意味
「有象無象(うぞうむぞう)」とは、これといった値打ちのない、雑多な人や物がひとまとめに寄り集まっているという意味です。
他者の集団を見下し、「くだらない連中の集まり」と強く軽蔑する際に使われます。
また、形のあるものと無いもの、この世のすべてのものを指すこともあり、仏教語の「有相無相」(姿や形をもつ現象と、その本性である真理)と同じ意味でも使われます。
語源・由来
仏教用語の「有相無相(うそうむそう)」が由来とされています。
「有象(相)」は形あるもの、「無象(相)」は形のないものを指し、本来は森羅万象、すなわちこの世のすべてを表す言葉でした。
そこから「世の中のありふれた雑多なもの」という解釈が生まれ、現代のような否定的な意味へと変化しました。
使い方・例文
「有象無象」は、特定の集団や多数の人々を、自分より格下だと見なして切り捨てる場面で使われます。
- 古い倉庫には、有象無象のガラクタが山のように積まれている。
- 彼のような天才にとって、我々は有象無象にすぎないのだろう。
- 選挙戦が始まると、有象無象の候補者が次々と名乗りを上げた。
類義語・関連語
「有象無象」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 烏合の衆(うごうのしゅう):
カラスの群れのように、規律や統制を持たずにただ集まっているだけの集団。 - 魑魅魍魎(ちみもうりょう):
得体の知れない怪しげな者たちや、私欲のために暗躍する人々の例え。 - 雑魚(ざこ):
地位の低い者や、取るに足らない小物のこと。
「有象無象」と「烏合の衆」の違い
「有象無象」と「烏合の衆」は、どちらも集まりを表す言葉ですが、焦点が異なります。
「有象無象」は集まっているものの価値の低さやくだらなさに、「烏合の衆」は集団の統制のなさや無秩序さに焦点があります。
対義語
「有象無象」と反対の意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 少数精鋭(しょうすうせいえい):
人数は少ないが、選りすぐりの優れた能力を持つ人々で構成された集団。
英語表現
the rabble
意味:秩序のない下層の人々
The aristocrat looked down on the rabble.
(その貴族は有象無象を見下していた。)
riff-raff
意味:社会的に望ましくないと見なされる人々
The exclusive club refused entry to what they called riff-raff.
(その高級クラブは、彼らが有象無象と呼ぶ人々の入場を拒否した。)
有象無象は「万物」から「つまらない連中」へ移った
仏教語の「有相無相」が日本語に取り込まれる過程で、音が「うぞうむぞう」へ転じ、意味も「宇宙のすべて」から「世の中のありふれた雑多なもの」へと縮小しました。
さらに時代が下ると、「ありふれた」が「取るに足らない」という軽蔑のニュアンスを帯び、現代のような蔑称として定着しました。
人を卑しめるこの意味では、「うぞうもぞう」「うぞもぞ」という形も使われます。
落語の「汲みたて」にも、この語が出てきます。
町内の師匠が若い連中を「有象無象」と呼び、船遊びを内緒にしようとしたことが知れて、連中が腹を立てる場面です。










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