誰かを罠にはめようと画策したり、面白がってからかいに行ったりした結果、かえって自分自身がひどい目に遭ってしまった。
そんな、人を陥れようとして自ら墓穴を掘るような皮肉な状況を例えたのが、
「木菟引きが木菟に引かれる」(ずくひきがずくにひかれる)です。
意味
「木菟引きが木菟に引かれる」とは、人をだまそうとして、かえって自分がだまされることのたとえです。
相手を出し抜こうとしたり、からかってやろうとしたりした者が、逆に相手のペースに巻き込まれて失敗する滑稽さを表しています。
「ミイラ取りがミイラになる」とほぼ同じ意味で使われます。
語源・由来

「木菟(ずく)」はミミズクの古名です。
そして「木菟引き(ずくひき)」とは、ミミズクをおとりにして他の小鳥を捕まえる狩猟法、またはそのおとりに群がってくる「小鳥」のことを指します。
夜行性のミミズクは、昼間は光を眩しがって動きが鈍く、じっとおとなしくしています。
すると他の小鳥たちは、猛禽類であるミミズクを面白がってからかいに(引きに)やって来ます。
しかし、ミミズクをからかおうと集まってきた小鳥たち(木菟引き)が、逆におとりのミミズクに引き寄せられて猟師の仕掛けた罠にかかってしまうという現実の狩猟の様子から、この言葉が生まれました。
使い方・例文
「木菟引きが木菟に引かれる」は、人をだまそうとした人が、逆にだまされてしまうような場面で使われます。
- 詐欺師が別の詐欺師にまんまと財産を奪われるなんて、まさに木菟引きが木菟に引かれるだ。
- 相手を罠にはめようと画策していたが、木菟引きが木菟に引かれる結果となり自分が処分された。
類義語・関連語
「木菟引きが木菟に引かれる」と似た意味を持つ言葉には以下のようなものがあります。
- ミイラ取りがミイラになる(みいらとりがみいらになる):
人を連れ戻しに行った者が、そのまま帰ってこなくなること。転じて、人を説得するはずが、逆に説得されてしまうこと。 - 策士策に溺れる(さくしさくにおぼれる):
策略に長けた者ほど、自分の策略に頼りすぎて失敗すること。 - 人捕る亀が人に捕られる(ひととるかめがひとにとられる):
人に害を加えようとすれば、自分も人から害を受けるということ。
英語表現
the biter bit
意味:人を傷つけようとする者が、逆に自分が傷つけられること。(噛む者が噛まれる)
- 例文:
The swindler was swindled. It’s the biter bit.
詐欺師が詐欺に遭った。木菟引きが木菟に引かれるだ。
hoist with his own petard
意味:自分の仕掛けた罠で自分がダメージを受けること。(シェイクスピアの『ハムレット』に由来する表現)
- 例文:
He was hoist with his own petard.
彼は自分の罠にはまった。(木菟引きが木菟に引かれる結果となった)
「「木菟(ミミズク)」と「フクロウ」の決定的な違い
ことわざの主役である「木菟(ミミズク)」と「フクロウ」は、どちらもフクロウ目フクロウ科に分類される猛禽類であり、生物学的には同じ仲間です。
この2つを見分ける決定的なポイントは、頭にある「羽角(うかく)」と呼ばれる耳のような羽毛の束の有無です。
- ミミズク:頭に羽角(耳のような飾り羽)がある。
- フクロウ:頭が丸く、羽角がない。
※コノハズクなど一部例外はあります。
もともとフクロウ類を総称して「ズク」と呼んでおり、「耳があるズク」だから「ミミズク」と呼ばれるようになったとする説があります。
昼間はおとなしく、夜になると猛禽類としての本領を発揮するミミズクのギャップが、小鳥たちを油断させるという構図を生んでいます。









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