うっかり話しすぎて後で後悔したり、相手の話をもっとよく聞いておけばよかった、と感じたことはありませんか。
「耳は二つ、口は一つ(みみはふたつ、くちはひとつ)」は、まさにそのようなコミュニケーションのあり方について、人間の体の構造を引用して本質を説く、古くからの教訓です。その意味や使い方、類義語などを分かりやすく解説します。
「耳は二つ、口は一つ」の意味・教訓
「耳は二つ、口は一つ」とは、「人間には耳が二つ、口が一つ備わっているのだから、自分が話すことの二倍は、他人の話を熱心に聞くべきである」という意味のことわざです。
この言葉の核心にある教訓は、「雄弁(ゆうべん)であること(=上手に話すこと)」よりも「傾聴(けいちょう)すること(=熱心に聞くこと)」の重要性を説く点にあります。
私たちはつい自分の意見を主張したり、多くを語りたくなったりしがちですが、他者を深く理解し、良い関係を築くためには、まず相手の言葉にしっかりと耳を傾ける姿勢が何よりも大切である、という知恵を伝えています。
「耳は二つ、口は一つ」の語源
このことわざの明確な起源は特定されていませんが、世界各地で古くから伝わる普遍的な教訓です。
例えば、古代ギリシャの哲学者ゼノンが「我々が二つの耳と一つの口を持つのには理由がある。それは、話すことよりも多くを聞くためだ」と述べたとされる説や、ユダヤ教の教え(タルムード)に同様の記述が見られる、など諸説あります。
人間の体の構造そのものを戒め(いましめ)とした、非常に分かりやすい知恵と言えます。
「耳は二つ、口は一つ」の使い方と例文
この言葉は、口数が多い人や、人の話をあまり聞かない人を戒める時によく使われます。
また、営業職や管理職など、相手の意見やニーズを汲み取ることが重要な立場の人が、自らの心構え(自戒)として用いることも多いです。
例文
- 「新人のうちは、まず耳は二つ、口は一つを心がけ、先輩やお客様の話をよく聞くことが大切だ。」
- 「彼は口が先に出てしまいがちだから、耳は二つ、口は一つだと教えてあげた方がいいかもしれない。」
- 「会議で自分の意見ばかり主張してしまった。耳は二つ、口は一つの精神を忘れていたと反省している。」
類義語・関連語
「耳は二つ、口は一つ」と似た、聞くことの重要性や、話すことの慎重さを示す言葉を紹介します。
- 沈黙は金、雄弁は銀(ちんもくはきん、ゆうべんはぎん):
雄弁も価値があるが、沈黙(そしてその間に聞くこと)はそれ以上に価値があるという意。 - 話し上手は聞き上手(はなしじょうずはききじょうず):
本当に話が上手な人は、相手の話を聞くのも上手であるということ。 - 傾聴(けいちょう):
相手の話に深く耳を傾け、共感的に理解しようとすること。「耳は二つ、口は一つ」が説く具体的な姿勢。
対義語
「耳は二つ、口は一つ」とは反対に、聞くことよりも話すことが多すぎる状態や、その危険性を戒める言葉です。
- 口から先に生まれる(くちからさきにうまれる):
(まるで口から先に生まれてきたかのように)非常に口数が多いこと、おしゃべりであることのたとえ。 - 多言はしばしば窮す(たげんはしばしばきゅうす):
口数が多いと、かえって失敗を招き、立場を危うくすることが多いという戒め。 - 口は災いの元(くちはわざわいのもと):
不用意な発言は、思いがけない災難を招く原因になるという戒め。
英語での類似表現
「耳は二つ、口は一つ」の「話すより多く聞け」という精神と共通する英語表現を紹介します。
We have two ears and one mouth so we can listen twice as much as we speak.
- 意味:「我々が耳を二つ、口を一つ持つのは、話すことの二倍聞くためである」
- 解説:日本のことわざと全く同じ発想で、体の構造を引き合いに出して「聞くことの重要性」を説く表現です。
- 例文:
My grandfather always told me, “We have two ears and one mouth so we can listen twice as much as we speak.”
(祖父はいつも私に「話すことの二倍聞くために、耳は二つ、口は一つあるのだ」と言っていた。)
Be quick to listen, slow to speak.
- 意味:「聞くことには早く、語ることには遅くあれ」
- 解説:聖書に由来するとされる言葉で、性急に話すことを戒め、まず相手の話をしっかり聞くことを促す教えです。「耳は二つ、口は一つ」の精神と深く共通します。
- 例文:
If you want to be a good leader, remember to be quick to listen, slow to speak.
(良いリーダーになりたければ、「聞くには早く、語るには遅く」を心掛けなさい。)
まとめ – 「耳は二つ、口は一つ」から学ぶ知恵
「耳は二つ、口は一つ」は、単に「話す時間を減らせ」ということではなく、「聞くことの質を高めよ」という深い教えを含んでいます。
情報が溢れ、誰もが発信者になれる現代だからこそ、この古くからの知恵に立ち返り、他者の声に真摯に耳を傾ける姿勢が、より良い人間関係や深い理解を築くための鍵となるでしょう。





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