意味
「耳は二つ、口は一つ(みみはふたつくちはひとつ)」とは、人間には耳が二つ、口が一つ備わっているのだから、自分が話すことは少なくして、相手の話に多く耳を傾けるべきだという意味です。
自分の意見を主張するよりも、まずは相手の言葉にしっかりと耳を傾けることが大切だという戒めのニュアンスを持ちます。
語源・由来
古代ギリシャの哲学者、ゼノンの言葉に由来します。
3世紀に成立した『ギリシア哲学者列伝』に登場します。
同書には、「人が耳を二つ、口を一つ持つのは、多く聞いて少なく語るためである」という趣旨の言葉が残されています。
人間の身体の特徴を、望ましい話し方や聞き方の指針に重ね合わせた表現です。
使い方と例文
口数が多い人や、人の話をあまり聞かない人を戒める時に使われます。
また、相手の意見を汲み取る際の自戒としても用います。
- つい口が先に出る彼に耳は二つ、口は一つと教えた。
- 耳は二つ、口は一つの精神で相手の意見を聞く。
類義語・関連語
「耳は二つ、口は一つ」の類義語には、以下のような言葉が挙げられます。
- 沈黙は金、雄弁は銀(ちんもくはきん、ゆうべんはぎん):
雄弁も価値があるが、沈黙して話を聞くことはそれ以上に価値があるという意。 - 話し上手は聞き上手(はなしじょうずはききじょうず):
本当に話が上手な人は、相手の話を聞くのも上手であるということ。 - 傾聴(けいちょう):
相手の話に深く耳を傾け、共感的に理解しようとすること。 - 口は災いの元(くちはわざわいのもと):
不用意な発言は、思いがけない災難を招く原因になるという戒め。 - 多言はしばしば窮す(たげんはしばしばきゅうす):
口数が多いと、かえって失敗を招き、立場を危うくするという戒め。
対義語
「耳は二つ、口は一つ」の対義語には、以下のような言葉が挙げられます。
- 口から先に生まれる(くちからさきにうまれる):
非常に口数が多いこと。
英語表現
The reason why we have two ears and only one mouth is that we may listen the more and talk the less
意味:耳が二つあって口が一つしかないのは、多く聞いて少なく話すためである
『ギリシア哲学者列伝』の英訳(R. D. ヒックス訳)で、ゼノンの言葉を訳した文。
When I kept interrupting, my teacher quoted Zeno: “The reason why we have two ears and only one mouth is that we may listen the more and talk the less.”
(私が話をさえぎってばかりいると、先生はゼノンの「耳が二つあって口が一つしかないのは、多く聞いて少なく話すためである」という言葉を引いた。)
「耳は二つ、口は一つ」は無駄口をたたく若者への一言
ディオゲネス・ラエルティオスの『ギリシア哲学者列伝』第7巻によると、ゼノンがこの言葉を向けた相手は、くだらない話をしていた若者でした。
すぐ後には、宴席で黙って横になっていたゼノンが、プトレマイオス王の使節に理由を問われ、「ここに口をつぐむことを知っている者が一人いる、と王に伝えよ」と答えた逸話が続きます。








コメント