人生には、リスクを承知で大きな決断を下さなければならない瞬間が訪れます。
周囲が迷いや不安で立ち止まっているときに、強い意志を持ってスパッと物事を決める。
そんな理想的なリーダーシップや精神力を表す言葉が「剛毅果断」です。
座右の銘としても人気が高く、ビジネスやスポーツの世界で重宝されるこの言葉の真髄を紐解いてみましょう。
「剛毅果断」の意味
剛毅果断(ごうきかだん)とは、意志が強く何事にも屈しない精神力を持ち、思い切って物事を行うことです。
単に勢いがあるだけでなく、迷いを断ち切って決断・実行するという「強さと速さ」を兼ね備えた様子を指します。
- 剛毅(ごうき):
- 剛:強くて硬いこと。
- 毅:意志が強くて動じないこと。
- つまり、意志が強く、欲望や困難に屈しない様子。
- 果断(かだん):
- 果:はたす、思い切って。
- 断:たちきる、定める。
- つまり、躊躇(ちゅうちょ)せずに思い切って決断し、実行すること。
これらを組み合わせ、内面の強さ(剛毅)と行動の潔さ(果断)の両方が備わっている状態を表しています。
「剛毅果断」の語源・由来
「剛毅果断」という一つの故事成語(物語)があるわけではありませんが、それぞれの語句は古くから中国の古典で使用されてきました。
特に「剛毅」という言葉は、儒教の祖である孔子の言行録『論語』に登場する有名な一節、「剛毅木訥(ごうきぼくとつ)、仁に近し」に由来するとされています。
これは「意志が強く、飾り気がなく口数が少ない人物こそ、道徳の理想(仁)に近い」という意味です。
本来、「剛毅」は内面的な徳の高さを表す言葉であり、そこに実行力を表す「果断」が結びつくことで、「精神的な強さ」に裏打ちされた「行動力」という、リーダーに不可欠な資質を表す言葉となりました。
「剛毅果断」の使い方・例文
迷いのない決断力が求められるビジネスシーンや、勝負所のスポーツ、あるいは政治家の姿勢を評価する際によく使われます。また、優柔不断な自分を戒めるための「座右の銘」としても非常に人気があります。
例文
- 「経営危機に際して社長が見せた剛毅果断なリストラ策が、会社を救うきっかけとなった。」
- 「彼は普段は穏やかだが、いざという時には剛毅果断に物事を進める頼もしいリーダーだ。」
- 「私の座右の銘は剛毅果断です。迷ったときこそ、信念を持って前に進みたいと考えています。」
文学作品での使用例
意志の強い人物を描写する際、小説などでも用いられます。
甚だ剛毅果断な男で、人の言ごときには耳も借さず、信ずるところを断行するといった風な人でした。
(中島敦『李陵』より引用)
この一文からは、周囲の雑音に惑わされず、自分の信じる道を行く人物の力強さが伝わってきます。
「剛毅果断」の類義語
「強い」「決断力がある」という意味の四字熟語は数多くありますが、それぞれ焦点が当たる部分が異なります。
- 勇猛果敢(ゆうもうかかん):
勇ましくて強く、決断力があること。「剛毅果断」と非常に似ているが、こちらはより「攻撃的な強さ」や「勢い」に焦点が当たる。 - 質実剛健(しつじつごうけん):
飾り気がなく真面目で、心身ともに強くたくましいこと。決断力というよりは、「真面目さ」や「素朴な強さ」を表す。校訓などによく使われる。 - 英断(えいだん):
優れた判断で、思い切って物事を決めること。「剛毅果断な処置」を短く「英断」と言うこともできる。
「剛毅果断」の対義語
「剛毅果断」の対極にある、迷って決められない様子を表す言葉です。
「剛毅果断」の英語表現
英語では「決断力がある」「意志が固い」という形容詞を使って表現します。
Decisive
- 意味:「決断力のある」「断固とした」
- 解説:ビジネスや日常会話で最も一般的に使われる、「決められる人」を表す単語です。
- 例文:
A leader must be decisive in times of crisis.
(リーダーは危機の時こそ、剛毅果断(決断力がある状態)でなければならない。)
Resolute
- 意味:「意志の固い」「毅然とした」
- 解説:「剛毅」のニュアンスに近く、困難に直面しても心が揺らがない強さを表します。
- 例文:
He took resolute action to solve the problem.
(彼は問題を解決するために、剛毅果断な(断固たる)処置をとった。)
「剛毅果断」に関する豆知識
「果」の字に隠された意味
「果断」や「果敢」、「果たす」などに使われる「果」という漢字。実はこの文字は、木の上に実がなっている形からできています。
木に実がなることは、植物としての「最終結果」や「完成」を意味します。そこから転じて、「物事を最後までやり遂げる」「結果を出す」という意味が生まれました。
つまり「果断」とは、単に切る(断つ)だけでなく、「実を結ぶ(結果を出す)ために断ち切る」という、ポジティブな目的意識が含まれているのです。
まとめ – 剛毅果断から学ぶ知恵
情報過多な現代社会では、選択肢が多すぎて逆に動けなくなることがよくあります。
そんな時、「剛毅果断」という言葉は、私たちに「完璧な正解を探して立ち止まるより、自分の意志で決めて前に進むことの価値」を教えてくれます。
すべての決断において剛毅果断である必要はありませんが、人生の岐路においては、自分の心の強さを信じて、一歩を踏み出す勇気を持ちたいものです。


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