人の心を迷わせ、良くない方向へ導こうとする「誘惑」。
日常生活や物語の中で、私たちはさまざまな誘惑の形に直面します。
日本語には、そうした誘惑の様子や、それに対する戒め、誘惑に負けた姿などを表す多くの言葉が存在します。
ここでは、「誘惑」というテーマに関連する、主なことわざや慣用句、四字熟語などを紹介します。
「誘惑」に関連する言葉
「誘惑」というテーマに関連する、主なことわざや慣用句、四字熟語などを紹介します。
ことわざ
- 旨いものには棘がある(うまいものにはとげがある):
魅力的に見えるもの(誘惑)には、危険や裏が潜んでいることが多いというたとえ。 - 綺麗なバラには棘がある(きれいなばらにはとげがある)::
外見が美しく魅力的に見えるもの(誘惑)には、人を傷つけるような危険な一面が隠されているというたとえ。 - 毒を食らわば皿まで(どくをくらわばさらまで):
誘惑に負けて一度悪事に手を出した以上は、最後まで徹底的にやってやろうと開き直ること。 - 鹿を逐う者は山を見ず(しかをおうものはやまをみず):
目先の利益や欲望(誘惑)にとらわれていると、周りが見えなくなり、大局を見失ってしまうことのたとえ。 - ミイラ取りがミイラになる(みいらとりがみいらになる):
人を誘惑から連れ戻そうとした者が、かえって自分自身がその誘惑に陥ってしまうこと。
慣用句
- 甘い汁を吸う(あまいしるをすう):
他人の努力に乗じて、自分は楽をして利益(誘惑)を得ること。 - 色香に迷う(いろかにまよう):
異性の魅力(誘惑)に心がくらみ、判断を誤ること。 - 心が動く(こころがうごく):
誘惑や魅力的なものに心が引かれること。気持ちが傾くこと。 - 食指が動く(しょくしがうごく):
(元は食欲から)興味や欲望(誘惑)が起こり、手を出したくなること。 - 喉から手が出る(のどからてがでる):
欲しくてたまらない様子。強い欲望(誘惑)の対象となっている状態。 - 魔が差す(まがさす):
まるで悪魔が心に入り込んだかのように、ふと普段なら考えないような良くない考え(誘惑)を起こし、行動してしまうこと。 - 目の毒(めのどく):
見ると欲望(誘惑)が刺激され、心が乱れたり、欲しくなったりするため、見ない方がよいもののこと。 - 目移りする(めうつりする):
次々と他のものに興味(誘惑)が移り、心が定まらないこと。 - 誘惑に負ける(ゆうわくにまける):
甘い誘いや欲望に抗しきれず、それに従ってしまうこと。 - 誘惑の手が伸びる(ゆうわくのてがのびる):
人を良くない道へ誘おうとする力が働きかけること。
故事成語
- 巧言令色(こうげんれいしょく):
言葉を飾り、愛想笑いをして人の歓心を買おうとすること。人を惑わす(誘惑する)不誠実な態度。 - 酒池肉林(しゅちにくりん):
(古代中国の王が)酒で池を作り、肉を林のように吊り下げたという故事から。贅沢を極めた(誘惑に満ちた)盛大な酒宴のこと。 - 漁夫の利(ぎょふのり):
両者が争っている隙に、関係のない第三者が利益(誘惑)を得ること。
四字熟語
- 甘言蜜語(かんげんみつご):
人の心を引きつけ、誘惑するために用いられる、甘く聞こえの良い言葉。 - 魑魅魍魎(ちみもうりょう):
山や川の精霊、様々な妖怪や化け物のこと。転じて、人を惑わす(誘惑する)怪しい者たちのたとえ。 - 煩悩具足(ぼんのうぐそく):
人間は、生まれながらにして多くの煩悩(誘惑)を備えているということ。 - 利害得失(りがいとくしつ):
利益と損害。得ることと失うこと。誘惑はしばしば目先の利益(利)と結びつきます。
仏教用語
- 煩悩(ぼんのう):
人の身心を悩ませ、苦しめ、惑わせる(誘惑する)心の働き。欲望や怒り、無知など。 - 三毒(さんどく):
人間を苦しめる根本的な三つの煩悩。「貪(とん:むさぼり)」「瞋(じん:いかり)」「癡(ち:おろかさ)」を指し、誘惑の根源ともされます。 - 魔羅(まら):
仏道修行を妨げ、人の心を乱す(誘惑する)もののこと。パーピーヤス(波旬)とも呼ばれ、誘惑の象徴とされる第六天の魔王。
その他の言葉
- 悪魔の囁き(あくまのささやき):
人の心を惑わし、悪い方向や欲望(誘惑)へと導こうとする言葉。 - 甘い罠(あまいわな):
人を誘い込むための、一見魅力的に見える(誘惑的な)策略や危険。 - 悪魔に魂を売る(あくまにたましいをうる):
大きな利益や欲望(誘惑)のために、道徳や良心を捨て、悪の道に入ること。
まとめ – 誘惑に関連する言葉を学ぶ
「誘惑」に関連する言葉には、甘い言葉や魅力的な状況で人を惑わす様子を表すもの(「甘言蜜語」「酒池肉林」)や、それによって心が揺れ動く様(「心が動く」「食指が動く」)、あるいは誘惑に負けてしまう姿(「魔が差す」「色香に迷う」)など、さまざまな側面からの表現があります。
また、「旨いものには棘がある」といった教訓や、「煩悩」「魔羅」のように、誘惑を人間の本質的な課題として捉える言葉も多く見られます。
これらの言葉は、私たちが誘惑とどう向き合っていくかを考える上でのヒントを与えてくれるかもしれませんね。






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