意味
「尻が重い(しりがおもい)」とは、物事を面倒がって、なかなか腰を上げて動こうとしないという意味です。
「腰が重い」とほぼ同じ意味ですが、慎重さよりも「ずぼら」「出不精」といった、だらしなさのニュアンスで使われることが多くあります。
- 尻(しり):座ったときに地面や椅子に触れる部分。
- 重い(おもい):動きが鈍く、はかどらない様子。
語源・由来
「尻が重い」は、座り込んだまま立ち上がろうとしない様子に由来する表現です。
長く座っていると、尻がその場にへばりついたように感じられ、腰を上げるのがますます億劫になります。
この、座ったまま動きたがらない怠惰な様子が、そのまま面倒くさがりな性格や態度を表す言葉として定着しました。
近い意味を持つ「腰が重い」と比べ、「尻が重い」はより日常的でくだけた場面で使われる傾向があります。
使い方・例文
「尻が重い」は、面倒くさがって外出や作業になかなか取り掛からない人を指す場面で使われます。
- 弟は尻が重く、休日はなかなか外に出ようとしない。
- 返信するだけなのに尻が重い自分に呆れる。
- 尻が重い性格を直そうと、毎朝早起きを心がけている。
類義語・関連語
「尻が重い」と同じく、面倒がって動こうとしない様子を表す言葉には、以下のようなものがあります。
- 腰が重い(こしがおもい):
なかなか行動に取り掛からず、物事を始めるまでに時間がかかること。 - 出不精(でぶしょう):
外出や人と会うことを面倒に感じ、家にこもりがちなこと。 - 無精(ぶしょう):
面倒くさがって、物事をやろうとしない性分。
対義語
「尻が重い」とは反対に、すぐに行動へ移せる機敏な様子を表す言葉があります。
- 腰が軽い(こしがかるい):
すぐに行動に移せる機敏な様子。
英語表現
be a couch potato
「ソファに寝転ぶジャガイモ」が語源の表現で、家でごろごろして動こうとしない人を指す口語表現。
On weekends, he’s just a couch potato.
(週末の彼は、まさに尻が重い状態だ。)
have no get-up-and-go
「立ち上がって出かける気力がない」という意味の口語表現で、動き出す気力そのものが乏しい様子を表す。
I have no get-up-and-go today.
(今日は尻が重くて、何もする気になれない。)
江戸の俳文『鶉衣』に「尻重し」のしゃれ
江戸時代中期の俳人横井也有は、俳文集『鶉衣』の中で、名前と中身が合わない人の例を並べています。
金蔵という名の人が貧乏に苦しみ、万吉という名の人も不幸を逃れない、と挙げたあとに続くのが「玉といふ下女光もなく、かるとつけても尻重し」(玉という名の下女は光るところがなく、「かる」と名付けた下女も尻が重い)です。
「軽い」に通じる名なのに、なかなか動かない、というしゃれになっています。
也有はこうした例をまとめて、「名はその人によらぬものかも」(名前はその人の中身とは関わりがないものなのだろう)と書いています。
『鶉衣』の文章は1727年から1779年にかけて書かれたもので、腰を上げない人を「尻重し」と言う使い方が、江戸時代の中ごろにはあったことが分かります。











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