慣用句

心血を注ぐ

(しんけつをそそぐ)

心身の力をすべて出し切って、一つの物事に打ち込むこと。


8文字の言葉し・じ」から始まる言葉
心血を注ぐ ことば
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意味

「心血を注ぐ」は、寝食を忘れるほどの熱意で、ただ一つのことに打ち込むことを意味する慣用句です。並々ならぬ集中力と根気を要する場面で使われる、覚悟や執念のにじむ言い方です。

  • 心血(しんけつ):心と体の力のすべて。精神と肉体の総称。

語源・由来

「心血を注ぐ」は、精神力を表す「心」と体力・生命力を表す「血」を組み合わせた「心血」という言葉に、余さず注ぎ込む意味の「注ぐ」を続けた言い方です。血を生命力そのものの象徴とみなす発想は、「血のにじむ努力」のように苦労を血で言い表す言い回しにも共通しており、心と体のすべてを注ぎ込む様子を、実感を伴う形で伝えています。

使い方・例文

「心血を注ぐ」は、仕事や研究、作品づくりなど、一つの物事に全力を尽くす場面で使われます。

  • 職人は三十年にわたり、ただ一振りの刀づくりに心血を注いできた。
  • 彼女はこの新薬の開発に心血を注ぎ、ついに完成させた。

誤用に注意

「心血を注ぐ」は、「心血を傾ける」と混同されやすい言葉です。文化庁が行った平成19年度の「国語に関する世論調査」では、本来の言い方である「心血を注ぐ」を使うと答えた人が64.6パーセントだったのに対し、本来とは違う「心血を傾ける」を使うと答えた人も13.3パーセントにのぼりました。「傾ける」は「全力を傾ける」「精魂を傾ける」など似た意味の言い方でよく使われる動詞のため、そちらの言い方につられてしまうと考えられます。

類義語・関連語

「心血を注ぐ」と同じように、持てる力のすべてを一つの物事に傾け尽くすことを表す言葉には、次のようなものがあります。

  • 全身全霊を傾ける(ぜんしんぜんれいをかたむける):
    体と心のすべてを一つのことに集中させること。
  • 丹精を込める(たんせいをこめる):
    真心をもって、心を込めて丁寧に仕上げること。
  • 精魂を傾ける(せいこんをかたむける):
    一つの物事に、気力の限りを尽くして打ち込むこと。

「心血を注ぐ」と「精魂を傾ける」の違い

どちらも力の限りを尽くす様子を表しますが、結びつく動詞が異なります。「心血」には「注ぐ」、「精魂」には「傾ける」が本来の組み合わせで、この二つを取り違えると「心血を傾ける」という誤用が生まれます。

語句対象となる名詞正しい動詞
心血を注ぐ
(しんけつをそそぐ)
心血(精神と肉体)注ぐ
精魂を傾ける
(せいこんをかたむける)
精魂(気力)傾ける

対義語

「心血を注ぐ」とは反対に、必要な労力を惜しんで済ませることを表す言葉に、次のようなものがあります。

  • 手を抜く(てをぬく):
    本来かけるべき労力を省き、いい加減に済ませること。

英語表現

pour one’s heart and soul into

心と魂のすべてを注ぎ込むという、直訳に近い形で全力投球を表す表現。

He poured his heart and soul into writing this novel.
(彼はこの小説の執筆に心血を注ぎました。)

give it one’s all

持っている力のすべてを出し切るという意味の日常的な表現。

She gave it her all during the final performance.
(彼女は最後の公演で心血を注ぎました。)

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