疎遠に見える男女がふとしたきっかけで結ばれる、縁の不思議な近さ。
このような男女の仲の近さを表すのが、
「遠くて近きは男女の仲」(とおくてちかきはだんじょのなか)です。
意味
「遠くて近きは男女の仲」とは、男女の間柄は疎遠に見えても、きっかけ一つで驚くほど簡単に親密になるという意味です。
物理的な距離や立場といった障害は、恋愛感情の前では意味をなさないという縁の不思議さを説いています。
意外な組み合わせが成立した際の、驚きと納得が入り混じった場面で使われます。
- 遠い(とおい):距離があることや関係が薄い様子
- 近い(ちかい):距離がごく身近なことや関係が深い様子
- 男女の仲(だんじょのなか):男と女の恋愛関係
語源・由来
「遠くて近きは男女の仲」は、平安時代の随筆『枕草子』にある一節に由来しています。
作者の清少納言は「遠くて近きもの」という題に対し、はるか遠くの「極楽」や、景色を眺めているうちに着いてしまう「舟の道(水上の航路)」と並べて「男女の仲」を挙げました。
当時の貴族社会では、住む場所が離れていても、和歌を一通交わすだけで瞬時に心が通じ合う恋愛のスピード感がありました。
一見すると接点がないような二人でも、ふとしたきっかけで結ばれる恋の不可解さが表現されています。
使い方・例文
「遠くて近きは男女の仲」は、全く接点のなかった二人が付き合い始めたり、意外な組み合わせのカップルが成立したりした場面で使われます。
- 接点のない二人が、いつの間にか遠くて近きは男女の仲になった。
- 遠くて近きは男女の仲と言う通り、二人は電撃結婚した。
類義語・関連語
「遠くて近きは男女の仲」と同様に、理屈では説明できない縁の不思議さを表す言葉には以下のようなものがあります。
- 縁は異なもの味なもの(えんはいなものあじなもの):
男女の縁は常識を超えた不思議なもので、面白いということ。 - 合縁奇縁(あいえんきえん):
人と人の巡り合わせは、理屈ではない不思議な縁によること。 - 恋路は縁のもの(こいじはえんのもの):
恋愛が成就するかどうかは、当人の意思よりも運命に左右されるということ。
「遠くて近きは男女の仲」と類義語の違い
これらの言葉の共通点は、理屈で説明できない関係性を肯定している点です。
しかし、変化の過程に焦点を当てるのか、結末の面白さに焦点を当てるのかで使い分けが生じます。
| 語句 | 使える状況 | 焦点 |
|---|---|---|
| 遠くて近きは男女の仲 | 接点がなかった時 | 疎遠から親密への劇的な変化 |
| 縁は異なもの味なもの | 意外な二人が上手くいった時 | 縁の不思議さと結果の面白さ |
英語表現
Love finds a way.
意味:愛は障害や距離を超えて道を開くという考え
- 例文:
No matter how far apart they were, love found a way.
どれほど離れていても、二人の間に愛が道を開きました。
「近くて遠いもの」と「遠くて近いもの」の対比
清少納言は『枕草子』の中で、本件の対となる「近くて遠きもの」に、「疎遠な兄弟・親族の仲」「鞍馬の九十九折の道」「大晦日から元旦にかけての頃」などを挙げています。
暦の上では一日しか違わない大晦日と元旦、血はつながっていても心の通わない親族。
物理的な近さと心の距離が一致しない例を並べた段として知られています。
「遠くて近きもの」に男女の仲を挙げたのと対照的に、形式上の近さが必ずしも心の近さを意味しないという観察が、同じ章段の中で対比されています。









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