猫を追うより魚をのけよ

ことわざ
猫を追うより魚をのけよ(ねこをおうよりさかなをのけよ)

14文字の言葉」から始まる言葉
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問題が起きたとき、その場しのぎの対応で終わらせてしまい、また同じ問題に悩まされた経験はありませんか。あるいは、目の前の邪魔なものばかりを追い払おうとして、かえって状況が悪化してしまったことはないでしょうか。

猫を追うより魚をのけよ」は、そんな時に思い出したい、問題解決の本質についての鋭い指摘を含むことわざです。

「猫を追うより魚をのけよ」の意味・教訓

「猫を追うより魚をのけよ」とは、問題の表面的な現象を追い払うよりも、その根本的な原因を取り除く方が効果的である、という意味のたとえです。

目の前に魚があれば、猫がそれを狙って寄ってくるのは当然です。その猫をいくら追い払っても、魚がある限り、別の猫が来るかもしれませんし、追い払った猫がまた戻ってくるかもしれません。

それよりも、猫が寄ってくる原因である「魚」を片付けてしまう(のける)方が、猫を追い回すよりもずっと早く、確実に問題を解決できるという教訓を示しています。

「猫を追うより魚をのけよ」の語源

このことわざの語源は、文字通り「魚を狙って寄ってくる猫」と、それに対応する人間の姿という、日常生活の光景に由来します。

猫が魚を盗もうとするのを、その都度「シッシッ」と追い払うのは一時しのぎにしかなりません。
それよりも、猫にとって魅力的な「魚」を、猫の手の届かない場所や安全な場所に片付ける(=のける)ことが、根本的な解決策であるという、古くからの生活の知恵が言葉になったものです。

「猫を追うより魚をのけよ」の使い方と例文

問題が発生した際、その場しのぎの対症療法ではなく、根本的な原因に対処するよう促す場面で使われます。

例えば、仕事でミスが多発しているとき、ミスをした人を叱責する(猫を追う)だけでなく、ミスが起きやすい業務プロセスや環境そのものを見直す(魚をのける)べきだ、といった文脈で用いられます。

例文

  • 「毎回クレームが来てから対応するのではなく、最初からマニュアルを整備しておけばいい。猫を追うより魚をのけよ、だよ」
  • 「子どもがお菓子に手を伸ばして叱るより、最初から手の届かない場所に置いておけばいいんだ。猫を追うより魚をのけよというだろう」
  • 「不正アクセスされてから慌てるより、事前にセキュリティを強化しておくべきだった。猫を追うより魚をのけよとはまさにこのことだ」

類義語・関連語

  • 根本治療(こんぽんちりょう):
    病気の原因そのものを取り除き、完全に治そうとする治療法。「猫を追う(対症療法)」の対極にある考え方。
  • 揚湯止沸(ようとうしふつ):
    沸騰している湯を、湯をすくい上げてはまた注ぎ入れて冷まそうとすること。一時しのぎで、根本的な解決にならないたとえ。「猫を追う」行為に近い。
  • 釜底抽薪(ふていちゅうしん):
    釜の下から薪を引き抜けば、湯の沸騰は自然に収まることから、問題の根本原因を取り除くことのたとえ。「魚をのける」行為と同じ発想。

対義語

  • 対症療法(たいしょうりょうほう):
    病気の症状に応じて処置をすることで、根本的な原因を治すものではない治療法。「魚をのけず」に「猫を追う」行為にあたる。
  • もぐら叩き
    次から次へと現れる問題や課題を、その都度処理していくが、根本的な解決には至らない状況のたとえ。
  • 枝葉末節(しようまっせつ):
    物事の本質から外れた、重要でない部分。根本原因(幹)ではなく、表面的な問題(枝葉)にとらわれること。

英語での類似表現

Remove the cause, and the effect will cease.

  • 意味:「原因を取り除けば、結果は止む(なくなる)」
  • 解説:「猫を追うより魚をのけよ」の教訓を非常に直接的に表現した英語のことわざです。「魚(原因)をのければ、猫が寄ってくる(結果)ことはなくなる」という構図と一致します。
  • 例文:
    A: Why do the children keep running in the hallway?
    B: They are chasing the ball. Remove the cause, and the effect will cease. Let’s take the ball away until recess.
    (A:なぜ子供たちは廊下を走り続けるの? B:ボールを追いかけているんだ。「原因を取り除けば、結果は止む」。休み時間までボールを預かろう。)

Prevention is better than cure.

  • 意味:「予防は治療に勝る」
  • 解説:問題が起きてから対処する(治療=猫を追う)よりも、問題が起きないようにあらかじめ手を打っておく(予防=魚をのける)方が良い、という考え方です。根本的な対策を重視する点で共通しています。
  • 例文:
    We should check the fire alarms regularly. Prevention is better than cure.
    (火災報知器は定期的にチェックすべきだ。予防は治療に勝るからね。)

まとめ – 猫を追うより魚をのけよ から学ぶ問題解決のヒント

「猫を追うより魚をのけよ」は、問題に直面したとき、目に見える現象(猫)にとらわれるのではなく、その背後にある本質的な原因(魚)を見極め、そこに対処することの重要性を教えてくれることわざです。

つい目先の対応に追われがちな時こそ、この言葉を思い出し、「本当の原因は何か?」と一歩引いて考える視点が、効果的な問題解決につながりますね。

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