顔色無し

『顔色無し』の文字サムネイル 個別解説
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圧倒的な力や美しさを前にして、それまでの自信や存在感がすっかりかすんでしまう。
そんな様子を表すのが、「顔色無し」(がんしょくなし)です。

意味

「顔色無し」とは、相手の勢いや力量に圧倒され、対抗する気力や存在感を失ってしまうことという意味です。

単に負けるという事実だけでなく、比較にすらならないほどの圧倒的な差を感じさせる、格の違いを強調するときに使われる言葉です。

  • 顔色(がんしょく):顔つき、表情に表れる勢いや存在感。
  • 無し(なし):存在しない、失われた状態。

語源・由来

「顔色無し」は、唐の詩人である白居易が著した長編詩『長恨歌』に由来するという説が知られています。

『長恨歌』は、玄宗皇帝と楊貴妃の悲恋を描いた作品で、この中で後宮に集められた多くの美女たちが、絶世の美女とされる楊貴妃のあまりの美しさの前では見劣りしてしまう様子が「顔色無し」と表現されています。
もともとは美しさの格の違いを表す言葉でしたが、後に美貌に限らず、能力や勢いなど幅広い場面での圧倒的な差を表す言葉として使われるようになりました。

使い方・例文

「顔色無し」は、圧倒的な実力や存在感の差を示す場面で使われます。

  • 新人の圧巻の演技に、ベテラン俳優も顔色無しだった。
  • その企業の技術力の前では、他社は顔色無しと言わざるを得ない。
  • 横綱の圧倒的な強さに、他の力士は顔色無しであった。

類義語・関連語

「顔色無し」と同様に、圧倒的な力の差を表す言葉には、以下のようなものがあります。

  • 足元にも及ばない(あしもとにもおよばない):
    力量の差があまりに大きく、比較にすらならないこと。
  • 脱帽(だつぼう):
    相手の優れた能力に敬意を表し、負けを認めること。

英語表現

pale in comparison

他と比べて見劣りする、色あせて見えるという意味を持つ表現。

All other candidates pale in comparison to her.
(他の候補者は彼女の前では顔色無しだ。)

傾国の美女、楊貴妃が生んだ言葉

『長恨歌』が描く楊貴妃は、単に美しいだけでなく、皇帝の心を奪い政治さえ揺るがしたとされる、中国四大美人の一人に数えられる存在です。
「顔色無し」という言葉が生まれた背景には、こうした圧倒的な魅力を持つ人物への畏敬の念があります。

中国の古典には、この他にも「傾国」(けいこく)のように、美女の魅力を国を傾けるほどの力として描く表現が数多く見られます。
「顔色無し」も、単なる見た目の優劣を超え、周囲を圧倒するほどの存在感そのものを称える言葉として受け継がれてきました。

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