禅の問答から生まれた、毎日をかけがえのない一日として受け入れる心のあり方。
このような姿勢を表すのが、「日々是好日」(ひびこれこうじつ/にちにちこれこうじつ)です。
意味
「日々是好日」とは、毎日が平和でよい日であるという意味です。
- 日々(ひび):毎日
- 是(これ):〜である
- 好日(こうじつ):よい日
表面的な吉凶にとらわれず、どんな日もかけがえのない一日としてありのままに受け入れようという前向きな響きを持っています。
語源・由来
中国の唐末から五代十国時代にかけて活躍した禅僧、雲門文偃(うんもんぶんえん)の言葉に由来します。
禅宗の公案集『碧巌録(へきがんろく)』の中で、雲門は弟子たちに「これまでの十五日間のことは問わないから、これからの十五日間について一句言ってみなさい」と問いかけました。
誰も答えられずにいると、雲門は自ら「日々是好日」という言葉を示しました。
晴れの日も雨の日も、あらゆる出来事に評価を下さず、すべてをありのままに受け取るという深い問いを後世に残しています。
使い方・例文
「日々是好日」は、日常の何気ない出来事に感謝したり、前向きに生きる決意を述べたりする文脈で使われます。
- 晴れの日も雨の日も、日々是好日の心で過ごす。
- 悲しみも受け入れ、日々是好日を実践する。
- 日々是好日の境地で、穏やかに余生を楽しむ。
『日日是好日-「お茶」が教えてくれた15のしあわせ-』(森下典子)
お茶の稽古を通して、季節の移ろいや人生の悲喜こもごもを受け入れていく心の成長を描いたエッセイです。
雨の日は雨を聴く。
(中略)
どんな日も、その日を思う存分味わう。お茶とは、そういう「日日是好日」を生きることなのだ。
類義語・関連語
「日々是好日」と同様に、執着を捨てて今を生きる心境を表す言葉には以下のようなものがあります。
- 一期一会(いちごいちえ):
一生に一度だけの機会として誠意を尽くす心構え。 - 明鏡止水(めいきょうしすい):
邪念がなく、澄み切って落ち着いた静かな心境。 - 行雲流水(こううんりゅうすい):
物事に執着せず、自然の成り行きに任せる生き方。
英語表現
Every day is a good day.
直訳すると「毎日が良い日である」となり、禅の教えとしてのニュアンスをそのまま表す平易な英語表現です。
Try to think that every day is a good day.
(日々是好日であると思うように努めなさい。)
雨の日は、ただ雨の音を聴く
「日々是好日」は、毎日楽しい出来事が起きるという表面的なポジティブ思考ではありません。
禅の世界におけるこの言葉は、吉凶の評価を下さず、ただありのままに受け入れるマインドフルネスの源流とも呼べる概念です。
たとえば激しい雨が降る日は、憂鬱になるのではなく、その雨音の激しさや冷たさを五感でまっすぐに味わい尽くす。
不都合な現実すらも人生の一部として見つめ直す姿勢が、この言葉の核を成しています。








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