていく者は本人の自由意志を尊重して無理に引き留めないという意味です。
語源・由来
古代中国の思想家である孟子の言行録『孟子』尽心・下に由来します。
原文では「往く者は追わず、来たる者は拒まず」と記されており、学ぶ意欲があって訪ねてくる者は身分を問わず受け入れ、去っていく弟子は無理に引き留めないという、教育者としての公平で執着のない態度を示した言葉でした。
使い方・例文
「来る者は拒まず、去る者は追わず」は、対人関係において執着を手放し、相手の意思を尊重する場面で使われます。
- 誰に対しても分け隔てなく接し、来る者は拒まず、去る者は追わずの姿勢を貫いている。
- 人間関係に執着せず、来る者は拒まず、去る者は追わずを信条としている。
類義語・関連語
「来る者は拒まず、去る者は追わず」と似た意味を持つ言葉には、以下のものがあります。
- 袖振り合うも多生の縁(そでふりあうもたしょうのえん):
道ですれ違うような些細な出会いにも前世からの縁があるという考え方。
出会いと別れを自然の流れとして受け入れる点で本語に通ずる姿勢。
対義語
「来る者は拒まず、去る者は追わず」と反対の意味を持つ言葉には、以下のものがあります。
- 後を追う(あとをおう):
去ろうとする相手を未練がましく引き留めたり、執着して追いかけたりする行為。
※ことわざとしての明確な対義語は定着していないための慣用的な対概念。
英語表現
welcome all who come, wish well all who go
直訳:来る者を歓迎し、去る者の幸を願う
意味:来訪者を寛容に受け入れ、去る者を無理に引き留めない執着のない姿勢
- 例文:
He lives by the principle: welcome all who come, wish well all who go.
彼は来る者は拒まず、去る者は追わずの精神で生きています。
※本語に直接対応する定型の英語慣用句は存在しないため、意味を反映した表現を採用しています。
執着しないことは、愛情がないことではない
「来る者は拒まず、去る者は追わず」は、一見すると「自分からは積極的に関わらない」「相手に無関心である」といった消極的で冷淡な態度と誤解されやすい言葉です。
特に親密な関係において、相手が引き留めてほしいと望んでいる場面でこのスタンスをとると、愛情がないと受け取られるリスクがあります。
しかし本来は、相手をコントロールしようとする自己中心的な欲求を手放し、相手の自由意志を尊重するという、自立した人間同士の健全な距離感を説いた教えです。
決して無関心なのではなく、他者へ執着しないという精神的な成熟を表しています。








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