意味
「苦心惨憺」とは、あれこれと手を尽くし、工夫を重ねながら苦労を重ねることです。
「苦心惨憺する」とも「苦心惨憺たる」とも形を変えて使われます。
- 苦心(くしん):あれこれ考えて苦労すること。
- 惨憺(さんたん):心をくだいて思い悩むこと。
語源・由来
「苦心惨憺」は、「苦心」と「惨憺」という二つの言葉を重ねてできた四字熟語です。
後半の「惨憺」が心をくだく意味で使われた例は、唐の詩人杜甫の「丹青引贈曹将軍覇」に出てきます。
絵の名手として知られた曹覇将軍が、絵絹を広げよと命じられ、構想を練っている場面を詠んだ詩です。
意匠惨澹 経営の中
この句は、絵の構想に心をくだいている最中だ、という意味です。
使い方・例文
「苦心惨憺」は、思うようにいかない仕事にあれこれ手を尽くす場面で使われます。
- 予算を削られ、演出は苦心惨憺して舞台を作り直した。
- 父が苦心惨憺して集めた資料が、この本の土台になっている。
- 店を続けようとする苦心惨憺たる工夫が、品書きから伝わる。
小説に登場する場面
『内村鑑三』(正宗白鳥)
周囲から批判を受けながら手を尽くしていた人物の様子を、子どもの目から振り返る場面です。
一部の非難もあったが、彼の苦心惨憺たる有様は、少年の私にも看取された
表記のゆれ
「惨憺」は「惨澹」とも書きます。
そのため四字熟語も「苦心惨澹」と書かれることがあります。
類義語・関連語
「苦心惨憺」と同じく、思うようにいかない物事に手を尽くす様子を表す言葉には以下のようなものがあります。
- 悪戦苦闘(あくせんくとう):
非常に困難な状況の中で、苦しみながら努力を重ねること。 - 試行錯誤(しこうさくご):
失敗を繰り返しながら、目的への道筋を見つけ出していくこと。 - 粉骨砕身(ふんこつさいしん):
骨を粉にし身を砕くほど、全力を尽くして努力すること。
「苦心惨憺」と「悪戦苦闘」の違い
どちらも思うようにいかない物事に向き合う場面で使われます。
「苦心惨憺」は頭をひねって工夫を重ねることを、「悪戦苦闘」は相手や状況と正面から組み合って苦しむことを指します。
| 語句 | 力の向け先 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 苦心惨憺 (くしんさんたん) | 工夫と考え | 手を変え品を変えるとき |
| 悪戦苦闘 (あくせんくとう) | 体当たりの奮闘 | 手強い相手に挑むとき |
英語表現
rack one’s brains
頭を絞り尽くして考えることを表す言い方。
He racked his brains to find a solution.
(彼は解決策を見つけようと苦心惨憺した。)
take great pains
骨を折って手間をかけることを表す言い方。
She took great pains to get every detail right.
(彼女は細部まで正しくしようと苦心惨憺した。)
「惨憺たる結果」の惨憺とは別の意味
「惨憺」には、いたましくて見るに忍びないさま、心をくだき思い悩むさま、薄暗くて気味が悪いさまの三つの意味があります。
「惨憺たる事故現場」「結果は惨憺たるものであった」は一つ目にあたり、「苦心惨憺」は二つ目にあたります。
三つ目の意味は、文芸評論家・北村透谷『楚囚之詩』の「この惨憺たる墓所に残して」という一節で使われています。









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