猫の手も借りたい

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慣用句
猫の手も借りたい
(ねこのてもかりたい)

9文字の言葉」から始まる言葉
猫の手も借りたい 【個別】ことわざ・慣用句・四字熟語

年末の大掃除や、人手がいくらあっても足りない繁忙期の店舗。あるいは、地域行事の準備が重なり、家族全員が走り回っているような慌ただしい状況。
「誰でもいいから手伝ってほしい」という切実な願いは、時として本来は労働の役に立たないはずの存在にまで及びます。
そのような、なりふり構っていられないほどの忙しさを、
「猫の手も借りたい」と言います。

日本人の生活に最も身近でありながら、どこか気ままで自由な猫を対比させた、ユーモアと切迫感が同居する表現です。

意味

「猫の手も借りたい」とは、非常に忙しいため、誰でもいいから手伝いがほしいという状況を指す言葉です。

単に「忙しい」というだけでなく、本来は仕事の役には立たないはずの猫の手すら借りたいと思うほど、人手が不足して困り果てている様子を強調する際に使われます。
自分の力だけでは到底まかないきれない、限界に近い切実な心理状態を表す比喩です。

語源・由来

「猫の手も借りたい」の由来は、古くから人間のそばにいた猫の習性にあります。

農耕社会において、牛や馬は田畑を耕し、犬は番犬として働いてきましたが、猫はネズミを捕る以外に特定の「労働」に従事することはありませんでした。
日当たりの良い場所でのんびりと昼寝をしている猫は、人間から見て「仕事とは無縁の、最も暇な存在」の象徴だったのです。

その「役に立ちそうにない猫」の手であっても借りたいと願うほど忙しい、という皮肉混じりの発想からこの言葉が生まれました。
江戸時代以降、広く庶民の間で使われるようになり、現在でも「忙しさ」を表現する最もポピュラーな慣用句として定着しています。

使い方・例文

家庭、学校、職場など、あらゆる「人手不足」の場面で使用されます。

自分自身の忙しさを嘆く時だけでなく、周囲の慌ただしい状況を説明するのにも適しています。
ただし、手伝ってくれる人に対して直接「猫の手のようなものだ」と言うと、「誰でも(能力がなくても)いい」というニュアンスが含まれるため、相手に失礼にならないよう注意が必要です。

例文

  • 年末年始の郵便局は、まさに「猫の手も借りたい」ほどの忙しさになる。
  • 文化祭の前日は準備が終わらず、クラス全員が「猫の手も借りたい」心境だった。
  • 「今は猫の手も借りたいくらい忙しいから、その話はまた後にしてくれる?」

類義語・関連語

「猫の手も借りたい」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。

  • 盆と正月が一緒に来たよう(ぼんとしょうがつがいっしょにきたよう):
    非常に忙しいこと、または嬉しいことや大変なことが重なって大騒ぎになることの例え。
  • 息つく暇もない(いきつくひまもない):
    一休みする時間さえないほど、次から次へと物事が押し寄せてくる様子。
  • てんてこ舞い(てんてこまい):
    慌てふためいて、忙しく立ち働く様子。

対義語

「猫の手も借りたい」とは対照的な意味を持つ言葉は、以下の通りです。

  • 閑古鳥が鳴く(かんこどりがなく):
    客が来ず、ひっそりと静まり返っている様子。
  • 手があく
    仕事がひと段落して、暇になること。
  • 暇を持て余す(ひまをもてあます):
    やることがなくて、退屈に感じること。

英語表現

「猫の手も借りたい」を英語で表現する場合、英語圏では猫ではなく「手(hands)」そのものにフォーカスした表現が使われます。

I’d give anything for an extra pair of hands.

  • 意味:「もう一組の手があれば何でも差し出す(それほど人手が欲しい)」
  • 解説:誰かの助けを喉から手が出るほど欲している、切実な状況を表す定型フレーズです。
  • 例文:
    I’m so busy right now; I’d give anything for an extra pair of hands.
    (今すごく忙しくて、本当に猫の手も借りたいくらいだよ。)

as busy as a bee

  • 意味:「蜂のように忙しい」
  • 解説:常に動き回っている働き蜂に例えて、非常に忙しく立ち働いている様子を指します。
  • 例文:
    She has been as busy as a bee preparing for the festival.
    (彼女はお祭りの準備で、猫の手も借りたいほどの忙しさだ。)

知っておきたい豆知識

日本では「役に立たない」ことの例えに使われる猫の手ですが、実はこの言葉には続きのような背景があります。

かつて養蚕(ようさん)が盛んだった地域では、ネズミから蚕を守ってくれる猫は「守り神」として非常に大切にされていました。
忙しい農繁期に、直接農作業を手伝うことはできなくても、猫がネズミを追い払ってくれるだけで農家は救われていたのです。

そう考えると、「猫の手も借りたい」という言葉は、単なる皮肉ではなく、古くから日本人が動物たちと支え合って生きてきた歴史の裏返しと言えるのかもしれません。

まとめ

「猫の手も借りたい」という言葉は、限界まで忙しい時に、ふと目に入ったのんびり屋の猫にさえ救いを求めたくなるような、日本人の素直な心情が込められています。

あまりの忙しさに余裕を失いそうな時、この言葉を思い浮かべてみてください。
「猫の手を借りるわけにはいかないから、少し落ち着こう」と、一呼吸置くきっかけになることでしょう。

忙しい日々の中にも、時には猫のように日向ぼっこを楽しめるような、心のゆとりを持ちたいものですね。

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