意味
「死馬の骨を買う(しばのほねをかう)」とは、大した価値のないものにまず大金を投じてみせることで、それを見た本物の逸材が自然と集まってくることを意味することわざです。
死んだ馬の骨のような不要なものでも高く買い取る姿勢を見せ、本物を求めている熱意を周囲に知らしめる比喩として用いられます。
打算的でありながら、大きな目的を達成しようとする強い決意の響きを持つ言葉です。
- 死馬:死んだ馬。転じて価値がなくなったものの例え。
- 骨:死骸の一部。ここでは全く役に立たないものの例え。
語源・由来
「死馬の骨を買う」は、中国の戦国時代の歴史を記した『戦国策(せんごくさく)』にある、燕(えん)の国の逸話に基づいています。
燕の昭王(しょうおう)が優秀な人材を求めていた際、臣下の郭隗(かくかい)が一つの寓話を語りました。
ある王が千金で千里を走る名馬を求めましたが、三年たっても手に入りませんでした。
王の側仕えが買い付けに出て、三か月で千里の馬を見つけましたが、馬はすでに死んでいました。
側仕えはその首を五百金で買って帰り、怒る王に次のように答えました。
死馬且買之五百金,況生馬乎?天下必以王為能市馬,馬今至矣。
(死んだ馬でさえ五百金で買ったのです。生きた馬ならなおさらです。天下の人々は、王は馬をよく買う方だと思うでしょう。馬はすぐにやって来ます。)
この言葉どおり、一年もたたないうちに千里の馬が三頭も届きました。
ことわざでは「骨」と言いますが、『戦国策』の原文で五百金で買ったのは馬の首です。
ちなみに、郭隗はこの話の後に「まずは私(郭隗)を優遇してください」と続け、これが「先ず隗より始めよ」という言葉の由来にもなりました。
使い方・例文
「死馬の骨を買う」は、優秀な人材を獲得したいときや、将来の大きな利益のためにあえて無駄に見える先行投資をする場面で使われます。
- 優秀な人を招くには、まず死馬の骨を買う覚悟が必要だ。
- 無名の若手を破格の待遇で迎え、腕の立つ職人が集まるのを待つ。死馬の骨を買う戦略である。
類義語・関連語
「死馬の骨を買う」と同様に、人材の登用や物事の始め方に関する言葉には以下のようなものがあります。
- 先ず隗より始めよ(まずかいよりはじめよ):
遠大な計画を実現するために、まずは身近なところから着手すべきだという教え。 - 三顧の礼(さんこのれい):
有能な人材を招くために、地位の高い者が礼を尽くして何度も足を運ぶ態度。
死馬の骨を買う話を聞いた昭王のもとへ、楽毅らが集まった
『戦国策』燕策には、郭隗の話を聞いた昭王のその後が、次のように記されています。
於是昭王為隗築宮而師之。樂毅自魏往,鄒衍自齊往,劇辛自趙往,士爭湊燕。
(そこで昭王は郭隗のために宮殿を築き、師として仕えた。楽毅は魏から、鄒衍は斉から、劇辛は趙からやって来て、士は争って燕に集まった。)
燕はその後、楽毅を上将軍として秦・楚や韓・魏・趙と手を組んで斉を攻め、斉の都の臨淄まで攻め入りました。
死んだ馬の骨を買うという郭隗の策は、燕の国で実際に人材を呼び寄せる結果になりました。











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