意味
「鼓腹撃壌」は、満ち足りて腹つづみを打つ「鼓腹」と、大地をたたいて拍子をとる「撃壌」を並べた四字熟語です。
民衆のふるまいを通して、人々が太平の世を楽しんでいる様子を表します。
「鼓腹撃壌する」と動詞の形でも使われます。
- 鼓腹(こふく):腹つづみを打つこと。
- 撃壌(げきじょう):大地を踏んで拍子をとること。
語源・由来
「鼓腹撃壌」は、中国の伝説上の帝王である堯の時代の話に由来します。
堯帝の時に一人の老人が腹鼓をうち、大地をたたいて歌い、堯の徳をたたえたという、「帝王世紀」などにみえる故事から生まれた言葉です。
同じ故事は「十八史略」などにも出てきます。
『太平御覧』が引く「帝王世紀」では、老人は「日出でて作し、日入りて息う。井を鑿ちて飲み、田を耕して食らう。帝力、何ぞ我に有らんや」と歌いました。
日が昇れば働き、日が沈めば休む、井戸を掘って水を飲み、田を耕して食べる、帝の力など自分には関わりがない、という内容です。
使い方・例文
「鼓腹撃壌」は、世の中が落ち着き、人々の暮らしが満ち足りている様子を述べる場面で使われます。
- 戦が絶えた土地に、ようやく鼓腹撃壌の日々が戻った。
- 物価の話ばかりの世の中で、とても鼓腹撃壌とはいかない。
- 領民が鼓腹撃壌する国を作ると、若き王は家臣に誓った。
類義語・関連語
「鼓腹撃壌」と同じように、世の中が穏やかに治まっている状態を表す言葉には以下のようなものがあります。
- 天下太平(てんかたいへい):
世の中がよく治まり、平和で穏やかなこと。 - 平穏無事(へいおんぶじ):
変わったことが起こらず、穏やかで安らかな様子。 - 安穏無事(あんのんぶじ):
世の中が穏やかで、事件も事故もなく平和なこと。
「鼓腹撃壌」と「天下太平」の違い
どちらも世の中が平和に治まっていることを表し、置きかえられる場面が多くあります。
分かれるのは、どこに目を向けているかです。
| 語句 | 指すもの | 主語になるもの |
|---|---|---|
| 鼓腹撃壌 (こふくげきじょう) | 人々が太平を楽しむ様子 | 人々 |
| 天下太平 (てんかたいへい) | 世の中が治まっている状態 | 世の中 |
「撃壌」は遊びの名前でもある
「撃壌」には二つの意味があります。
ひとつは大地を踏んで拍子をとり歌をうたうこと、もうひとつは中国の遊戯の名前です。
沓の形に似せた木を地面に置き、離れた所から同じ形の木を投げ当てるもので、「下駄打ち」とも呼ばれます。
この遊戯は「周処風土記」に出てきます。
「壌」の字については、つちを指すという読み方のほかに、土で作った楽器を指すという説もあります。









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