意味
本来は「綺羅、星の如し」(きら、ほしのことし)という表現が短縮されたもので、単に「夜空の星」を指すのではなく、その場に集まった人々の華やかさや、その勢いの凄まじさを強調する際に使われます。
- 綺羅(きら):
美しい衣服のこと。転じて、それをまとった華やかな人々を指します。 - 星(ほし):
夜空の星。ここでは、数え切れないほどたくさんあることの例えです。
語源・由来
「綺羅星」という言葉は、本来「綺羅、星の如し」(きら、ほしのことし)という比喩表現でした。
「綺羅」とは、絹のあや織物(綺)と、薄い絹(羅)を指し、かつての貴族が身にまとった豪華な装束を意味します。
宮中などで、色とりどりの衣装を着た人々が大勢集まっている様子を、夜空に散らばる無数の星になぞらえたのが始まりです。
注意が必要なのは、「キラキラ光る星」というオノマトペが語源ではない点です。
本来は「綺羅、星の如し」と区切って読まれていた言い方で、それが一語のように扱われるようになったものです。
使い方・例文
「綺羅星」は、特定の分野で活躍する著名人や、優れた才能を持つ人々が一箇所に集結している、非常に豪華なシチュエーションで用いられます。
例文
- 今大会には、世界ランキング上位の選手たちが綺羅星のごとく顔を揃えている。
- 文化祭のステージに、各クラスから選ばれた芸達者たちが綺羅星のように並ぶ。
- 往年の名優たちが一堂に会したそのパーティーは、まさに綺羅星の如き華やかさだった。
誤用・注意点
「綺羅星」という言葉を使う際、多くの人が陥りやすい間違いが二つあります。
一つは、語源の誤解です。
「キラキラ光る星」という意味だと思い込み、天体の美しさだけを表現するのは、言葉の本来の持ち味を損なうことがあります。
あくまで「華やかな人々」に焦点を当てる言葉です。
もう一つは、不自然な送り仮名です。
「きら星」と書くと、本来の意味である「綺羅(衣服)」が消えてしまい、単なる星の形容になってしまいます。
文章で書く際は、漢字で「綺羅星」と記すのが読み手に伝わりやすくなります。
類義語・関連語
「綺羅星」と似た意味を持つ言葉には、以下のような表現があります。
- 多士済々(たしせいせい):
優れた才能を持った人材が豊富に揃っていること。 - 錚々たる面々(そうそうたるめんめん):
多くの中で特に優れた人々が揃っていること。 - 珠玉(しゅぎょく):
美しく価値のあるもの。また、優れた人々が並んでいる例え。
対義語
「綺羅星」とは対照的な意味を持つ言葉には、以下のような表現があります。
英語表現
「綺羅星」を英語で表現する場合、以下の定型表現がニュアンスをよく伝えます。
a galaxy of talent
直訳は「才能の銀河」です。
多くの有能な人が集まっている状態を指し、「綺羅星」の持つ華やかさを正確に伝えるイディオムです。
The conference featured a galaxy of talent from the tech industry.
(その会議には、IT業界から綺羅星のごとき多才な面々が集まった。)
a constellation of stars
直訳は「星の星座」ですが、比喩的に「著名人の集まり」を意味します。
There was a constellation of stars at the film festival.
(映画祭には、スターたちが綺羅星のごとく集結していた。)
室町の謡曲にすでに「きらほし」とある
「綺羅星」の形につながる古い用例は、室町時代の謡曲『鉢木』にあります。
車屋本と呼ばれる1545年頃の写本に「のぼり集まるつはもの、きらほしのごとく祗候せり」と見えます。
『鉢木』は、旅の僧に身をやつした北条時頼が、落ちぶれた武士・佐野源左衛門常世の家に一夜の宿を借りる話です。
常世は秘蔵の鉢の木の梅・桜・松を折って焚き、僧をもてなしながら、いざ鎌倉となれば真っ先に馳せ参じると語ります。
後に時頼が幕府の危急を装って軍勢を召集し、常世は言葉どおりに駆けつけます。
「きらほしのごとく祗候せり」は、そのとき鎌倉に集まった武士たちを描いた一句です。
華やかな装束の者が居並ぶ、という原義がそのまま出ています。








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