気の合う仲間同士で集まっているとき、あるいは職場のチーム編成を見渡したとき、「やはり似た者同士は自然と寄り添うものだな」と感じることはありませんか?
牛は牛連れ、馬は馬連れとは、同じ性質を持つ者同士は自然と集まるものであり、また異なる者を混ぜるよりも似た者同士で組むほうが調和がとれて良い、という意味の言葉です。
「牛は牛連れ、馬は馬連れ」の意味・教訓
似たもの同士が集まり、行動を共にすることのたとえです。また、自分と似た境遇や能力を持つ相手と組むほうが、万事につけて好都合であるという教訓も含んでいます。
- 同類は集まる:性格や身分、趣味が似ている者は、自然と寄り集まる傾向があること。
- 分相応の調和:性質や能力が異なる者を無理に組み合わせるよりも、似た者同士の方が釣り合いが取れて良く、平穏であること。
言葉の構成は以下の通りです。
- 牛は牛連れ:歩みの遅い牛は、同じ牛同士で連れ立って歩くのが良い。
- 馬は馬連れ:歩みの速い馬は、同じ馬同士で連れ立って歩くのが良い。
「牛は牛連れ、馬は馬連れ」の語源・由来
この言葉は、古くから運搬や農耕の主役であった牛と馬の、動物としての性質(歩く速度)の違いに由来します。
昔の街道を行く旅や荷運びにおいて、牛と馬を混ぜて隊列を組むことは避けられていました。馬は歩くのが速く軽快ですが、牛は重い荷物を運べる反面、歩みは非常にゆっくりです。
もしこの両者を一緒に連れて歩こうとすれば、馬は牛の遅さに苛立ち、牛は馬の速さに追いつけず疲弊してしまいます。結局のところ、牛は牛同士、馬は馬同士で隊列を組んだほうが、それぞれのペースを乱さず、無理なく目的地へたどり着けるのです。
この物理的な事実から転じて、人間関係においても「無理に異なるものを合わせるより、性質が合うもの同士で組むほうが自然であり、互いにとって幸せである」という知恵として定着しました。
「牛は牛連れ、馬は馬連れ」の使い方・例文
現代では、友人のグループ、夫婦関係、組織のチーム編成など、人間関係の相性や適材適所を表す際によく使われます。
基本的には「相性が良くて円滑だ」という肯定的な意味で使われますが、文脈によっては「所詮、同じレベルの人間としか付き合えない(井の中の蛙)」といった、やや冷ややかなニュアンス(分相応)を含むこともあります。
例文
- 「あの二人は趣味も笑いのツボもそっくりで、いつも一緒にいるね。まさに牛は牛連れ、馬は馬連れだ。」
- 「選抜チームを作ろうとしたが、結局いつものメンバーで固まってしまった。牛は牛連れ、馬は馬連れで、そのほうが連携も取れるだろう。」
- 「無理に背伸びして彼らのグループに入ろうとしても疲れるだけだ。牛は牛連れ、馬は馬連れ、自分に合った仲間を大切にするよ。」
「牛は牛連れ、馬は馬連れ」の類義語
似たもの同士が集まる、あるいは釣り合いが取れるという意味の言葉を紹介します。
- 類は友を呼ぶ(るいはともをよぶ):
気の合う者や似通った者は自然に集まるということ。最も一般的で広く使われる表現。「牛は牛連れ〜」が「組み合わせの良さ」も説くのに対し、こちらは「自然な集合」に焦点がある。 - 破れ鍋に綴じ蓋(われなべにとじぶた):
どんな人にも、それにふさわしい配偶者がいるというたとえ。破損した鍋にも、それなりに合う修繕した蓋があることから。主に「夫婦・パートナー」の釣り合いについて使う言葉。 - 同気相求む(どうきあいもとむ):
性質や考え方の同じ人は、互いに求め合って自然と寄り集まること。中国の古典『易経』に由来する硬い表現。
「牛は牛連れ、馬は馬連れ」の対義語
性質が異なるもの同士の関係や、馴染まない状態を表す言葉が対義語となります。
- 水と油(みずとあぶら):
性質が合わず、しっくりなじまないことのたとえ。 - 氷炭相愛す(ひょうたんあいあいす):
氷と炭火という、性質が相反するものが仲良くすること。本来は相容れないものが調和している不思議さを表す稀な表現。 - 掃き溜めに鶴(はきだめにつる):
つまらない場所に、そこには不釣り合いなほど優れたものがいることのたとえ。「牛は牛連れ〜」が「釣り合いが取れている」のに対し、これは「極端に不釣り合い(片方が良すぎる)」な状態を指す。
「牛は牛連れ、馬は馬連れ」の英語表現
英語にも、似たもの同士が集まる習性を表す有名なことわざがあります。
Birds of a feather flock together.
- 意味:「同じ羽の鳥は群れをなす」
- 解説:日本語の「類は友を呼ぶ」や「牛は牛連れ、馬は馬連れ」に相当する定型表現です。種類(羽の色や形)が同じ鳥が一箇所に集まる習性から来ています。
- 例文:
Look at them, they both love hiking and photography. Birds of a feather flock together.
(彼らを見てごらん、二人ともハイキングと写真が大好きだ。牛は牛連れ、馬は馬連れだね。)
「牛は牛連れ、馬は馬連れ」に関する豆知識
「牛」と「馬」の歩みの差
このことわざの背景にある「速度差」は、かつての人々にとって非常に身近な感覚でした。
江戸時代の記録などを見ると、荷物を積んだ馬(駄馬)は人が早足で歩くのと同程度かそれ以上のペースで移動できますが、牛の歩みはゆったりとしています。
牛は馬よりも重い荷物を大量に運べる「パワー」に優れていましたが、スピードはどうしても劣りました。
そのため、街道を行く運送業者(中馬や牛車など)は、牛と馬を同じ隊列に混ぜることを嫌いました。
ペースが合わずに隊列が間延びしたり、馬がイライラしたりして効率が悪くなるからです。
「混ぜるとうまくいかない」という現場の実感が、人間関係の教訓として定着したと考えられます。
まとめ
牛は牛連れ、馬は馬連れは、似たもの同士が自然と集まる様子や、性質の合う相手と組むことの合理性を説いた言葉です。
自分と異なるタイプの人に憧れることもありますが、無理に合わせようとして疲弊してしまうなら、それは「牛が馬のペースで歩こうとしている」状態かもしれません。
自分のペースや性質に合った場所、あるいは同じような価値観を持つ仲間の中にこそ、最も力を発揮できる環境があると言えるでしょう。




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