三字熟語 仏教由来

老婆心

(ろうばしん)

年老いた女性のように、必要以上に世話を焼いたり心配しすぎたりすること。


5文字の言葉 / 「ろ」から始まる言葉
老婆心 ことば
スポンサーリンク

意味

「老婆心(ろうばしん)」とは、年配の女性が何かと世話を焼くように、必要以上に相手のことを気にかけ心配してしまう気持ちを表します。
自分から他人に忠告やアドバイスをする際、相手の気分を害さないためのへりくだった前置きとしてよく使われる表現です。

  • 老婆(ろうば):年老いた女性。
  • 心(しん):気持ちや思い。

語源・由来

「老婆心」という言葉は、仏教の禅宗における師匠と弟子の関係から生まれました。
もとは、中国の禅僧が弟子を思うあまり、まるで年老いた女性のように細かく世話を焼き、懇切丁寧に教え導く態度を指して使われました。

そこから転じて、現代のように「おせっかいかもしれませんが」と、自分の忠告や親切心をへりくだって伝える際の決まり文句として定着しました。

使い方・例文

「老婆心」は、相手を思いやって忠告やアドバイスをする際の前置きとして使われます。

  • 老婆心ながら申し上げますが、その契約書はもう一度確認した方が良いかと思います。
  • 新生活へのアドバイスをあれこれと口出しするのは、ただの老婆心だろうか。
  • 親切のつもりだったが、つい老婆心から口うるさく注意してしまい反省した。

誤用・注意点

「老婆心」は、自分自身の親切心や忠告をへりくだって言うための言葉です。
「部長の老婆心に感謝します」のように、他人の気遣いやアドバイスに対して使うと、相手を「おせっかいな人」と評価することになり大変失礼にあたるため注意が必要です。

スポンサーリンク

類義語・関連語

「老婆心」と同様に、相手への過剰な気遣いや忠告を表す言葉には以下のようなものがあります。

  • おせっかい:
    出しゃばって、相手にとって不要な世話を焼く行為。
  • 余計なお世話(よけいなおせわ):
    相手が求めていないのに、親切立てて干渉する振る舞い。
  • 杞憂(きゆう):
    起こるかどうかも分からないことを、あれこれと心配する状況。

「老婆心」と「おせっかい」の違い

どちらも過剰な気遣いを表しますが、相手への配慮の有無に決定的な違いがあります。
「老婆心」は相手を思いやる気持ちが根本にあるのに対し、「おせっかい」は相手の迷惑を顧みない一方的な行動を指します。

英語表現

not to be a busybody

「busybody」は他人のことに首を突っ込む人やおせっかいな人を意味し、その否定形を前置きに使うことで「余計なお世話とは承知ですが」というニュアンスを添えられる実用的なフレーズ。

Not to be a busybody, but you might want to double-check that document.
(老婆心ながら申し上げますが、その書類をもう一度確認した方がいいかもしれません。)

禅僧の臨済、師の黄檗に「ただ老婆心切のため」と答える

「老婆心」と同じ意味の「老婆心切」が出てくる場面は、1004年に朝廷へ献上された禅の歴史書『景徳伝灯録けいとくでんとうろく』に見えます。
唐の禅僧臨済りんざいは、師の黄檗おうばくに仏法の大意を三度たずね、三度とも打たれました。
別の師を訪ねてそれを話すと、「黄檗おうばく恁麼いんも老婆、為汝得徹困」(黄檗おうばくはそれほど老婆のように、お前のために疲れ果てるまで尽くしたのだ)と言われ、臨済りんざいはその場で悟ります。

黄檗おうばくのもとへ戻ると、黄檗おうばくは「汝回太速生」(ずいぶん早く帰ってきたな)と声をかけました。
臨済りんざいの返事は「祗ただ為老婆心切」(ただ、老婆のような親切心のためです)でした。
この場面の「老婆心切」は、打って導いた師の厳しさを、弟子が親身な心遣いとして受け止めた言葉です。

スポンサーリンク

コメント

URLをコピーしました