意味
「来る者は拒まず、去る者は追わず(くるものはこばまずさるものはおわず)」とは、近づいてくる人は心を開いて迎え入れ、離れていく人の選択は尊重して深追いしないという意味です。
語源・由来
古代中国の思想家である孟子の言行録『孟子』尽心・下に由来します。
原文では「往く者は追わず、来たる者は拒まず」と記されており、学ぶ意欲があって訪ねてくる者は受け入れ、去っていく弟子は無理に引き留めないという、教育者としての公平で執着のない態度を示した言葉でした。
使い方・例文
「来る者は拒まず、去る者は追わず」は、対人関係において執着を手放し、相手の意思を尊重する場面で使われます。
- 誰に対しても分け隔てなく接し、来る者は拒まず、去る者は追わずの姿勢を貫いている。
- 人間関係に執着せず、来る者は拒まず、去る者は追わずを信条としている。
類義語・関連語
「来る者は拒まず、去る者は追わず」と似た意味を持つ言葉には、以下のものがあります。
- 袖振り合うも多生の縁(そでふりあうもたしょうのえん):
道ですれ違うような些細な出会いにも前世からの縁があるという考え方。
出会いと別れを自然の流れとして受け入れる点で本語に通ずる姿勢。
対義語
「来る者は拒まず、去る者は追わず」と反対の意味を持つ言葉には、以下のものがあります。
- 後を追う(あとをおう):
去ろうとする相手を未練がましく引き留めたり、執着して追いかけたりする行為。
※ことわざとしての明確な対義語は定着していないための慣用的な対概念。
英語表現
Welcome the coming, speed the parting guest
直訳:来る客を迎え、去る客を送り出せ
18世紀英国の詩人アレクサンダー・ポープが、ホメロス『オデュッセイア』の英訳に書いた一行。
来る客は温かく迎え、帰りたい客は引き留めずに送り出すという、もてなしの心得を表す表現。
『孟子』の原文は「往く者は追わず」が先
この言葉が出てくるのは、孟子の従者が盗みを働いたのではないかと疑われた場面です。
その問答の中で、孟子の門下の受け入れ方を言い表したのがこの一文です。
原文では「去る者」ではなく「往く者」が先に置かれており、現在日本で定着している語順とは前後が入れ替わっています。
特定の相手に執着せず、訪れる者と去る者の両方を等しく受け入れる孟子の姿勢は、長い時間を経て人間関係全般における距離の取り方を表すことわざとして定着しました。













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