見上げる夜空に、数え切れないほどの星々が瞬いている。
その一つひとつが強い輝きを放ち、広大な天の川を彩る光景は、見る者を圧倒します。
そんな、きらびやかなスターたちが一堂に会する様子を、
「綺羅星」(きらぼし)と言います。
意味・教訓
「綺羅星」とは、立派な人や才能あふれる人々が数多く並んでいる様子を例えた言葉です。
本来は「綺羅、星の如し」(きら、ほしのことし)という表現が短縮されたもので、単に「夜空の星」を指すのではなく、その場に集まった人々の華やかさや、その勢いの凄まじさを強調する際に使われます。
- 綺羅(きら):
美しい衣服のこと。転じて、それをまとった華やかな人々を指します。 - 星(ほし):
夜空の星。ここでは、数え切れないほどたくさんあることの例えです。
語源・由来
「綺羅星」という言葉は、本来「綺羅、星の如し」(きら、ほしのことし)という比喩表現でした。
「綺羅」とは、絹のあや織物(綺)と、薄い絹(羅)を指し、かつての貴族が身にまとった豪華な装束を意味します。
宮中などで、色とりどりの衣装を着た人々が大勢集まっている様子を、夜空に散らばる無数の星になぞらえたのが始まりです。
注意が必要なのは、「キラキラ光る星」というオノマトペが語源ではない点です。
「綺羅」と「星」という二つの言葉が結びついて一つの言葉のように扱われるようになったのは、江戸時代から明治時代にかけての比較的新しい変化だと考えられています。
本来は「綺羅、星の如し」と区切って読まれていました。
使い方・例文
「綺羅星」は、特定の分野で活躍する著名人や、優れた才能を持つ人々が一箇所に集結している、非常に豪華なシチュエーションで用いられます。
例文
- 今大会には、世界ランキング上位の選手たちが綺羅星のごとく顔を揃えている。
- 文化祭のステージに、各クラスから選ばれた芸達者たちが綺羅星のように並ぶ。
- 往年の名優たちが一堂に会したそのパーティーは、まさに綺羅星の如き華やかさだった。
文学作品・メディアでの使用例
『惜別』(太宰治)
仙台の医学専門学校に通う「僕」の周囲にいた、才能豊かな同級生たちの輝きを表現するシーンで登場します。
その頃の仙台医学専門学校の全生徒は六百名ほども居たろうかと思うが、その中には、綺羅星のごとき新進の文士も居れば、また、熱狂的な愛国者も居り、……
誤用・注意点
「綺羅星」という言葉を使う際、多くの人が陥りやすい間違いが二つあります。
一つは、語源の誤解です。
「キラキラ光る星」という意味だと思い込み、天体の美しさだけを表現するのは、言葉の本来の持ち味を損なうことがあります。
あくまで「華やかな人々」に焦点を当てる言葉です。
もう一つは、不自然な送り仮名です。
「きら星」と書くと、本来の意味である「綺羅(衣服)」が消えてしまい、単なる星の形容になってしまいます。
文章で書く際は、漢字で「綺羅星」と記すのが本来の形です。
類義語・関連語
「綺羅星」と似た意味を持つ言葉には、以下のような表現があります。
- 多士済々(たしせいせい):
優れた才能を持った人材が豊富に揃っていること。 - 錚々たる面々(そうそうたるめんめん):
多くの中で特に優れた人々が揃っていること。 - 珠玉(しゅぎょく):
美しく価値のあるもの。また、優れた人々が並んでいる例え。
対義語
「綺羅星」とは対照的な意味を持つ言葉には、以下のような表現があります。
英語表現
「綺羅星」を英語で表現する場合、以下の定型表現がニュアンスをよく伝えます。
a galaxy of talent
直訳は「才能の銀河」です。
多くの有能な人が集まっている状態を指し、「綺羅星」の持つ華やかさを正確に伝えるイディオムです。
- 例文:
The conference featured a galaxy of talent from the tech industry.
(その会議には、IT業界から綺羅星のごとき多才な面々が集まった。)
a constellation of stars
直訳は「星の星座」ですが、比喩的に「著名人の集まり」を意味します。
- 例文:
There was a constellation of stars at the film festival.
(映画祭には、スターたちが綺羅星のごとく集結していた。)
まとめ
豪華な顔ぶれが揃う様子を美しく表現する「綺羅星」。
その語源が、かつての貴族たちが身にまとった豪華な絹織物にあると知れば、この言葉が持つ色彩豊かなイメージがいっそう深まるはずです。
単に「有名人が多い」と言うよりも、「綺羅星の如し」と表現することで、その場に満ちている光り輝くような熱量や期待感までを伝えることができるでしょう。
ここぞという華やかな場面で、ぜひ使いこなしたい言葉と言えるかもしれません。







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