意味
「地震雷火事親父(じしんかみなりかじおやじ)」とは、世の中で非常に恐ろしいとされるものを順番に並べた言葉です。
人間の力ではどうにもならない自然災害と、かつて家庭内で絶対的な権力を持っていた父親を並べることで、この世の恐ろしいものをユーモラスに表現しています。
四つの言葉を並べた「じしん・かみなり・かじ・おやじ」というテンポの良い語呂も特徴で、「かみなり」と「かじ」は頭の「か」が、「かじ」と「おやじ」は終わりの「じ」がそろっています。
語源・由来
「地震雷火事親父」の語源は、江戸時代の社会背景にあります。
木造の家屋が密集していた当時の町では、地震や雷、そしてそれらが引き起こす火事が人々の命を脅かす最大の脅威でした。
そこに、災害とは関わりのない「親父」を最後に加え、恐ろしいものを語呂良く並べた言葉です。
使い方・例文
「地震雷火事親父」は、世の中の恐ろしいものを列挙する場面で使われます。
- 昔の家長は地震雷火事親父と並び称されるほど絶対的な存在だった。
- どんなに屈強な男でも地震雷火事親父には敵わない。
誤用・注意点
「地震雷火事親父」は、父親を自然災害と並べて「怖いもの」に数えた言葉です。
家庭内で父親が絶対的な力を持っていた時代の感覚を前提にしているため、そうした力関係を当然のものとして語っていると受け取られることがあります。
言葉の成り立ちを紹介する場面では今も使われますが、実在の家庭について言えば、その家の父親像を決めつけたことになります。
「地震雷火事親父」に一つ足した江戸と昭和の例
江戸時代の文化年間(1810年代)に出た戯作『春廿三夜待』には、「このほか地震雷火事親父おふくろなどの来らぬときのまじない哥」(ほかにも、地震・雷・火事・親父・おふくろなどが来ないようにするまじないの歌)という一節があります。
四つの並びの後ろに、「おふくろ」まで付け足しています。
太宰治の自伝的な小説『思ひ出』(1933年)では、小学生の「私」が「もし戦争が起つたなら」という題の作文に、「地震雷火事親爺、それ以上に怖い戦争が起つたなら先づ山の中へでも逃げ込まう」(地震・雷・火事・親父よりも怖い戦争が起きたら、まず山の中へでも逃げ込もう)と書きます。
どちらの例も、「地震雷火事親父」の四つを怖いものの決まった並びとして受け、そこに「おふくろ」や、それ以上に怖い「戦争」を足しています。











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