意味
「不可思議(ふかしぎ)」とは、人の考えが及ばないほど、ふつうとかけ離れていて怪しいことをいいます。
仏教では、仏の智慧や神通力のように、人の認識や理解の限界を超えていることを指します。
数の単位としては、10の64乗(一説に10の80乗)を表します。
- 不可(ふか):〜できない。
- 思議(しぎ):思いはかること。
語源・由来
この言葉は仏教から来ています。
仏や菩薩の智慧・神通力、経典に説かれるさまざまな行いのように、口で説明することも頭で推し量ることもできない境地を指していました。
のちに、常識では理解できないという意味で広く使われるようになりました。
日常でよく使う「不思議」は、この「不可思議」を略した形です。
使い方・例文
- 鍵のかかった部屋から書類だけが消えるという、不可思議な事件が起きた。
- 山寺の住職は、仏の力の不可思議さを静かに語ってくれた。
- 算数の授業で、不可思議は10の64乗を表す数の単位だと習った。
『行人』の嵐の夜
夏目漱石の『行人』に、この語が出てくる場面があります。
語り手の「自分」が兄の妻と二人で宿に泊まった晩、暴風雨で宿じゅうの電灯が消え、二人は暗闇の中で黙って座っています。
頑丈な建物に囲まれた部屋で、外から響く風の音を描いたのが次の一節です。
周囲一面から出る一種凄じい音響は、暗闇に伴って起る人間の抵抗しがたい不可思議な威嚇であった。
類義語・関連語
どれも、ふつうでは理解できない不思議さを表す語です。
- 不思議(ふしぎ):
なぜそうなるのか説明のつかないこと。
「不可思議」を略した形。 - 摩訶不思議(まかふしぎ):
非常に不思議なこと。
「摩訶」は「大」の意味。 - 不可解(ふかかい):
いくら考えても、わけが分からないこと。
常識で理解できないという意味の「不可思議」と、ほぼ同じ意味で使われる語。 - 奇々怪々(ききかいかい):
常識では理解できないほど、非常に怪しく不思議なさま。
「奇怪」の字をそれぞれ重ねて意味を強めた形。
「七不思議」の古い例は諏訪大社
各地に伝わる「七不思議」の「不思議」も、「不可思議」を略した言葉です。
古い例は、1238年(嘉禎4年)の奥書(= 巻末の書き添え)をもつ文書で、信州の諏訪大社の神の力を表すものとして使われています。
中世には寺や神社など宗教に関係の深い場所やものについて使われ、のちに各地の珍しい事柄を七つ数えるようになったと考えられています。
広く知られた越後(今の新潟県)の七不思議には「燃ゆる土」「燃ゆる水」「火井」が入っていて、それぞれ石炭・石油・天然ガスのことです。









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