意味
「乳母日傘(おんばひがさ)」とは、子供が乳母をつけられ、外出には日傘を差しかけられるほど、大事に育てられるという意味です。
かつての裕福な家庭で、至れり尽くせりの世話を受けて育つ様子を象徴しています。
単に「大切にされている」という意味だけでなく、「苦労を知らずに育った」という皮肉を込めて使われることもあります。
構成する言葉を分解すると、その手厚さがより鮮明になります。
- 乳母(おんば):母親に代わって赤ん坊に乳を与え、育児や身の回りの世話を専門に行う女性。
- 日傘(ひがさ):外出時に強い日光を遮るための傘。
自分では何一つ動く必要がなく、移動中さえも日差しから守られるほど、徹底して保護されている状態を表しています。
語源・由来
「乳母日傘」は、幼い子に乳母をつけ、外出のときには強い日に当たらないよう日傘を差しかけて育てる様子から生まれた言葉です。
乳母をつけ、日傘を差しかけて育てるほどの手厚い世話から、子供が裕福な家で大切に育てられることを表します。
使い方・例文
「乳母日傘」は、育ちの良さを説明する際や、苦労知らずな様子を指摘する場面で使われます。
家庭内での会話だけでなく、教育論や人物評としても登場します。
- 乳母日傘で育ったせいか、彼は初めての独り暮らしで家事が分からず困っている。
- 「乳母日傘で育てるばかりが愛情ではない」と、ベテラン教師が保護者に語った。
- 彼女を乳母日傘のお嬢様と揶揄する者もいるが、本人は至って謙虚だ。
誤用・注意点
「乳母日傘」の読み方は「おんばひがさ」です。
「乳母」をこの語で「うば」と読むのは誤りで、正しくは「おんば」と読みます。
「おんば」は「おうば」が変化した読み方で、「日傘」を「ひからかさ」と読む「おんばひからかさ」という言い方もあります。
また、相手を直接「あなたは乳母日傘ですね」と評するのは避けるべきです。
この言葉は「苦労を知らずに育った」という皮肉を込めて使われることもあるため、相手の育ちを評する言い方としては失礼にあたることがあります。
類義語・関連語
「乳母日傘」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 掌中の珠(しょうちゅうのたま):
手のひらの中にある宝玉のように、非常に大切にしているものの例え。 - 箱入り娘(はこいりむすめ):
外に出さず、家の中で大切に育てられた娘のこと。 - 温室育ち(おんしつそだち):
厳しい環境を知らず、恵まれた保護の下で育つこと。 - 蝶よ花よ(ちょうよはなよ):
子供を非常にかわいがり、ちやほやして育てる様子。
対義語
「乳母日傘」とは対照的な意味を持つ言葉は以下の通りです。
- 獅子の子落とし(ししのこおとし):
あえて我が子を厳しい状況に突き放し、強く育てようとすること。 - 可愛い子には旅をさせよ(かわいいこにはたびをさせよ):
子供がかわいいなら、甘やかすのではなく、世間の苦労を経験させるべきだという教訓。
英語表現
「乳母日傘」を英語で表現する場合、育ちの良さや過保護さを表す定型句が使われます。
Born with a silver spoon in one’s mouth
直訳は「銀のスプーンをくわえて生まれてくる」で、「裕福な家に生まれる」「恵まれた環境で育つ」という意味を表す表現。
生まれつき特権的な保護を受けている状態を指す。
He was born with a silver spoon in his mouth and has never known hardship.
(彼は乳母日傘の環境で生まれ、苦労というものを知らない)
Wrapped in cotton wool
直訳は「脱脂綿(コットンウール)で包む」で、「過保護に育てる」「過剰に守る」という意味を表す表現。
壊れやすいものをコットンで包む様子から、子供を世の中の厳しさから遮断して守る様子を表す。
Stop wrapping him in cotton wool; he needs to learn from his mistakes.
(彼を乳母日傘のように守りすぎるのはやめなさい。失敗から学ぶ必要がある)









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