故事成語 ことわざ

朱に交われば赤くなる

(しゅにまじわればあかくなる)

人は交際する相手や置かれた環境によって、良くも悪くも感化されるということ。


13文字の言葉 / 「し・じ」から始まる言葉
朱に交われば赤くなる ことば
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意味

「朱に交われば赤くなる(しゅにまじわればあかくなる)」とは、交わる相手や身を置く環境によって、人の性質や行いが良くも悪くも変化していくという教えです。
悪い仲間に染まることを戒める場面だけでなく、優れた人のそばにいて良い方向に変わった場面にも使われます。

  • 朱(しゅ):鮮やかな赤色の顔料や染料。
  • 交わる(まじわる):人と関わりを持つこと。

語源・由来

このことわざは、中国の西晋時代(3世紀)の学者であり政治家であった傅玄ふげんが書いた『太子少傅箴たいししょうふのしん』という文章の一節に由来します。

この文章は皇太子の教育係の心得を説いたもので、その中に次の一節があります。
「故に朱に近き者は赤く、墨に近き者は黒し」

朱色に近づけば赤く染まり、黒い墨に近づけば黒く染まるように、人間も付き合う相手次第で善人にも悪人にもなってしまう。
そのため、皇太子のそばに仕える教育係は自ら正しい行いをする人物でなければならない、という戒めです。
日本でも、広く一般の人間関係を指すことわざとして定着しました。

使い方・例文

この言葉は、既に起きた変化を振り返る場合にも、これから悪い影響を受けないよう前もって忠告する場合にも使われます。

  • 勉強熱心な友人と一緒にいるうちに成績が上がり、朱に交われば赤くなるを実感した。
  • 不良グループに入ってから彼の言葉遣いが荒くなり、まさに朱に交われば赤くなるだ。
  • 朱に交われば赤くなると言うから、子どもには少しでも良い教育環境を与えたい。

類義語・関連語

この言葉と同様の意味を持つ表現には、以下のようなものがあります。

  • 水は方円の器に従う(みずはほうえんのうつわにしたがう):
    水は四角い器(方)に入れれば四角くなり、丸い器(円)に入れれば丸くなるように、人は環境や交友関係によって良くも悪くもなるということ。
  • 麻の中の蓬(あさのなかのよもぎ):
    曲がりやすい蓬(よもぎ)であっても、まっすぐに伸びる麻の中に混じって育てば、自然とまっすぐになること。良い環境に感化されるポジティブな例え。
  • 近墨必緇(きんぼくひっし):
    墨に近づけば必ず黒くなるということ。悪い仲間と付き合えば必ず悪に染まるという、語源を同じくする四字熟語。
  • 墨に染まれば黒くなる(すみにそまればくろくなる):
    同じ由来を持つ対の表現で、墨に近づけば黒くなるという、悪影響だけを述べることわざ。
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対義語

これとは対照的に、周囲の環境に染まらず自分の性質を保つことを表す言葉もあります。

  • 泥中の蓮(でいちゅうのはちす):
    泥水の中に育っても、決して汚れることなく美しく清らかな花を咲かせる蓮のように、悪い環境に身を置いても悪に染まらず、清く正しく生きることの例え。

英語表現

英語にも、周囲の影響を受けることを表す似た言い回しがあります。

A man is known by the company he keeps

人は、付き合っている仲間を見ればその人物がわかるという意味の表現。
交友関係がその人の性格や性質を映し出すという、英語圏で広く使われる言い回し。

You shouldn’t hang out with them. A man is known by the company he keeps.
(彼らとは付き合わない方がいい。朱に交われば赤くなる(付き合う仲間で人は判断される)からね。)

He that lies down with dogs shall rise up with fleas

犬と一緒に寝る者は、蚤とともに起きることになるという意味の言い回し。
悪い相手や環境に関われば必ず自分も悪影響を受けるということを強調した、古くからの英語のことわざ。

Stay away from that crowd — he that lies down with dogs shall rise up with fleas.
(あの集団には近づかないほうがいい。朱に交われば赤くなるのだから。)

江戸の読み物の「朱に交われば赤くなる」、信心も道楽も移る

江戸時代の浮世草子うきよぞうし『赤烏帽子都気質あかえぼしみやこかたぎ』(1772年)に、京都の下京しもぎょうで造り酒屋を営む永楽屋長介えいらくやちょうすけという念仏好きの主人が出てきます。
作者はこの家の様子を「朱にまじはれば赤うなる炭屋の男は黒うなり」(朱に交われば赤くなり、炭屋で働く男は黒くなる)の道理だと書いています。
女房や子ども、奉公人までが念仏を唱え、男たちは酒米さかまいを踏むときの歌まで念仏にして歌ったといいます。

『余計の仕業よけいのしわざ』(1819年)では、ある親が隣の道楽息子を早く勘当すればいいとけなし、「朱にまじはればあかくなるとやらで」(朱に交われば赤くなるというから)、近所に道楽者がいてはうちの息子のためにならないとこぼします。
江戸の読み物では、信心が家じゅうに移る話にも、道楽が隣から移る心配にも、このことわざが使われていました。

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