一目瞭然

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四字熟語 故事成語
一目瞭然
(いちもくりょうぜん)

9文字の言葉」から始まる言葉

複雑な状況や結果が、ひと目見ただけではっきりとわかること。それが「一目瞭然」です。

説明や議論を重ねなくても、パッと見た瞬間に誰が見ても明らかである状況を指すこの言葉は、ビジネスから日常会話まで幅広く使われています。

本来の由来や、「明々白々」など似た言葉との使い分けについて詳しく解説します。

「一目瞭然」の意味

ひと目見ただけではっきりとわかるさま。疑う余地がないほど明白なこと。

四字熟語を構成する漢字を分解すると、その意味がより鮮明になります。

  • 一目(いちもく):ひと目見ること。ちょっと見ること。
  • 瞭然(りょうぜん):はっきりしていて疑いないさま。「瞭」は「あきらか」とも読み、目がはっきり見えることを意味します。

「一目瞭然」の語源・由来

出典は、中国・南宋時代の儒学者である朱熹(しゅき)の言行録『朱子語類(しゅしごるい)』とされています。

この書物の中で、聖人の徳や学問の道理がはっきりと理解できる様子を表現する際に使われました。
本来は書物などに「一目了然」と記述されており、「瞭」ではなく「(おわる/さとる)」の字が使われていました。

  • :完了する、悟る、明らかにする。

時代とともに、より視覚的な「はっきりしている」という意味を強調する「」の字が当てられ、現在の「一目瞭然」という表記が一般的になったと考えられています。

「一目瞭然」の使い方・例文

主に、視覚的に確認できる結果や、誰が見ても否定できない事実に対して使われます。「説明するまでもない」というニュアンスを含みます。

例文

  • 「去年のデータと比較すれば、売上が激減していることは一目瞭然だ。」
  • 「プロとアマチュアの技術の差は、最初の動きを見ただけで一目瞭然だった。」
  • 「どちらが嘘をついているかは、防犯カメラの映像を見れば一目瞭然となるだろう。」

近代文学での使用例

大正・昭和の文豪、芥川龍之介の紀行文にもこの言葉が登場します。

其処までは一目瞭然なれど、時々舞台へ現るる二人の童子に至っては何の象徴なるかを朗かにせず。
(芥川龍之介『北京日記抄』)

これは中国で観劇をした際の一節です。劇のストーリー(『胡蝶夢』)において、主人公が荘子であることや妻とのやり取りまでは「ひと目で見てわかった」が、その後に現れた子供の役は何を意味するのか不明だった、という文脈で使われています。

「一目瞭然」の類義語・関連語

「はっきりしている」という意味を持つ言葉はいくつかありますが、ニュアンスに微細な違いがあります。

  • 明々白々(めいめいはくはく):
    疑う余地が全くなく、はっきりしていること。「一目瞭然」が視覚的・直感的なのに対し、「明々白々」は理論や事実関係が明白であることを強調します。
  • 歴然(れきぜん):
    はっきりとしていて明白なさま。
  • 火を見るよりも明らか
    道理から考えて、結果がどうなるか疑う余地がないこと。主に未来の予測に対して使われます(例:「失敗するのは火を見るよりも明らかだ」)。
  • 百聞は一見に如かず(ひゃくぶんはいっけんにしかず):
    人から何度も聞くより、一度自分の目で見るほうが確かであるということ。「一目瞭然」とセットで使われることが多い格言です。

「一目瞭然」の対義語

  • 曖昧模糊(あいまいもこ):
    ぼんやりとしてはっきりしないさま。「模糊」もぼやけている様子を表します。
  • 有耶無耶(うやむや):
    あるのかないのかはっきりしないこと。転じて、物事をいい加減にしておくさま。
  • 五里霧中(ごりむちゅう):
    濃い霧の中にいるように、事情がわからず方針が立たないこと。

「一目瞭然」の英語表現

Obvious at a glance

  • 意味:「ひと目で見て明らか」
  • 解説:”Obvious” は「明白な」、”at a glance” は「ひと目見て」という意味。最も一般的な直訳に近い表現です。
  • 例文:
    It is obvious at a glance that he is lying.
    (彼が嘘をついていることは一目瞭然だ)

Clear as day

  • 直訳:昼間のように明るい
  • 意味:「火を見るよりも明らか」「一目瞭然」
  • 解説:疑いようのないほど明白な事実に対して使われる慣用句です。
  • 例文:
    The difference is as clear as day.
    (違いは一目瞭然だ)

「一目瞭然」に関する豆知識

「一目」の読み方:「いちもく」か「ひとめ」か

「一目瞭然」と四字熟語で使う場合は、必ず音読みで「いちもく」と読みます。

しかし、単独で「一目」と書く場合は、文脈によって読み方が変わります。

  • 一目(いちもく):囲碁で石を一つ置くこと。転じて、相手に敬意を払い一歩譲ること(例:「一目置く」)。
  • 一目(ひとめ):一度見ること、ちらっと見ること(例:「一目会いたい」「一目見て気に入る」)。

「一目瞭然」は「ひとめ見るだけでわかる」という意味ですが、読み方は「いちもくりょうぜん」ですので注意しましょう。

まとめ – 視覚は雄弁に語る

一目瞭然とは、長い説明を不要にする「圧倒的な事実の分かりやすさ」を表す言葉です。

プレゼンテーションや会話において、「一目瞭然ですね」と言えるような図解や証拠を提示することは、言葉を尽くして説得する以上の効果を持つことがあります。百の言葉よりも一つの明確な事実。この四字熟語は、そんな「視覚的根拠の強さ」を教えてくれているのかもしれません。

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