大都会の真ん中で、建物さえ建てられないようなほんのわずかな空き地が、驚くほどの高値で取引されていることがあります。
一握りの土が、まるで宝石のような価値を持つ。
そのような土地の値段が異常に高い様子を、
「土一升金一升」(つちいっしょうきんいっしょう)と言います。
意味
「土一升金一升」とは、土地の値段が極めて高く、わずかな面積でも莫大な費用がかかることのたとえです。
一升(約1.8リットル)の体積の土が、それと同じ量の金(きん)に匹敵するほど高価であるという誇張表現です。
- 土一升(つちいっしょう):一升桝(ます)一杯分の土。
- 金一升(きんいっしょう):一升桝一杯分の金銭(金貨)。
語源・由来
「土一升金一升」の由来は、江戸時代の都市部における地価の高騰にあると言われています。
徳川幕府が置かれた江戸の町、特に現在の銀座や日本橋周辺は、商業の中心地として爆発的に繁栄しました。
多くの商人がこぞって店を構えようとした結果、土地の希少価値が跳ね上がりました。
当時の人々が、その過熱ぶりを「このあたりの土は、桝一杯の金貨と同じ価値がある」と噂したことが始まりとされています。
庶民には到底手の届かない土地のステータスを象徴する言葉として定着しました。
使い方・例文
「土一升金一升」は、都市部の一等地の価格や、不動産バブルの状況を表現する際に用いられます。
例文
- 駅前の再開発地は、まさに土一升金一升の地価だ。
- 銀座に出店したいが、あそこは土一升金一升で手が出ない。
- 都心のマンション価格は、もはや土一升金一升の勢いだ。
- 山林がリゾート化し、土一升金一升の価値に化けた。
類義語・関連語
「土一升金一升」と似た意味を持つ言葉には、以下のようなものがあります。
- 寸土尺金(すんどしゃっきん):
わずかな土地が、一尺の金に値するほど高価であること。 - 一寸千金(いっすんせんきん):
わずかなものが、極めて大きな価値を持っていること。
対義語
「土一升金一升」とは対照的な意味を持つ言葉は以下の通りです。
- 二束三文(にそくさんもん):
数が多くても値段が極めて安いこと。 - 叩き売り(たたきうり):
品物を極端に安い値段で売ること。
英語表現
「土一升金一升」を英語で表現する場合、物の価値がその重さの金に匹敵するという定型句を用います。
Land is worth its weight in gold.
「土地はその重さの金と同じ価値がある」
人や物が非常に貴重であることを表す “worth one’s weight in gold” を土地に応用した表現です。
- 例文:
In central Tokyo, the land is worth its weight in gold.
(東京の中心部では、土地は土一升金一升の価値がある。)
豆知識:金一升の本当の価値
「金一升」という言葉を現代の価値に換算すると、驚くべき金額になります。
一升(約1.8リットル)の容器に純金を隙間なく詰め込んだ場合、金の比重は約19.3であるため、その重さは約34.7キログラムに達します。
金価格が1グラムあたり約14,000円(2025-2026年時点の目安)とすると、金一升の価値は約4億8千万円を超えます。
現実の土地取引において、1.8リットルの土(面積にすればごくわずか)にこれほどの値がつくことはまずありません。
この言葉は、当時の人々が感じた「驚き」を最大限に膨らませた究極の比喩表現と言えるでしょう。
まとめ
「土一升金一升」は、土地が金と同じくらい高価であることを表す、インパクトの強い言葉です。
江戸時代から続くこの表現は、現代の都市開発や不動産市場においても、一等地の希少性を語る上で欠かせない比喩として生き続けています。
時代が変わっても、限られた土地に対する人々の強い執着と、その圧倒的な資産価値を鮮やかに伝えてくれる言葉です。







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