意味
「傾耳注目(けいじちゅうもく)」とは、耳を傾けて熱心に聞き、同時に目を注いで一心に見つめるという意味です。
耳と目の両方を向けて、聞くことと見ることに集中しているさまを言います。
- 傾耳(けいじ):耳を傾けて注意深く聞くこと。
- 注目(ちゅうもく):視線を一点に注いでよく見ること。
語源・由来
「傾耳注目」の四字の形は、三国時代の魏の曹植が、皇帝に奉った文書『陳審挙表』の中で使っています。
夫能使天下傾耳注目者,當權者是矣。
(そもそも天下の人々に耳を傾けさせ、目を注がせるのは、権力を握る者である)
曹植は皇帝の一族でありながら、政治の場から遠ざけられていました。
この文では、人々が耳目を向けるのは血のつながりでなく権力のある者だと説き、斉の国を奪ったのは田氏、晋を分けたのは趙と魏だったと例を挙げています。
「耳を傾ける」の「傾耳」だけなら、さらに古く『戦国策』秦策にも見えます。
楚王を説きに行く途中で故郷の洛陽を通った蘇秦を、家族が迎える場面です。
妻側目而視,傾耳而聽。
(妻は目をそばめて見、耳を傾けて聴いた)
現在では、権力者への注目に限らず、話や物事に耳を傾け目を注いで集中するさまに使われます。
使い方・例文
- 聴衆は演者の言葉に傾耳注目した。
- 記者たちは新製品の発表に傾耳注目している。
類義語・関連語
「傾耳注目」の類義語には、以下のような言葉が挙げられます。
- 洗耳恭聴(せんじきょうちょう):
耳を洗って汚れを落とすように、心を清めて相手の話を謹んで聞くこと。
「傾耳注目」と「洗耳恭聴」の違い
| 言葉 | 重きを置く点 | 相手への敬意 | 状況のニュアンス |
|---|---|---|---|
| 傾耳注目 (けいじちゅうもく) | 視覚と聴覚の鋭さ | 含まない | 一瞬も逃さない集中 |
| 洗耳恭聴 (せんじきょうちょう) | 聞く側の謙虚さ | 非常に高い | ありがたく承る姿勢 |
対義語
「傾耳注目」の対義語には、以下のような言葉が挙げられます。
- 馬耳東風(ばじとうふう):
人の意見を聞き流し、全く心に留めないこと。 - 右から左へ聞き流す(みぎからひだりへききながす):
聞いた話を少しも心に留めず、そのまま流してしまうこと。
英語表現
give one’s full attention
意味:全神経を集中させる
The audience gave their full attention to the speaker.
(聴衆は話し手に全神経を集中させた。)
語呂合わせでは「聴」に目と心が入る

「傾耳注目」は、耳と目の二つを相手に向ける言葉です。
漢字の「聴」を分解すると、左に「耳」、右に「十」、目を横にしたような形、そして「心」が並んでいます。
正式な字源ではありませんが、「十」を足し算の「プラス」と見て、「耳に目と心を足して聴く」と読む語呂合わせがあります。
傾耳注目が耳と目の二つで聞くのに対し、この語呂合わせはさらに心を足して、三つで聴くことになります。












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