意味
「同じ穴の狢(おなじあなのむじな)」とは、一見別物のように見えて、実は同類や仲間であることを指します。
主に悪い意味で使われ、表面上は対立しているように見えたり、無関係を装ったりしていても、その実態や悪事のレベルは変わらないことを揶揄する際に用いられます。
語源・由来
「同じ穴の狢」のもとになったのは、中国の歴史書『漢書』楊惲伝にある「古と今と、一丘の貉の如し」という言葉です。
前漢の官僚・楊惲は、匈奴の王が殺されたと聞き、忠臣を殺して滅んだ秦の例を引いて、臣下の良い策を用いない君主は身を滅ぼすと述べました。
昔の秦も今の匈奴の王も、一つの丘に住むムジナのように同類だ、という意味です。
日本ではこれが「同じ穴の貉(狢)」の形で使われ、同じ穴に棲む狢どうしにたとえて、同類であることを言い表しています。
使い方・例文
「同じ穴の狢」は、批判的な文脈で使われることがほとんどです。
自分を棚に上げて他人を責めている人や、似たり寄ったりの悪事を働いている集団を指して使用します。
例文
- 競合他社を批判しているが、自社の不祥事を見れば同じ穴の狢だ。
- 宿題を忘れた二人を笑っているが、君も同じ穴の狢だよ。
- 夫の無駄遣いを叱る妻も、隠れて高価な服を買っており同じ穴の狢だ。
- 政治家たちが派閥争いをしているが、国民から見れば皆同じ穴の狢に見える。
誤用・注意点
「同じ穴の狢」は、ポジティブな意味では使いません。
例えば、仲の良い親友同士や、共に目標に向かう素晴らしい仲間に対して「私たちは同じ穴の狢ですね」と言うのは誤りです。
相手を侮辱することになるため、褒め言葉として使わないよう注意が必要です。
本人に向かって使うのも失礼にあたります。
「部長と課長は同じ穴の狢ですね」といった発言は、二人とも同レベルで悪いと言っているに等しいため、公の場では避けるべきでしょう。
類義語・関連語
「同じ穴の狢」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 五十歩百歩(ごじゅっぽひゃっぽ):
少しの違いはあるが、本質的にはどちらも大差ないこと。 - どんぐりの背比べ(どんぐりのせくらべ):
どれも似たり寄ったりで、抜きん出た者がいないこと。 - 類は友を呼ぶ(るいはともをよぶ):
気の合った者や似通った者は自然と集まり合うこと。 - 似たり寄ったり(にたりよったり):
互いによく似ていて、優劣や違いがほとんど認められないこと。
「同じ穴の狢」が「実は裏でつながっている」「本質は同類(悪党)」というニュアンスが強いのに対し、「五十歩百歩」は「レベルが低い者同士の比較」に焦点が当たります。
対義語
「同じ穴の狢」とは対照的な意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 月とスッポン(つきとすっぽん):
比較にならないほど、その差が激しいことの例え。 - 雲泥の差(うんでいのさ):
雲と泥ほどに、非常に大きな開きや違いがあること。 - 正反対(せいはんたい):
性質や方向などが、完全に入れ替わった状態であること。
英語表現
「同じ穴の狢」を英語で表現する場合、以下の定型句がよく使われます。
Birds of a feather flock together
「同じ羽の鳥は共に集まる」
「類は友を呼ぶ」に近い表現ですが、悪い仲間が集まっている際にも使われます。
Those two are always plotting something; birds of a feather flock together.
(あの二人はいつも何かを企んでいる。同じ穴の狢だ。)
Cut from the same cloth
「同じ布地から切り出された」
性質や考え方が非常に似通っていることを表します。
The new CEO and his predecessor are cut from the same cloth.
(新しいCEOと前任者は、同じ穴の狢だ。)
古くは「同じ穴の狐」の形が多かった
「狢」はアナグマやタヌキのことで、東国では広くタヌキを狢と呼びました。
この言い回しには「同じ穴の狸」「同じ穴の狐」「一つ穴のむじな」といった形もあります。
古くは「同じ穴の狐」の形が多く、「狢」の用例が多くなるのは近代に入ってからです。












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