寝食を忘れる

「寝食を忘れる」の文字を配した和紙風タイポグラフィのサムネイル 個別解説
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食べることも眠ることも意識から消え去るほどの、没頭ぶり。
そんな熱中の度合いを表すのが、「寝食を忘れる」(しんしょくをわすれる)です。

意味

「寝食を忘れる」とは、何かに熱中するあまり、眠ることも食べることも忘れてしまうほど一心不乱に打ち込むことという意味です。

生きるために欠かせない二つの行為すら後回しにするほどの没頭ぶりを表すため、対象への強い情熱や執着を印象づける言葉です。

  • 寝食(しんしょく):眠ることと食べること。
  • 忘れる(わすれる):意識からなくなること。

語源・由来

「寝食を忘れる」は、中国の歴史書「三国志」蜀書の譙周伝(しょうしゅうでん)に由来するといわれています。

三国時代の蜀に仕えた学者・譙周(しょうしゅう)は、若い頃は家が貧しく、周囲から見れば実入りのない生活を送っていましたが、書物を読みふけっては一人で笑い出すほど没頭し、眠ることも食べることも忘れてしまうことがあったと伝えられています。
学問への熱中ぶりを語るこの逸話が、「寝食を忘れる」という言葉のもとになったとされています。

使い方・例文

「寝食を忘れる」は、仕事や研究、趣味などに強く没頭している様子を表す場面で使われます。

  • 新しい研究に寝食を忘れて没頭する毎日だった。
  • 彼女は開発に寝食を忘れるほど熱中していた。
  • 受験勉強で寝食を忘れる生活を送った時期がある。

類義語・関連語

「寝食を忘れる」と同様に、一つのことに強く没頭する様子を表す言葉には、以下のようなものがあります。

  • 没頭する(ぼっとうする):
    一つのことに集中しきること。
  • 不眠不休(ふみんふきゅう):
    眠ることも休むこともせず、物事に取り組み続けること。

「寝食を忘れる」と「不眠不休」の違い

どちらも寝食を犠牲にするほどの熱中を表しますが、「寝食を忘れる」は対象への没頭や熱中そのものに、「不眠不休」は目的を達成するための必死さに焦点があります。

語句焦点
寝食を忘れる
(しんしょくをわすれる)
対象への没頭・熱中
不眠不休
(ふみんふきゅう)
目的達成のための必死さ

英語表現

be engrossed in something

他のことが目に入らなくなるほど、一つの物事に没頭している状態を表す表現。

He was so engrossed in his novel that he forgot to eat dinner.
(彼は小説に寝食を忘れるほど没頭し、夕食を取るのを忘れていた。)

学問に生きた男、譙周のその後

書物に没頭する日々を送った譙周は、やがて蜀の朝廷に仕える学者・官僚として活躍します。特によく知られているのが、蜀が魏の大軍に攻められた際、若い頃から培った幅広い知識をもとに、主君・劉禅(りゅうぜん)に無用な抗戦を避けて降伏するよう進言した逸話です。

この決断により、蜀の民は大規模な戦火を免れたと伝えられています。寝食を忘れるほどの読書量が、単なる趣味にとどまらず、国の行く末を左右する判断力の土台になっていたことがうかがえます。

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