意味
「慣れぬ米商いより慣れた糠商い」とは、利益が大きそうに見えても不慣れな仕事に手を出すより、たとえ利益が少なくても自分が慣れ親しんだ仕事を続けるほうが確実だという教えです。
米の売買と米ぬかの売買という、利益規模の異なる二つの商売を対比させることで、能力や経験の及ばない領域で無理に勝負するより、得意な分野で堅実に積み重ねることの重みを説いています。
語源・由来
「慣れぬ米商いより慣れた糠商い」は、由来を伝える記録が見当たらないことわざで、「AよりB」の形で後ろを選ばせる比較の言い回しです。
「慣れぬ米商い」と「慣れた糠商い」はどちらも九音で、慣れぬ・慣れたという打ち消しと肯定を向かい合わせた対句になっています。
使い方・例文
新しい事業や投資など、経験のないことに手を出そうとする人をいさめる場面や、自戒を込めて手堅い選択をする場面で使われます。
- 慣れぬ米商いより慣れた糠商いと言う通り、長年の仕事に専念する。
- 投資話には乗らず、慣れぬ米商いより慣れた糠商いの精神で堅実に生きる。
- 慣れぬ米商いより慣れた糠商いを肝に銘じて、本業を大切にする。
類義語・関連語
「慣れぬ米商いより慣れた糠商い」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 餅は餅屋(もちはもちや):
何事においても、それぞれの専門家に任せるのが一番良いということ。 - 素人商法怪我の基(しろうとしょうほうけがのもと):
経験のない素人が商売に手を出すと、失敗して損をすることが多いという戒め。 - 生兵法は大怪我の基(なまびょうほうはおおけがのもと):
少し知っている程度の知識や技術で物事を行うと、かえって大きな失敗をするということ。
対義語
「慣れぬ米商いより慣れた糠商い」とは対照的な意味を持つ言葉は以下の通りです。
- 虎穴に入らずんば虎子を得ず(こけつにいらずんばこじをえず):
危険を冒さなければ、大きな成功や利益は得られないということ。 - 危ない橋を渡る(あぶないはしをわたる):
目的を達成するために、あえて危険な手段をとること。
英語表現
「慣れぬ米商いより慣れた糠商い」を英語で表現する場合、不慣れな領域に手を出さず本業に専念すべきだという、以下の表現がよく似ています。
Let the cobbler stick to his last
直訳:靴職人は靴型に専念せよ。
意味:自分の専門外のことに口出しするな、本業に専念せよという教訓。
Don’t try to fix the car yourself, let the cobbler stick to his last.
(自分で車を修理しようとせず、専門家に任せなさい。)
Better safe than sorry
直訳:後悔するより安全な方が良い。
意味:危険を冒して後悔するよりも、安全で確実な道を選ぶべきである。
I’ll stick with my current job. Better safe than sorry.
(今の仕事を続けるよ。後悔するより安全な方がいいからね。)
米と糠、二つの商売
米の取引は、相場の変動によって莫大な利益を得られる反面、読みを誤れば大損を招く危険と隣り合わせの商売でした。
一方、精米の際に出る糠を売る商売は、大きな儲けは望めないものの、相場に左右されにくく手堅く稼げるという特徴があります。
この対比から生まれたのがこのことわざです。
経験のないハイリスクな商売に色気を出すより、地道であっても勝手知ったる商売を続けるほうが、結果として安全で確実だという戒めが込められています。









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