遠くて近きは男女の仲

スポンサーリンク
ことわざ 慣用句
遠くて近きは男女の仲
(とおくてちかきはだんじょのなか)
短縮形:遠くて近きもの

15文字の言葉と・ど」から始まる言葉

まったく接点がないと思っていた二人が、いつの間にか結婚していた。
「えっ、あの二人が?」と驚き、不思議に思った経験。

「遠くて近きは男女の仲」(とおくてちかきはだんじょのなか)は、そんな男女の縁の不思議さを表す言葉です。
一見すると無関係で疎遠に見える二人でも、ちょっとしたきっかけで急速に親密になり、結ばれてしまうことを意味します。

意味

「遠くて近きは男女の仲」とは、男女の間柄は、一見縁遠いように見えても、実は意外と結ばれやすいものであるという意味です。

物理的な距離が離れていたり、家柄や立場が違ったりして「あの二人には縁がないだろう」と思われていても、恋愛感情や運命の働きによって、その壁はいとも簡単に越えられてしまうことを説いています。

語源・由来

「遠くて近きは男女の仲」の語源は、平安時代に清少納言によって書かれた随筆『枕草子』の一節です。

清少納言は、作品の中で「遠くて近きもの(遠いようで実は近いもの)」というテーマを挙げ、以下の3つを列挙しました。(※底本により順序等は異なります)

  1. 極楽(仏教の浄土。はるか彼方の世界だが、信心一つで到達できる)
  2. 舟の道(海や川の旅。景色を眺めているうちに意外と早く着く)
  3. 男女の仲(縁遠く見えても、ふとしたことで結ばれる)

仏教の「極楽」や、旅の「舟」と並べて、最後にさらりと「男女の仲」を挙げるところに、清少納言の鋭い感性が光ります。
1000年以上前から、恋愛の不可解さやスピード感は変わらないものとして認識されていたことが分かります。

使い方・例文

「遠くて近きは男女の仲」は、主に「意外なカップルが成立したとき」「男女関係の予測不能さ」を話題にする際によく使われます。

かつては犬猿の仲だった二人が付き合い始めたり、全く生活圏の違う二人が結婚したりした際に、「縁とは不思議なものだ」というニュアンスで用います。

例文

  • あんなに喧嘩ばかりしていた二人が結婚するなんて、まさに「遠くて近きは男女の仲」だね。
  • 海外赴任中の彼と地元の彼女が復縁したらしい。「遠くて近きは男女の仲」とはよく言ったものだ。
  • タイプが違うからといって諦めるのは早いよ。「遠くて近きは男女の仲」と言うじゃないか。

類義語・関連語

「遠くて近きは男女の仲」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 縁は異なもの味なもの(えんはいなものあじなもの):
    男女の縁は常識では測れない不思議なものであり、面白いものであるという意味。
    最も近いニュアンスで使われる言葉。
  • 合縁奇縁(あいえんきえん):
    人と人との巡り合わせは不思議な縁によるもので、理屈では説明できないということ。
  • 恋路は縁のもの(こいじはえんのもの):
    恋愛が成就するかどうかは、当人の意思よりも、その時の運や縁による部分が大きいということ。

英語表現

「遠くて近きは男女の仲」を英語で表現する場合、愛が距離や障害を克服するというニュアンスを用います。

Love knows no distance.

  • 意味:「愛に距離はない」
  • 解説:物理的、あるいは身分的な隔たりがあっても、愛があればそれは障害にならないという決まり文句です。
  • 例文:
    They proved that love knows no distance.
    (彼らは、愛に距離は関係ないということを証明した。)

『枕草子』に見る「近くて遠きもの」

『枕草子』には「遠くて近きもの」の逆、「近くて遠きもの」という段もあります。
清少納言が挙げた「近いようで実は遠いもの」のリストは、現代人にとっても「あるある」と共感できる興味深い内容です。

  • 宮のべの祭り(神社の祭り):
    神様は近くにいるようで、その御心を知るのは難しい。
  • 思はぬはらから・親族の仲
    気が合わない兄弟や親戚。血のつながりはあっても、心の距離は他人よりも遠い。
  • 鞍馬のつづら折りの道
    京都の鞍馬寺へ続く山道。直線距離なら近いはずが、道が曲がりくねっていてなかなか着かない。
  • 十二月の晦日と正月のついたち
    大晦日と元旦。時間の連続性としては隣り合っているが、年が変わるため、その隔たりは非常に大きい。

特に「親しくない親族」や「大晦日と元旦の距離感」を「近くて遠い」と表現するセンスは、現代にも通じる鋭い観察眼と言えるでしょう。

まとめ

「遠くて近きは男女の仲」は、『枕草子』に由来し、一見縁遠く見える二人でも、不思議な引力であっさりと結ばれることがあるという教えです。

恋愛や結婚において「自分とは釣り合わない」「住む世界が違う」と諦めてしまいそうな時、この言葉を思い出せば、縁の可能性を信じる勇気が湧いてくることでしょう。

スポンサーリンク

コメント