意味
人の力量をほめるときに使う言葉で、知識の広さと才能の多さという二つの面をまとめて評価します。
「博学多才な人物」「博学多才ぶり」のように、名詞としても形容動詞としても使えます。
構成要素は、以下のように分解できます。
- 博学(はくがく):多くの分野の学問に通じていること。
- 多才(たさい):いろいろな方面に才能があること。
語源・由来
「博学多才」は、奈良時代の漢詩集『懐風藻』に収められた僧の伝記に登場します。
『懐風藻』は751年に成立した現存最古の日本の漢詩集で、撰者は分かっていません。
道融という僧の伝記に「博学多才、特に属文を善くす」とあり、学識が広く才が多いうえに、とりわけ文章をつづるのが上手だったとたたえています。
近代の使用例では、杉浦明平の『解体の日暮れ』(1966年)に「博学多才で論争好きな、岩村藩の三男」という一節があります。
使い方・例文
「博学多才」は、知識の広さと才能の多さをあわせ持つ人を評する場面で使われます。
- 新しい顧問は博学多才で、どんな話題にも答えが返る。
- 祖父の博学多才ぶりには、家族の誰もが驚かされてきた。
- 彼は博学多才だが、その知識を人前でひけらかさない。
類義語・関連語
「博学多才」と同じく、学識や才能の豊かさを表す言葉には以下のようなものがあります。
- 博覧強記(はくらんきょうき):
広く書物を読み、多くの事柄をよく記憶していること。 - 博学篤志(はくがくとくし):
広く学問に励んで知識を豊かにし、熱心に志を貫くこと。 - 多芸多才(たげいたさい):
多くの技芸を身につけ、いろいろな方面で力を発揮すること。 - 才気煥発(さいきかんぱつ):
優れた才知が活発に働き、あふれ出るように輝いていること。
「博学多才」と「博覧強記」の違い
どちらも知識の豊かさをほめる言葉で、置き換えて使われることがあります。
「博学多才」は学識に加えて才能の広がりまでを含み、「博覧強記」は読んだ内容をよく覚えている点に重きがあります。
| 語句 | 重きを置く点 | 才能への言及 |
|---|---|---|
| 博学多才 (はくがくたさい) | 学識の広さと才能 | あり |
| 博覧強記 (はくらんきょうき) | 読書量と記憶力 | なし |
対義語
「博学多才」と反対に、学識も才能も乏しいことをいう言葉があります。
- 浅学非才(せんがくひさい):
学識が浅く才能も乏しいこと。自分をへりくだっていうのに用いる語。
英語表現
polymath
多くの分野にわたって並外れて広い知識を持つ人を指す名詞。
He was regarded as a polymath in his field.
(彼はその分野で博学多才な人物と見られていました。)
versatile
人について使うと、多くのことをそつなくこなせるという意味になる形容詞。
She is a versatile researcher.
(彼女は多方面に才能のある研究者です。)
学生が集まった「槐市」
『懐風藻』の同じ伝記は、道融が若いころ「槐市に遊ぶ」と書き起こしています。
槐市は漢の時代の長安の城外にあった市で、えんじゅの並木の下に大学の学生が集まり、出身地の名産や書物を売り買いしたと伝えられます。
木の下では政治の議論も交わされ、のちに「槐市」は大学そのものを指す言葉としても使われました。
「博学多才」が最初に記された文章は、その学びの場に通ったところから語り起こされています。









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